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やるしかないのならやるよ、失敗覚悟だけどな

 フェアズが魔法を唱えると、燃やせなかった蔓が大量にでてきた。


 囲まれている、流石にまずいな。


「こっちの魔法なら燃やせるか? ――――|Dragonflameダーク・フレイム


 さっきより魔力を込め右手から炎の竜を出し、四方から迫りくる蔓を喰らう。


 喰われた蔓は、燃えてチリとなった。


「よっし!!」


 俺に合わせて炎の竜は動いてくれるから、全方位攻撃には適してんだよ。

 それに、これが一番威力が高い。


 だが、数が多く、燃やしても燃やしても意味はない。


 やっぱり、最初に言っていた通りグレールに頼んだ方がいいな。

 イタチごっこだけはごめんだ。


 後ろにいるグレールに目線を向けると、頷いた。


「では、行きますね」

「あぁ、任せたぞ」

「はい」


 グレールが剣を構え、狙いを定める。

 空気が、変わった。


「行きます」


 グレールが動き出すのと同時に、炎の竜を消す。

 燃え散った蔓は地面に落ちるが、まだ残っている蔓は俺達へと向けられた。


frost(フロスト)


 剣を前に突き出すと、白い冷気が勢いよく噴射。周りを囲う蔓は次々と凍り付く。


「すごい…………」

「っ、リヒト! 油断するな!」


 蔓は、噴射されている冷気部分しか凍らない。


 四方から向けられている蔓を全て凍らせることは出来ていないんだぞ!


 ――――――ザシュッ


「あ、アルカ、ありがとう」

「おうよ!」


 リヒトの後ろから迫ってきている蔓を、アルカが切り裂いた。


 ほっとしていると、アマリアが隣に来た。


「知里、リヒトと知里ならフェアズを倒せそうな方法が一つあるんだけど、伝えてもいい?」

「頼む!!」


 この状況を変えられるのなら何でもいい!!

 すぐに返答すると、アマリアが俺とリヒトに聞こえるように教えてくれた。


 だが、その内容に驚きすぎて、リヒトも俺も、思わず言葉を失った。


「ま、まじ?」

「わ、私には難しいですよ!?」

「でも、やらないとあの二人が危険だよ」


 アマリアの視線の先には、木を伝いながらフェアズに攻撃を仕掛けているアルカとグレールの姿。


 たしかに、悩んでいる時間は、なさそう。


 それに、他の方法は今のところ思いつかない。やるしか、ないか。


「わ、わかった……。だが、失敗しても文句言うなよ」

「それなら、他の方法を試すだけだよ。リヒトも大丈夫?」


 アマリアが聞くけど、リヒトからの返答はない。


 俺も顔を覗き込んでくると、めっちゃ顔が青かった。


 まぁ、今聞いた話だと、リヒトの鎖魔法が肝となるし、緊張するのは当然か。


「リヒト、時間がないぞ。早く、やるかやないか決めてくれ」

「で、でも。私にそんなことができるか…………」

「俺も俺の役割が出来るかどうかわからんぞ。でも、やるしかないのならやるし。失敗しても次をアマリアは考えると言っている。失敗覚悟でやらないか?」


 不安なのはわかるが、やるしかないぞ。

 リヒトよ、早く覚悟を決めてくれ。


「…………」


 …………不安なのはわかるが、せめてやるかやらないかの返答だけはくれよ~。


 ――――ドカンッ!!


「っ、何だ!?」


 大きな音が聞こえて振り向くと、アルカが地面に叩きつけられた音だった。

 上を見ると、グレールが蔓を凍らせ何とか抑えている。


 でも、グレールの腕からも血が流れているみたいだ。

 怪我をしている、長くはもたないだろう。


 本当に時間がない!!


「リヒト! せめてやるかやらないかだけでも言ってくれ。やらないのなら他の方法をすぐに考える。でも、失敗覚悟でやると言ってくれるのなら、すぐに行動に移る!」

「わ、わかり、ました。や、やります」


 口ではやると言っているが、顔は青いし杖を握る手は震えている。


 あれだと、失敗覚悟だと言っても危険そうだ。


 やっぱり、他の方法を試すしか……。

 そんなことを考えていると、アマリアがリヒトの前まで移動した。


 どうしたんだ?


「君、確かSランクのダンジョンにいたモンスター、ワイバーンを拘束魔法で動きを封じていた実績があるよね?」


 あー、たしかにそんなことがあったな。

 俺が初めてこの世界に来た時に。


「っ、え、は、はい。何で知っているんですか?」

「ダンジョンを管理している管理者から話を聞いていたの。村長の件があったから情報共有」


 まぁ、そうか。


「まぁ、今はどうでもいいよ。そんなことより、君はワイバーンを拘束しただけでなく、アルカの足場を作ってあげるという連携技も習得しているみたいだけど、あってる?」

「は、はい……」

「普通、拘束魔法をそこまで扱える冒険者はいないんだよ。ワイバーンを拘束した実績だけでもすごい。君は、自分が思っているより何倍も実力を持っている。管理者である僕が言っているんだよ、もう少し自分を信じて」


 アマリアの言葉に、リヒトの表情が変わった。


「それでも、出来ないのなら言って。他の方法を考え直すから」

「やります、やらせてください!!」


 お、おぉ、やる気満々。


「みたいだよ、知里」

「サンキュー。なら、早く準備をしよう」


 リヒトの覚悟が決まったのなら、早いこと行動に移す。


「やってやる。必ず、フェアズをアマリアの元に返してやるよ」


ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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