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新たな魔法は正直土壇場でやりたくないけど仕方がない

「ここまで粘るなんてね。糞餓鬼どもが……」


 フェアズの拳が震えている。

 次の攻撃が来る。


「許さないわ!! 私の力はこんなものではないのよ。もっと、もっと強いの。貴方達人間とは違うんだから!!」


 右手を大きく振り上げたかと思うと、新たな蔓が地面や周りに立つ木から伸び、フェアズの近くに集まり出す。


「あちらも凍らせますか?」

「凍らせたいが……」


 言うと、グレールがすぐさま凍らせるため剣を先ほどと同じように突き出した。


「わかりました。frost(フロスト)


 先程までと同じように冷気が噴射。

 フェアズに集まる蔓を凍らせっ――――


「こお、らない?」


 まったく、凍っていない、だと?


「虚勢ではなく、本当に本気ではなかったみたいですね」

「グレールの魔力が、フェアズに負けたということか?」

「そうです。ここからは私、あまり役には立てないですね。チサト様とリヒト様次第となるかと思います」


 冷静に言いながら、全てを俺達に任せるな……。


 でも、こいつの言う通り、魔力量が今回の勝敗を決めるのなら、チート級の魔力を持っている俺が何とかしないとならんか。


「…………リヒトはchain(チェイン)の準備をしてくれ。俺が捕まえやすいようにあいつを何とかする」


 顔近くにいるリンクを見ながらリヒトに伝えると、二人は頷いた。


「今回はお前の魔法にかかっているからな、俺との相性がいいものを選択したんだ」

『ふん! まさか、私に様々なものを”繋げる”、空間魔法を与えるなんて。属性は何になるのかしら…………』

「わからん、だが、出来たのなら別にいいだろう。お前は特別製の精霊なんだろ? お前だから出来たんだ。深く考えるな」

『そ、そうよ! 私は他の精霊達とは違い、希少の中の希少! このような事は出来て当然なのよ!!』


 高笑いしているところ悪いが、俺達も準備をしなければならない。

 フェアズの準備が整っちまう。


「――――――ん?」

「四方に、蔓の竜が…………」


 大小様々だが、五つの竜が作り出された。

 顔が、俺達へと向けられる。


 ま、まさか、あれを一斉に襲わせるつもりか!?


「今更怯えても無駄よ、私は強い。私は、貴方達のような凡人とは違うのよ!! |fouet viboraビーボラ・フウェ!!!」


 生き物のように動き回る竜が、一斉に俺達に向けて放たれた!?


 まずい!!


「ダークフレっ――――――」

vibration(ヴィブラシオン)


 俺が魔法を出すより早く、アマリアが自身の魔法を発動してくれた。


 たすかっ――


「いっ?!?!?!」


 ────っ!? 耳鳴り!! 

 モスキート音に近い音が辺りに響き渡って、耳が痛い!! 


 これは、なんの魔法だよ!!!


「あっ…………」


 アマリアの魔法と、フェアズの魔法がぶつかり合っている。


 そうか、管理者同士だから魔力は互角、押し合いになっているのか!


「っ! ~~~~~~~!!!」


 にしてもだよ!!! 

 この音、キツいって!!


「辛いとは思うけど、我慢して貰えると助かる。僕の属性は”音”だから、四方に影響するんだよね」

「それを早く言えよ!!」


 そうだったのか……。

 空気を音で震わせ、相殺している感じか?


「邪魔をしないで!!!」


 っ、フェアズの勢いが強くなった。押され始めている。


 アマリアは表情一つ変えない、想定内なのか?


『主! 早く私を使い、この耳障りな音をどうにかしなさい!』

「うるせぇよ!! ならさっさと行け!!」

『もぉ!! わかったわよ!!』


 怒りながらも、リンクは木々の影に隠れながらフェアズの元へと向かった。


 よし、こっちも準備だ。


「アビリティ、ガトリング砲みたいに、flame(フレイム)を連続で出せる魔法とかって、あるか?」

『あります』


 魔導書が勝手にページを開いたかと思えば、すぐに止まった。


「────これか」


 文字が光り、教えてくれる。

 これを、リンクの準備が整ったら放てばいいのか。


 チャンスをものにするため周りを警戒しながらアマリアとフェアズを見ていると、アマリアも苦しげに顔を歪め始めた。


「アマリア、大丈夫か?」

「大丈夫ではないよ。音魔法は基本、全体への攻撃だから力が広がってしまうんだ。一つに集中できない分、威力が弱い」


 全体攻撃は雑魚相手なら有効だが、ボスとかだと威力が出せないからこちらが不利になる。ゲームあるあるだな。


「準備、まだ?」

「もう少し耐えてくれ」


 声も苦しそうだ。

 おい、リンク。まだか……。


 アマリアが力尽きちまったら、さすがに危険だし、早くしてくれ。


「しねぇぇぇええ!!!」


 っ! しまった!! 


 アマリアの周りに複数の蔓、しかも普通の蔓ではなく刃のように鋭く尖っている。


 あんなもん、化け物集団に所属しているアマリアでも、もろに食らっちまったら死んじまうだろ!


 すかさず俺が魔法で蔓を燃やそう考えると、後ろから魔法を唱える声が聞こえた。


「|groundspadaグランド・スパーダ!!」


 声と共に、土の剣が辺りに広がる蔓へと向けられる。

 ガキンと、ぶつかり合った。


 これは、アルカの魔法だ。

 でも、アルカの魔力もフェアズに負けているからか、斬れない。


「凍らせられないのであれば……。icicle(アイシクル)


 次に放たれたのは、グレールの氷魔法。

 上から蔓を叩きつけるように氷の柱が降ってきた。


 それでも、蔓はすり抜けアマリアと俺を狙う。


flame(フレイム)!!」


 この後大きな魔法を放つから炎の竜が出せない。

 でも、flame(フレイム)も意味ないし!!


 やばい、蔓が――……


chain(チェイン)!!」


 迫りくる蔓を、今度はリヒトがchain(チェイン)で食い止める。


 けど、みんなが魔法を出しても、その隙間を縫ってくる。


 早く、早く。


『チサト様、リンク様の準備が整いました』


 アビリティの声だ。

 言葉と同時に魔力を高め、新しい魔法を放つ準備。


 俺の右手付近には、ブラックホールが出現した。


 時間はない、これで仕留めにかかるぞ!!


「――――|Mitrailleuseflameミトラィユーズ・フレイム



ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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