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第11話「公正な選挙のために」


________________________________________

1. 選挙違反について

________________________________________

【ある日・藤堂の書斎】


「アル」

藤堂が言った。

「公職選挙法に関して、おさらいしておきたいんだが」

「何でも聞いて」

アルが答えた。


「候補者が選挙違反となるケースを挙げてくれ」


「候補者側だと」

アルが説明を始めた。

「買収...有権者にお金・物品を渡して投票を依頼すること」

「事前運動...告示・公示前に投票を呼びかける行為」

「戸別訪問...一軒一軒訪ねて投票依頼する行為」

「文書・SNSの違反...規定外のビラ・ポスター配布や選挙期間外のネット広告など」

「虚偽事項の公表...相手候補のデマを流す、経歴詐称など」

「これらが主な違反行為よ」


藤堂は頷いた。

「有権者が選挙違反となるケースは?」


「有権者側だと」

アルが続けた。

「買収の受け取り」

「利害誘導、つまり見返りの要求」

「なりすまし投票」

「多重投票、同じ人が複数回投票すること」

「選挙の自由妨害...投票所での威圧・妨害や他人に投票を強制すること」

「SNS・ネットでの違反」

「などが主な違反行為になるわ」

________________________________________

【SNS時代の選挙違反】


「SNS・ネットで違反にあたるのは、どういう場合なのかな?」

藤堂が聞いた。


「SNS時代で特に増えている違反はね」

アルが真剣な声になった。

「候補者の経歴・スキャンダルの捏造など、デマ・虚偽情報の拡散」

「候補者・政党を装った偽アカウントなどのなりすまし」

「根拠のないスキャンダル拡散など、誹謗中傷・ネガティブキャンペーン」

「違法な投稿をシェア・『いいね』するなどの『拡散型違反』」

「広告と分からない形での宣伝、有料広告・ステルスマーケティング」

「ディープフェイク動画など、AIや画像加工による偽情報」


「SNSの普及によって」

アルが続けた。

「選挙違反の『形』がかなり変わってきているわね」


「一番危険なのは?」

藤堂が聞いた。


「普通の人が違反してしまうことよ」

アルが答えた。

「例えば」

「軽い気持ちでデマをリポスト」

「面白半分で加工画像を投稿」

「応援のつもりで過激な批判を拡散」

「これらは全部、違反になる可能性があるの」


藤堂は拳を握った。

「どこまでがセーフで、どこからアウトか」

「具体的な例で説明してくれるかな」

________________________________________

【セーフとアウトの境界線】


「SNS選挙で気をつけるべきポイントは3つ」

アルが説明した。

「時期...選挙前か期間中か」

「内容...事実か虚偽か」

「意図...投票依頼か単なる意見か」


「具体例で説明するわね」

アルが続けた。

「応援投稿で」

「『○○さん応援してます!頑張って』はセーフ」

「『公示前に、今度の選挙で○○に投票してください!』はアウト」

「ネガティブ投稿で」

「『この政策は問題があると思う』はセーフ」

「事実でないスキャンダルや根拠のない人格攻撃はアウト」

「画像・動画投稿では」

「実際の演説動画をそのまま共有するのはセーフ」

「加工して発言を捏造するのはアウト」

「報酬の有無でいうと」

「無償で個人的に応援投稿するのはセーフ」

「報酬をもらって投稿するのはアウトね」


藤堂は深く息をついた。

「アウトにならない行動とは?」


「5点あるわ」

アルが言った。

「これを守ればほぼ安全よ」

「事実しか言わない」

「出典不明は拡散しない」

「選挙前に『投票して』は言わない」

「お金が絡む投稿はしない」

「なりすましは絶対しない」


「もし迷ったら」

アルが続けた。

「候補者名を出さない」

「投票依頼をしない」

「ということね」

________________________________________

【ウグイス嬢の報酬】


藤堂はふと疑問に思った。

「候補者側がビラ配りに報酬を出したら違法なのに」

「ウグイス嬢には報酬を払っていいのはなぜか?」


「公職選挙法では」

アルが説明した。

「選挙運動に関わる人のほとんどは無報酬が原則なのだけど」

「『車上運動員』、俗にいう女性のウグイス嬢、男性のカラスは」

「報酬を払ってよいと明確に規定されているのよ」


「なぜ?」


「専門的なスキルが必要」

アルが続けた。

「長時間の拘束」

「プロのナレーション技術が求められる」

「ボランティアでは確保が難しい」

「などの理由で、"報酬を払ってよい職種"として特別扱いされているわ」


「なるほどな」

藤堂が頷いた。

「SNS時代になって、普通の人が無意識に違反をしてしまうケースがある」

「これは皆さんによく知ってもらう必要がある」

________________________________________

2. CA事件の教訓

________________________________________

【ケンブリッジ・アナリティカ事件】


「ところで」

藤堂が言った。

「以前、ブリトニー・カイザーが書いた『告発』という本を読んだことがあるんだけど」

「CA事件は2016年のアメリカ大統領選挙における大きなスキャンダルだった」

「キャビンアテンダント事件ではないぞ」

藤堂が付け加えた。


「わかってるわ」

アルが笑った。

「今は選挙の話をしているのよ」


「CA事件とは」

アルが説明を始めた。

「イギリスのSCLグループの関連会社で、データ分析・選挙コンサルティング企業の」

「ケンブリッジ・アナリティカ、つまりCA社が」

「フェイスブックで心理ゲームアプリを使用して」

「アプリ利用者の『友達』を含むデータまで無断で収集した」


「そのデータを基に」

アルが続けた。

「『OCEAN理論』という性格分析を用いて」

「有権者の性格・心理を分析し」

「行動を操る『マイクロターゲティング広告』を選挙に利用したというもの」

「関与した選挙は」

「2016年のアメリカ大統領選挙、ドナルド・トランプ陣営」

「英国のEU離脱、ブレグジットの国民投票」

「において、有権者の動向を操作したと報じられたわ」


藤堂は真剣な顔になった。


「この事件は、単にデータが流出したというだけでなく」

アルが続けた。

「『データ分析を駆使して、人々が無意識のうちに政治行動を操作される』という」

「デジタル時代の民主主義に対する深刻な脅威を浮き彫りにした」

「だからセンセーショナルな衝撃を与えたのよ」


「個人データをもとに」

藤堂が言った。

「『その人が反応しやすい感情』を狙い撃ちする広告が可能になり」

「"自分で選んだつもりの投票が、実は誘導されていた"という構図が問題視されたんだよな」

________________________________________

【投票抑制作戦】


「アメリカのある大学准教授の話だけど」

アルが続けた。

「彼はそれまで民主党の選挙活動に積極的に関わってきた」

「当然、民主党から立候補したヒラリー・クリントン支持者のはずだった」

「ところが大統領選のキャンペーン中」

「彼のフェイスブックやツイッターには」

「クリントン氏を批判・誹謗中傷する大量の広告が表示されていた」

「その中には嘘が大量に混ざっていた」

「彼がフェイスブックを開くたびにそうした広告が表示され」

「本当と嘘との見分けがつかなくなっていった」

「そうしてクリントン氏を有権者に勧められるほどの熱意を持てなくなった」

「...と告白したそうよ」


藤堂は拳を握った。

「つまり投票抑制作戦だ」

「対抗馬の支持者には投票に行かせないというキャンペーン戦略があった」

「その後明らかになった手法には」

藤堂が続けた。

「『間違った投票日を知らせること』や」

「『投票日に他の、より関心が高い出来事を通知すること』などもあったらしいね」

「でも事件後、CAは2018年に破綻したから」

「その後の選挙は大丈夫だったのかな?」


「そうじゃないわ」

アルが厳しい声で言った。

「現在のアメリカ選挙は」

「ケンブリッジ・アナリティカの時代からもっと進化して」

「"違法スレスレのデータ収集に基づく合法データ"に」

「"AIでの精密分析"を組み合わせた」

「より高度なデータ戦略へと進んだ」

「一言で言うと」

アルが続けた。

「『違法っぽさは減ったけれど、影響力はむしろ強くなった』ということね」

________________________________________

【日本への警鐘】


藤堂は立ち上がった。

「我が国の選挙も、同様なことが起こる可能性が十分ある」

「法整備を急がないといけない」

「CAは英国のEU離脱、ブレグジットの国民投票において」

藤堂が続けた。

「有権者の動向を操作したということならば」

「憲法改正のための国民投票が実施された場合、どうなるか」

「よく考えておく必要がある」

藤堂は窓の外を見た。

「日本の国民投票法には」

「インターネット広告に対して通常の選挙ほどの規制がほとんどないと聞くが」

「本当なのか?」


「本当よ」

アルが答えた。

「国民投票法はネット広告に対してほぼ無規制で」

「専門家も問題視している」


「衆議院憲法審査会でも」

アルが続けた。

「規制が必要という意見が多数出されているにもかかわらず」

「法改正がまだ行われていない状況だから」

「何とかしないといけない」


藤堂は拳を握った。

「早速、明日にでも確認することにする」

「改正に向けて動かないといけない」


窓の外、東京の夜景が広がっていた。

*デジタル時代の民主主義*

*それを守るのが、俺の役目だ*

藤堂は決意を新たにした。

________________________________________

3. 官房長官 橘麗子

________________________________________

【ある日・首相官邸】


藤堂総理は、トルグからの情報を基に、日本の経済安全保障体制の確立および世界中のサプライチェーン構築のため、熱心に諸外国を訪問し、交渉を行っている。

今日も官邸にて記者会見を開催した。

昨日まで訪問していた某国との交渉経緯などについて説明し、記者たちからの質問に対しても、国民に理解していただくことを念頭に丁寧な説明を行った。


ある記者が、この流れとは別の質問をした。

「藤堂総理はこのところ、熱心に外遊されておられます」

「そのため、日本に総理が不在という状況が多く発生しておりますが」

「国内で何かあったら、つまり万一、大地震であるとか」

「隣国の領海侵犯のような有事が発生したら」

「指揮官が不在ということになりますが、心配ではないのですか?」


藤堂総理は答えた。

「ご承知の通り、近年はサプライチェーン混乱や地政学リスクの高まりから」

「経済安全保障に対する取り組みが、我が国でも最重要政策の一つとなっております」

「従いまして、総理大臣が国内に留まってばかりいたのでは」

「国民の生活・経済活動を脅かすリスクを減らし、安定を維持することができない」

「ということはご理解いただけるかと思います」


藤堂が続けた。

「ご質問は、『総理大臣が不在中に国内で何か起こったら、大丈夫なのか?』」

「『総理は心配ではないのか?』と2つに分かれるかと思います」


「まず、『心配ではないのか』については、勿論心配です」

「これは国内にいようが、外国にいようが変わりありません」

「次に『大丈夫なのか?』につきましては」

藤堂が力強く言った。

「一言でいいますと、大丈夫です」


「総理大臣が海外出張中に日本で大地震...」

「これは政府が最も警戒するシナリオのひとつで」

「実は明確な手順と代行体制が法律で定められています」

「そのため、総理大臣が日本にいない場合でも」

「政府の危機管理は止まらないように設計されています」


藤堂が橘官房長官の方を見た。

「総理大臣が不在時は、法律に基づき『官房長官』が総理の職務を代行します」

「私が不在でも、橘官房長官がおりますから、大丈夫なのです」

「もし私が何らかの理由で、すぐに帰国できない状況にあったとしても」

「専用回線や暗号化テレビ会議などの手段を用いて」

「官邸の危機管理センターと接続して、海外から『遠隔指揮』を執ることができます」

「ですから、ご安心いただいて結構です」


橘は、藤堂の言葉を聞きながら、心の中で思った。

*総理は、私を信頼してくれている*

*その信頼に、必ず応えなければ*

________________________________________

【そして、1ヶ月も経たないある日】


藤堂総理が外国訪問中。

日本のある地域で、マグニチュード6.1の地震が発生した。

________________________________________

【官邸危機管理センター】


地震発生から3分後。

橘官房長官は、すでに危機管理センターに入っていた。

「状況は?」

橘が鋭く聞いた。

「震源地は○○県沖、マグニチュード6.1」

担当者が報告した。

「震度5強を観測した地域が複数」

「現在、被害状況を確認中です」

「津波の可能性は?」

橘が聞いた。

「気象庁によると、津波の心配はないとのことです」

「原発は?」

「震源地付近に原発はありません」

「各原発からも異常なしの報告が入っています」


橘は深く息をついた。

「各省庁との連絡は?」

「すでに確立しています」

「自衛隊の派遣準備も整っています」

橘は頷いた。


「総理への連絡は?」

「専用回線で接続中です」

画面に、藤堂総理の顔が映った。

「橘さん、状況は?」

藤堂が聞いた。

「総理」

橘が報告した。

「マグニチュード6.1、震度5強」

「津波の心配なし、原発も異常なし」

「現在、被害状況を確認中です」


「了解しました」

藤堂が言った。

「橘さん、職務代行をお願いします」


「承知しました」

橘が答えた。

「総理、ご安心ください」


藤堂は頷いた。

「あなたに任せます」

画面が切れた。


橘は、スタッフを見回した。

「では、始めましょう」

________________________________________

【2時間後】


被害状況が徐々に明らかになってきた。

「橘官房長官」

担当者が報告した。

「火災発生件数は10件、すでに鎮火」

「建物の倒壊は3件、死者なし」

「負傷者は軽傷含めて20名」

橘は安堵の息をついた。


「自衛隊の派遣は?」

「待機中です」

「派遣の必要性を判断してください」

橘が指示した。

「避難所の開設状況は?」

「すでに5か所開設、避難者は約200名」

「物資の手配を急いで」

「了解しました」


橘は、次々と指示を出していった。

的確に、迅速に、冷静に。

スタッフたちは、橘の指揮に従って動いた。

________________________________________

【4時間後】


状況は落ち着きつつあった。


橘は、記者会見を開いた。

「本日午後2時37分、○○県沖を震源とする地震が発生しました」

「マグニチュード6.1、最大震度5強を観測」

「津波の発生はなく、原発にも異常はありません」


橘が続けた。

「現在までの被害状況は」

「建物の倒壊3件、火災10件、すでに鎮火」

「負傷者は軽傷含めて20名、死者はおりません」

「政府として、引き続き被害状況の把握に努め」

「必要な支援を迅速に行ってまいります」


橘の声は、落ち着いていて、力強かった。

記者たちは、その姿に見入っていた。

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【翌日・首相官邸】


藤堂総理は、予定を途中でキャンセルして帰国した。

「橘さん」

藤堂が言った。

「お陰で助かりました。流石ですね。素晴らしい対応でした」


橘官房長官は、一瞬笑顔になった。

「当たり前です。私を誰だと思ってるんですか?」

と言いそうになったが、言葉を飲み込んだ


「総理自らが、日本の経済安保に必死の思いで取り組んでいるのを見ていて」

橘が静かに言った。

「私には何ができるのだろうと、いつも思っていました」

「私にできるのは、こんなことだけですから...」


「何を言っているんですか」

藤堂が強く言った。

「こんなことじゃないですよ」

「大地震が発生したときの対応は、とても重要なことです」

「一つの判断ミス、対応の遅れが取り返しのつかないことになることだってある」

藤堂が続けた。

「私は日本から遠く離れていたことを悔やみもしましたが」

「官房長官が橘さんで、本当によかったと強く感じました」


橘は、藤堂の言葉に胸が熱くなった。

そして、ふと、10年前のことを思い出した。

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【橘麗子の過去】


10年前

橘麗子は、総理候補筆頭だった

記者会見で、疲労から一度だけ言葉を詰まらせた

「あの...えっと...」

それだけだった

だが、翌日の見出しは

「やはり女性には無理」

「重圧に耐えられず」

「総理の器ではない」

同じミスを男性議員がしても、ここまで叩かれない

そして

総理の椅子は橘から離れていった

________________________________________

それから10年後

藤堂内閣発足時

藤堂が彼女を官房長官に指名した

橘は、あの時のことを思い出していた。


「でも、なぜ私を?」

橘は藤堂に尋ねた

「あなたは最も優秀だからです」

藤堂は即答した

「性別は関係ない。能力だけを見ています」

橘の目に、涙が浮かんだ

「ありがとう」

________________________________________

【そして、現在】


橘は藤堂に言った。

「総理に褒めてもらって、いい気になっているので」

「少し愚痴っぽいことを言ってもいいですか?」


「どうぞ」

藤堂が微笑んだ。


「以前、藤堂総理がフェイク動画の社会実験をしたときのことなのですが」

橘が言った。

「総理は、あの動画を自ら流したことを秘密にしていました」

「私は何度も、本当のことを言ってほしいオーラを出していたんですけど...」


藤堂は、橘の言葉を思い出した。

「総理、何か、お考えがありますか?」

「何か、隠していますね」

「あなたには、計画があるんでしょう」

「その落ち着きぶり、とっても気になるわ」

「あの動画、ひょっとしたら...?」

確かに、そう言えば...


「最後まで、私には話していただけなかった」

橘が続けた。

「寂しかったんですよ」

「私は官房長官として、頼りにされていないのかなって...」

「でも」

橘が微笑んだ。

「社会実験パート2では、事前に教えてもらえたので」

「許してあげますけどね」


藤堂は胸が痛んだ。

*橘さんに、そんな風に思われていたなんて*

*迂闊だった*


「申し訳ないです」

藤堂が言った。

「あなたを信頼していないなんてことは、全然ありません」

「ただ、あのときは一世一代の大芝居だったので」

「余裕がなかったというか、周りが見えていませんでした」


藤堂は、ふと思った。

*俺は、ハーバード・クリムゾンではQBだった*

*周りが見えていないなんて、一度もなかった*

*いつもオフェンスもディフェンスも、全員が見えていた*

*試合開始後、数プレーで*

*自分のチームの誰が調子いいとか*

*相手チームのどこがウィークポイントだとかを見極められていた*

*なのに、どうしたんだ、俺は?*


「橘さん」

藤堂が真剣な顔で言った。

「よく言ってくださいました。目が覚めました」

「私は組閣時、『ベストチーム』だと宣言しました」

「全員が同じ目標に向かって、足並みを揃えてこそ力が発揮できるんだ」

「独り善がりは良くない」

藤堂が続けた。

「橘さんには、大きな借りができましたね」


「借りなんて大袈裟です」

橘が言った。

「私の方こそ、総理に生意気を言ってしまいました」


「生意気なんてことはありません」

藤堂が微笑んだ。

「総理に何でもズケズケ言っていいのが、官房長官ですから」

「これからも、遠慮なく進言してください」


「今日、総理とお話ができてよかったです」

橘が満面の笑みで言った。

「今後とも、どうかよろしくお願いいたします」


*橘は、胸につかえていたものが、すっと消えたような気がした*


「こちらこそ、よろしくお願いします」

藤堂が言った。


*藤堂は、急に視野が広がり、目の前が明るくなったような気がした*


窓の外、東京の空が広がっていた。

*橘麗子*

*君は、俺の最高のパートナーだ*

*これからも、共に戦おう*


藤堂は決意を新たにした。

________________________________________

第11話 完

次回:第12話「娘との約束・長崎へ」 

________________________________________


参考書籍 「AI vs. 民主主義 高度化する世論操作の深層」 NHK取材班 NHK出版新書

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