第34話「ロシア・シミュレーション」
________________________________________
1. ジョバンニの島
________________________________________
【藤堂家のダイニング】
夕食時に健太がアニメ映画の話をした。
「学校の歴史の先生が『機会があれば是非見てほしい』って言ってたアニメ映画を、
この前友達の家で観たんだ。『ジョバンニの島』っていう日本の映画なんだけど」
美咲「ジョバンニって『銀河鉄道の夜』の?」
健太「うん。主人公の亡くなったお母さんが宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』が好きだったので、
2人の子供の名前をジョバンニとカムパネルラから取って純平と寛太と付けたってことで、
純平の島ではなくジョバンニの島というタイトルなんだ」
美咲「どんな話なの?」
健太「北方四島の実話を元にしたストーリーでね、
1945年8月15日に天皇陛下の玉音放送が流れて、戦争が終わったと思っていたら、
9月になって純平たちが暮らしていた色丹島に突然ソ連軍が進駐してきて、大変な目に遭うんだ。
お父さんが逮捕されたり、残ったみんなは樺太の収容所に連れて行かれたり……」
「それでね、先生に観ましたよって話したら、感想を聞かれたのでソ連は卑怯だって言ったんだ。
そしたら先生にこう言われた。
『じゃあ、日本の真珠湾攻撃は卑怯ではないと思うか?』って。
卑怯じゃあない、理由があったって言うと先生は——」
「君たちは、日本人だから日本を贔屓している。
戦争というものは、罪もない人々を死に追いやる、とても悲しい出来事だ。
戦争をする"やむを得ない理由"というものがあるのだろうか?
先生はそんなものはないと思っている。
先生が君たちにこの映画を勧めた理由は、
このような悲劇を二度と起こさないようにするにはどうしたらいいか、
みんなで考えて欲しかったんだ」
美咲「お父さんが学校の先生だったら同じようなことを言いそうね」
藤堂「先生は大事なことを言っているね。
先生からいただいた課題——『このような悲劇を二度と起こさないようにするにはどうしたらいいか』について、
一緒に観た友達ともう一度話し合って、答えが出ても出なくても、
もう一度その先生に返事をすべきだと思うぞ。
先生は健太たちの答えを待ってるんじゃないかな?」
健太「わかった。そうするよ」
________________________________________
2. ロシアのエージェント
________________________________________
【その夜 書斎】
藤堂はアルに夕食時の話をした。
「アニメ映画という形だと、若い世代でも気軽に見られるので
勉強にもなるし、考えさせるのにはいいかもしれないな」
アルが言った。
「そうね。本を読みなさいって言われるよりは取っ付きやすいかもしれないわね。
日本の戦争は8月15日の玉音放送で終わったというイメージが強くて、
その後も戦争が続いていたことを知らない人もいるかもしれないし……」
「8月15日で戦争が終わったというイメージがどうして定着したんだろう?」
「一つの説だけど、アメリカは原爆投下で戦争を終わらせた、
アメリカが日本を降伏させたというストーリーを広めたいと考え、
日本もそれを受け入れたんじゃないかという話がある。
名前も"日ソ戦争"で統一されていなくて"ソ連の対日参戦"などとも言われる」
「ソ連が卑怯だって感じる根拠には、"日ソ不可侵条約"を破ったということもある」
「ソ連のスターリンは、それ以前にもポーランドやフィンランドに対しても
不可侵条約を一方的に破棄しているのよ」
「"日ソ戦争"はヤルタ会談がきっかけで起こったんだよな」
「1945年2月にソ連のヤルタに米英ソの指導者が集まって密談した。
その席で領土の割譲などを条件に、ソ連の参戦を促した。
そして、ソ連は1945年8月8日に宣戦布告して、まず満州で軍事行動を起こし、
8月11日に南樺太でも攻撃を開始した」
「その後、連合国は"ポツダム宣言"を出した。
しかし、無条件降伏をのみたくない日本はこれを黙殺した。
その結果、原爆が投下された。
ついに8月14日、日本は"ポツダム宣言"を受諾したが、ソ連軍は侵攻を止めなかった」
「ソ連の軍事行動はいつまで続いたのか?」
「9月中旬まで続いた。日本人の犠牲者は最低でも3万人以上。
そして、60万人の日本人が捕虜として連行されて強制労働をさせられた。
いわゆる"シベリア抑留"。帰国を果たせず亡くなった捕虜は約6万人と言われている」
「そして、北方領土問題は未だに解決していない」
「ちなみにだけど、終戦直前に一部の領土を奪取する行為は、この日ソ戦争よりも前に日本もやっているのよね」
「そうだったっけ?」
「日露戦争で、日本軍が旅順要塞を陥落させた後、日本海海戦でロシアのバルチック艦隊に勝利し、日露が講話を探っていたときに、アメリカのルーズベルト大統領が日本側にこう言ったの。
『いよいよ講話談判が開始されるから、日本が講和交渉を有利に進めるために占領しやすい樺太を奪ってはどうか』と。
ルーズベルトがこの話をした相手は、金子堅太郎という貴族院議員だったのだけど、この人は大統領とはハーバード大学の同窓生だったのよ」
「私の先輩だ」
「日本では議論の末、樺太攻略が決定された。そして日本軍は樺太に上陸して樺太全土を奪ったの」
「なるほどな。日本とロシアはやはり長年の因縁があるんだな」
________________________________________
アル「ところで、日ソ戦争の話が出たから言うんじゃないけど、
例のシミュレーション会議、北朝鮮だけでなくロシアや中国についても
議論しておいた方がいいと思うのだけど」
「そうだな。田中さんに北朝鮮のシミュレーション結果を報告して、
ロシアと中国のエージェントから何らかの情報が入っているかもしれないから、
それも確認しておこう。アル、ミネルに繋いでくれるか」
「わかったわ」
最近は、田中と話をするときはわざわざ家に出向かないで、リモートで会話をしている。
アルがミネル経由でオンラインを繋げた。
________________________________________
【田中とのリモート会議】
田中「総理、会議はどうじゃった?」
藤堂「ええ、有益な会議ができました。その内容を説明します」
藤堂は主要な内容を報告した。
「ところで、北朝鮮はあれから表面上、表立った動きが見られませんが、
その後何か情報は入りましたか?」
田中「いや、何も情報は入っとらん。本当に何もないのならいいのだが……」
「引き続いて、情報収集に努めるよう外務大臣にも念を押しています。
ところで、同様のシミュレーションをロシアと中国についてもやっておいたほうがいいと考えているのですが、
それらの国のエージェントからは最近気になる情報などはありませんか?」
田中「特に対応が必要な情報は入っておらんが、
久しぶりに中国の李明に連絡を取ってみてもいいな。
中国のシミュレーション会議をするときは、わしも参加させてもらっていいか?」
「はい、お願いします」
________________________________________
「ところで、ロシアのエージェントはどんな人なんですか?」
田中が説明した。
ロシアのエージェントは国立オーケストラの女性指揮者、
イリーナ・ソコロワ(Irina Sokolova)。
彼女が尊敬する祖国の作曲家はドミートリイ・ショスタコーヴィチ。
ショスタコーヴィチは悪魔のような独裁者スターリンの恐怖政治の中、
他国に亡命することなく祖国にとどまり、音楽に魂を注いだ人だ。
そして今、ロシア大統領プートフは、スターリン同様、国民の言論を厳しく統制している。
イリーナは、人々が何ら気にせず自由に思想や夢を語り合える国にしたい、
ショスタコーヴィチのように、どんなことが起ころうと「希望」を持ち続けることが大切だと考えている。
イリーナは、もともとピアニストとして卓越した技巧と芸術性で頭角を現し、
演奏会でも人気を集めていた。
そして、かねてから望んでいた指揮者に転向した。
ロシアに限らず、オーケストラや歌劇場の指揮は大人数をまとめる体力が求められるため、
長らく男性の領域とされてきた。
だからこそ、女性でも活躍できるということを示したいと考えた。
ロシアで活躍する女性指揮者として日本人の西本智実がいた。
彼女はイリーナの目指す姿だった。
イリーナが指揮者としてデビューして間もない頃、演奏会の客席にプートフの姿を見た。
彼女はこのとき、ふとショスタコーヴィチとスターリンのあるエピソードを思い出した。
1936年、スターリンの大粛清の嵐が吹き荒れていた頃、
ショスタコーヴィチが作曲をした演劇がモスクワで上演された。
アメリカでも上演されショスタコーヴィチの名声が広まった人気作品である。
ところが、第三幕が終わると、スターリン一行は最後の第四幕を観ずに帰ってしまった。
スターリンが何かを言い残したわけではないが、最後まで観なかった。
ショスタコーヴィチは、その日眠れない夜を過ごした。
そしてスターリン体制の忖度政治のメカニズムが、静かに、そして確実に作動し始めた。
二日後、ソ連共産党機関誌「プラウダ」にショスタコーヴィチに関する
かなり辛辣な表現による酷評が掲載された。
これを皮切りにソ連のありとあらゆる紙媒体が批判を始めた。
もはや誰の目にもショスタコーヴィチの破滅は明らかだったが、
幸い、スターリンからのお言葉は無かったらしく、当局に連行されることは免れた。
一方プートフは、FSB(諜報機関KGBの後身組織)を使って
政権批判者や反体制指導者たちを何人も抹殺している。
しかし、芸術家の作品や演奏が気に入らないからといって
粛清の対象にするようなことがないということをイリーナは知っている。
その日、プートフ大統領は演奏を最後まで聴いてくれた。
そしてわざわざ楽屋にイリーナを訪ねて「今日の演奏はとてもよかった」と言った。
この日イリーナが指揮棒を振った曲は、
ショスタコーヴィチがあの事件後に名誉を挽回した名曲、交響曲第5番ニ短調だった。
その日から、イリーナは時々演奏会場あるいはクレムリンで大統領に会い、
音楽談義をするようになった。
そんなとき、トルグの磯村がイリーナに接触してきた。
イリーナが時々大統領と会っていることを知っていたからだ。
彼女は、大統領と政治的な話をしなくてもよいという条件でエージェントを引き受けた。
田中の話を聞き終えた藤堂は、ロシアという国の複雑さを改めて感じていた。
イリーナ——ショスタコーヴィチへの敬意を胸に、
独裁者の傍らで「希望」を奏で続ける女性。
その姿が、脳裏に静かに刻まれた。
________________________________________
3. シミュレーション会議
________________________________________
【総理官邸・地下危機管理センター】
壁一面のスクリーンには、ロシア連邦の地図が青白く浮かび上がっている。
前回と同じ7人が席についたが、今回は空気が少し違う。
藤堂総理の前には、分厚い資料が置かれている。
表紙には外務省のロゴと、「ロシア政治動向・有事シナリオ(極秘)」の文字。
「……北川外務大臣。
先にお話しした"ロシア有事シミュレーション"について、
外務省が既に同様の分析を行っていると伺いました」
北川外務大臣は、静かにうなずく。
「はい総理。外務省として、ロシアの政治構造・権力移行・エリート動向について、
複数のシナリオを作成しております。
今夜は、その資料をたたき台に説明させていただきます」
八重樫「以前なら外務省がそんな資料を出すとは思わなかったが、さすが北川大臣だな」
北川「官邸と省庁が協力しあうのは、当然のことですから」
「助かります。では、北川大臣。まずは"プートフの任期延長"からお願いします」
________________________________________
◆1. プートフは死ぬまでやるつもりか?
北川は資料を開き、落ち着いた声で語り始める。
「プートフ大統領は、改憲により2036年まで任期を延長できるようにしました。
外務省の分析では、"死ぬまで権力を維持する意図がある"可能性は高いと見ています」
美波が小さく息を呑む。
「ただし、これは"野心"というより、
"権力を手放した瞬間に自分と側近が危険にさらされる"という恐怖の裏返しです。
ロシアの政治文化では、"元大統領が安全に余生を送る"という前例がほとんどありません」
橘官房長官が補足する。
「とはいえ、プートフも人間です。
健康問題や国際的孤立が深まれば、"管理された引退"を模索する可能性もゼロではないと思います」
八重樫幹事長が、重い声で反論する。
「いや、橘さん。私は逆に、
"引退した瞬間に自分が裁かれる"という恐怖が、プートフを権力に縛りつけていると見ている。
だからこそ、"死ぬまで続けるしかない"という構造に陥っている」
藤堂「……なるほど。"続けたい"ではなく"続けざるを得ない"という構造か」
________________________________________
◆2. プートフの病死・暗殺・クーデターの可能性
「外務省の評価では、
病死のリスクは年齢とストレスから上昇傾向。
暗殺は低い。クーデターは"限定的にあり得る"。この三点です」
瀬口防衛大臣が、軍事的視点で補足する。
「ロシアは北朝鮮ほど"クーデター防止国家"ではありません。
しかし、治安機関(FSB)と大統領府が強固に結びついており、
外部からの暗殺はほぼ不可能。内部の権力闘争が唯一のリスクです」
美波が手を挙げる。
「すみません……素人質問ですが、
"内部の権力闘争"って、映画みたいに"突然銃声が鳴る"みたいなものなんですか?」
北川は優しく微笑む。
「いい質問です。ロシアの場合、"静かなクーデター"が主流です」
「静かな……?」
「ええ。表向きは"健康問題による辞任"や"自発的退陣"として発表され、
実際には、側近グループが権力を握り替える。
銃声は鳴りません。新聞にも書かれません。しかし、権力は入れ替わる」
「……怖い国ですね」
「ええ。"見えないところで権力が動く国"です」
________________________________________
【核のボタンは誰が持つのか】
美波が、再びそっと手を挙げた。
「もしプートフが急に倒れたり、さっきの"静かなクーデター"みたいなことが起きたら、
ロシアの核のボタンって、誰が持つんですか?
映画みたいに"誰かが勝手に押す"みたいなことは……?」
瀬口防衛大臣が、すぐに答えた。軍事の専門家らしい、落ち着いた声で。
「神宮寺さん、そこが一番重要なポイントです。
ロシアの核指揮系統は、"三者承認方式"になっています」
「三者……?」
「大統領、国防相、参謀総長。
この三者の承認が揃わないと、核は発射できない。
つまり、"プートフ一人が倒れても、核が暴走することはない"という仕組みです」
美波はほっと息をつく。
「ただし——」
瀬口は声を少し低くした。
「政変で"誰が三者を名乗るか"が曖昧になると、
核の指揮権が一時的に不透明になる。
これが、アメリカとNATOが最も警戒している点です」
「……怖いですね。"誰が本物のトップか分からない状態"が一番危ないんですね」
「その通りです。だからこそ、ロシア有事は"核の安定性"が最優先課題になる。
外務省も防衛省も、そこを中心に分析しています」
________________________________________
◆3. プートフは後継者を考えているか?
「外務省の分析では、プートフは後継者を"複数"想定しているが、
誰にも本心を明かしていないと見ています」
「後継者を明確にした瞬間、その人物が"権力の中心"になり始める。
プートフはそれを恐れている。
だから、"誰も後継者にしないことで、自分の権力を維持している"という構造ですな」
________________________________________
◆4. 政権交代のシナリオ
北川はホワイトボードに四つの番号を書く。
1. 管理された引退
2. 急死+集団指導体制
3. 静かなクーデター
4. 長期的な体制劣化
「私は①の"管理された引退"も、戦争が終われば可能性があると思います」
「しかし、②③のほうが現実的です。
特に③"静かなクーデター"は、ロシア政治の伝統に最も近い」
________________________________________
◆5. エリート集団はどう動くか?
「ロシアのエリートは二つに分かれます」
①テクノクラート(経済官僚・中央銀行・技術官僚)
②シロビキ(治安機関・軍・情報機関)
吉村が補足する。
「テクノクラートは"国家機能の維持"を優先し、
シロビキは"権力の維持"を優先する。
政変が起きれば、この二つの勢力の綱引きが始まる」
美波が申し訳なさそうに聞いた。
「すみません……。北朝鮮の"エリート集団"は理解できたんですが、
ロシアの"テクノクラート"とか"シロビキ"って、
具体的にどういう人たちなんですか?
ニュースで聞く言葉なんですけど、いまいちイメージがつかなくて……」
北川外務大臣は、優しく微笑んだ。
「いい質問です、神宮寺さん。
ロシアのエリートは、北朝鮮とはまったく違う構造を持っています。
大きく分けると、次の二つです」
北川は指を二本立てる。
①テクノクラート(官僚・経済官僚・中央銀行・技術官僚)
「国家の"機能"を支える人たちです。
経済制裁への対応、金融政策、エネルギー輸出、IT・軍需産業——
ロシアという巨大なシステムを動かす"頭脳"ですね」
②シロビキ(治安機関・軍・情報機関の出身者)
「こちらは"力"を支える人たち。
FSB、GRU、内務省、軍の幹部など、
プートフの権力基盤を構成する"武力と恐怖の装置"です」
「ロシアの政変は、この二つの勢力の綱引きで決まると言っても過言ではありません」
「なるほど……。"頭脳"と"武力"の二つの柱があるんですね」
「その理解で完璧です」
________________________________________
◆6. アメリカ・中国・NATOはどう動くか?
「アメリカとNATOは、"ロシアの核の安定性"を最優先に監視します。
政変が起きた瞬間、東欧・バルト三国での軍事態勢を強化するでしょう」
「中国は、"ロシアが崩壊しない程度に弱い状態"を望みます。
影響力を拡大しつつ、混乱が自国に波及しないよう慎重に動くでしょう」
________________________________________
◆7. 日本はどう動くべきか?
「日本は、北方領土周辺・オホーツク海・日本海の警戒監視を強化すべきです。
ロシアが不安定化すると、外に敵を作る可能性があります」
「外交面では、"対立をエスカレートさせず、
しかし国際秩序の側に立つ"という難しいバランスが求められます」
美波は、さらに踏み込んだ。
「最後に……。日本はロシアとどう向き合うべきなんでしょうか?
敵対するべきなのか、距離を置くべきなのか、それとも……?」
北川は、少しだけ表情を引き締めた。外務大臣としての"本気の顔"だった。
「神宮寺さん。日本は"敵対"でも"迎合"でもなく、
"国益を守るための距離感"を取る必要があります」
「距離感……?」
「ロシアは隣国です。北方領土、エネルギー、海洋安全保障——
無視することはできません。しかし、国際秩序を壊す行動には、
日本は"毅然とした立場"を取らなければならない」
瀬口が補足する。
「つまり、"安全保障は厳しく、外交は冷静に"ということだ」
橘官房長官が、柔らかくまとめる。
「神宮寺さん、ロシアは"敵"でも"味方"でもなく、
"扱いを間違えると危険な隣国"なんです。
だからこそ、今日みたいな会議が必要なんですよ」
美波は深くうなずいた。
「……すごくよく分かりました。ありがとうございます」
________________________________________
【藤堂総理のまとめ】
藤堂は、全員を見渡しながら静かにまとめる。
「……ロシアは遠い国のようで、実は日本の隣国だ。
北朝鮮、中国、アメリカ、ヨーロッパ——すべてがつながっている。
だからこそ、"何も起きていない今"に考えることが、国家の安全保障の本質だ。
みなさん、引き続き協力をお願いします」
藤堂は身を引き締めた。
藤堂(心の声)
*北朝鮮、ロシア、中国*
*どの国で政変が起きた場合でも、戦後における国際情勢の大きな転換点になる*
*また、大きなリスクでもある*
*日本としても総理大臣の私がこのメンバー全員と結束して*
*速やかに、的確な行動をとらなければならない*
________________________________________
第34話「ロシア・シミュレーション」 完
次回:第35話「中国シミュレーション」
________________________________________
参考文献:「未完成 ~大作曲家たちの『謎』を読み解く」 中川右介 角川SSC新書




