表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空想配達便  作者: 月蜜慈雨
空想配達便

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/16

宇宙人に会いたい話



 こんな都市伝説がある。もし検索サイトに、空想配達便と検索したら、強く願った人にだけそのサイトが現れ、空想を配達してくれる。



 この広い宇宙では、僕たち以外の宇宙人が必ず存在する。

 なのに、僕たちが出会うことはほとんどないと言われている。



 文明がそこまで保てるか。物理的に遠すぎる。膨大な時間がかかる…。



 夢の無い話だ。でもこれが現実だ。

 俺は小さいころから、その手の与太話を聞くのが好きだった。SFも大好きだ。

 だから存在してほしいと思う。会いたいと思う。

 でも今の科学力じゃあ、到底会えるなんて思えない。



 そんなとき、このサイトの存在を知った。

 空想でも会えたら、この渇望めいた気持ちも、少しは晴れるだろうか。



 そんなことを思いながら、祈るように名前と配達日を指定した。



 料理の最中のことだった。

 ピンポーン、チャイムが鳴る。

 火を消して、手を洗い、玄関に向かう。



「はい」



 ドアを開けると、そこには全身黒装束の怪しい人が小さな小箱を抱えて立っていた。

 まるで、UFOの使者みたいだ。

 怪しい人は人工合成されたみたいな普通の声で、美空碇さんですか、と本人確認してきた。



「はい…」



 怪しい人は、小さな小箱を俺に差し出して、こう言った。



「小箱を開けると、空想が出てきます。人によりますが、空想はおよそ30分ほどです」



 そう言って怪しい人は去っていた。

 手の中の小箱が、まるでブラックホールのようにそこに重く鎮座していた。

 


 玄関の壁に凭れて、その箱を眺めた。

 与太話かもしれない。でも爪先だけの希望がそこにある気がして、あってほしいと思いながら、祈るように箱を開けた。



 目を開けると、俺は宇宙服なしに宇宙空間を漂っていた。

 宇宙は暗いのに、なぜか俺には明るく見えた。

 少しずつ遠くから近づいてくるものがある。

 それが何なのか、俺は知っていた。

 


 俺は遂に目の前にきたそれを触れた。

 恐れはなく、ただ静かな興奮だけがあった。

 カプセルの中の瞳と目が合った。

 空想はそこで終わった。



 カーテンを開く。空はすっかり暗くなっていた。

 薄い星々が、ビルの光に負けず点在している。



 どこか。どこかにいるのか。

 心で呼びかける。

 返事はない。

 返事がないなら、こちらから行くしかない。


 僕はパソコンを起動して、宇宙飛行士募集のページを開いてじっと見つめた。

 そしておもむろに打ち始めた。



 待ってて。

 待ってて。

 そう呼びかけながら。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
配達された空想の中の出来事、それも言葉のやりとりのないひとときでしたが、まるで呼び寄せられるかのように、行動に移す主人公の姿が心に残りました。 きっと、あとひと押しの「何か」を求めていたのかな、と思…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ