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ピンチだけど、何とかなるのが仲間だよな

 鎖を辿り、フェアズの魔力が送られてくる。

 体がズシンと、重くなってきた。


 同時に、魔力が溢れ、抑えるだけで精一杯だ。


 心臓や肺は痛くなってくるし、体が軋むような感覚で集中が途切れそうになる。

 時間はそんなにかけられない。


 …………お前は、幸せそうでいいなスピリトちゃんや!!


『こんな鎖なんて、今の私なら簡単にちぎれるわよ!』


「わっ!!」


 リヒトがフェアズに鎖を引っ張られ、体勢を崩した。

 すぐにアルカが後ろからリヒトの腰を掴み、態勢を整えさせる。


 その様子を見たフェアズが、なにやら嫌な笑みを浮かべた。


『この鎖さえどうにか出来れば、いいのよねぇ~?』


 なんだ、その笑みは。気持わりぃ。

 何を企んでやがるんだ。


『|ビーボラ・フウェ《fouet vibora》!!!』


 たしかその魔法は、蔓で竜を作り出し攻撃してくるやつじゃねぇか!?

 リヒトは鎖で精一杯だし、アルカはリヒトを支えているから動けない。


 グレールとアマリアに頑張ってもらいたいけど、アマリアに魔法を放たれちまうと俺達にも被害が出るから無理のはず。


 グレール一人でなんて、今のフェアズを相手に到底無理じゃないか?


icicle(アイシクル)!!」


 上空から大量に氷柱を降らせたが、自由に動く竜の蔓をすべて串刺しは難しいそう。


 すり抜けた竜の蔓がリヒトを狙う。


「|ground spadaグランド・スパーダ!」


 アルカがリヒトから手を離し、周りから迫りくる竜の蔓を斬る。

 俺が魔力を吸い取っているからなのか、アルカの刃でも切れたらしい。


『ふふっ。ここからは、力比べね』

「っ!!」


 リヒトを睨み、フェアズが力強く鎖を引っ張った。

 バランスを崩し、その場に倒れ込む。


「リヒト!」


 すぐにアルカが駆け寄ろうとしたが、竜の蔓が迫り助けられない。

 俺も、手を貸せない。魔力を抑えるので精一杯だ。


「…………」

『早く離しなさい。これ以上痛い目に遭いたくないのなら』


 リヒトは、青い顔を浮かべフェアズを見上げた。


「…………嫌です。私は、離しません」

『そう。なら、もっと痛みつけてあげるわ!!』


 鎖をまたしても強く引っ張る。

 リヒトも負けじと耐えるが、力に負け地面から足が離れてしまう。


 空中に放り出され、周りの木へと叩きつけられた。


「リヒト!! っ、体が、いてぇ……」


 魔力に重量があるのか、体がどんどん重たくなる。

 スピリト、はやく食べてくれぇ。


「ゴホッ! ゲホッ!」

『早く、鎖を消しなさい!!』


 っ、またリヒトを近くの木へと叩きつけた。

 このままだと、リヒトが死んじまう。


 ここまで来たが、仕方がない。

 作戦は中止、早くリヒトを助けねぇと!!


「リヒト! 作戦は――……」

「カガミヤさんは、自分に集中してください!!」

「んえ? は、はい!?」


 リヒトの気迫に負けて、思わず頷いてしまった。


 倒れ込んでいたリヒトが顔を上げる。

 その顔は、なぜか、強気に笑っていた。


『まだ、諦めないのね』

「あ、当たり前です。いつもいつも、私は助けられたばかりなんだから、こんな時くらいは、意地を見せないと。私の、存在価値がなくなります!」


 立ち上がり、リヒトがフェアズに言い放った。


 再度、リヒトを投げつけようと鎖が絡まっている手を上げる。

 また、叩きつけられる。強気なのはいいが、このままじゃ体が壊れるぞ!!


『――――っ! なぜ、投げられない』


 あ、あれ。

 リヒト、しっかりと地面を踏みしめて……鎖?

 

 そうか、地面から鎖を出し、自身の足に絡めたのか。

 これなら、そう簡単には投げられない。


「私だって、戦えるんですよ。守られるだけじゃないんです!!」


 声を張り上げ、リヒトは数多くの鎖をフェアズに向けて放った。

 突然の反撃にフェアズは動けず、鎖はフェアズを捉える。


「っ、|imaginationイマジネイション


 アマリアの、直接頭に送られる指示がみんなに届く。

 皆は何も疑うことなく駆け出し、リヒトの鎖を掴んだ。


 瞬間、俺の身体もすごく軽くなった。

 同時に、二人の顔色が悪くなる。


 だが、なにも気にせず二人は、《《魔力を気にせず魔法を放ち始めた》》。


「|ground・dollグランド・ドール!!」

icicle(アイシクル)


 アルカは大きな土人形を同時に三体出し、グレールは今までとは比にならないほどの大きさはある氷柱を降りそそがせた。


『な、なによ!! 何なのよ!!』


 鞭で土人形を切り裂き、氷柱は竜の蔓でかみ砕く。

 それでも、二人は魔法を放ち続けた。


 《《魔力の残量など、一切気にしないで》》。


『鎖で足元を固定している。それなら、破壊すればいいだけ……え』


 ――――やっと、魔力が尽き始めたか。


 今までの通りに魔法を出そうとしたらしいが、出せない。

 そりゃ、もうそろそろだよなぁ。


「魔力が……。まさか!!」

「やっと、そこまで減らせたかよ」


 フェアズの魔力は、俺の倍はあっただろう。

 その魔力はほとんど、スピリトが食っている。


 横目で見ると、スピリトの様子がさっきまでと変わっていた。

 涎を垂らし気持ちよさそうにしていたスピリトの表情が、落ち着きを取り戻している。


 目を閉じ、何かを集中しているような様子だ。

 体は赤く光り、火花がパチパチと舞っていた。


「もうそろそろいいと思うよ。これ以上大きくなると、フェアズの身体も知里も持たない」

「わかった。スピリト、準備はいいか?」


 聞くと、『フヒヒ』と、怖い笑顔を浮かべ頷いた。

 こ、怖いな。


「それじゃ、眠くなってきたフェアズさんや。これも防いでもらおうかな、無理だろうけど」

『な、何を……』


 ――――行くぞ、スピリト

 ――――はい、御主人様!


「|Dragonflameダーク・フレイム!!」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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