説明役がいると俺は話さなくてもいいから楽だな
俺がベッドに座り直すと、ロゼ姫も近くに置かれている、貝殻をモチーフにした椅子に座った。
「お話は聞かせていただいております、お疲れさまでした」
「あー、おー、うん、はい」
これ、どういう感じで話せばいいんだ? 王と話すように話せばいいのか?
いや、今は何を話せばいいんだろうか。頭がまだ整理できていない。
「体調の方は大丈夫でしょうか? 痛いところなどがありましたら遠慮せずお申し付けください。治せるものでしたら、治します」
「あ、いや、それは大丈夫。怪我とかは特にないから」
「それなら安心しました」
「…………」
「…………」
おっと、ここで会話が終わり?
これは俺から何かを切り出さないと、ずっとこの気まずい空気が続くの?
「えっと、あ。なぁ、アルカ」
「ん? なんだ?」
「フェアズはどうなったんだ?」
俺が怒りに任せ、|Dragonflameを出したのは覚えている。
スピリトの力も借りて、辺り一体を真っ赤にした記憶もあるんだけど、それ以降どうなったのかわからない。
おそらく、魔力を全力で出し過ぎて強制睡眠してしまったんだろうな。
魔力がなくなれば抗う事の出来ない睡魔に襲われ、長いこと眠りにつく。
リヒトが一度それで、一週間程度寝ていたはず。
俺が数週間寝ていたのは、魔力を入れている器がリヒトより何十倍も大きいから、その分回復にも時間がかかったんだろう。
俺が質問するとアルカは眉を下げ、気まずそうに顔を俯かせてしまった。
え、まさか俺、殺しちまったなんてことないよな?
まさか、死体はもう埋めた後で、何とかごまかそうと言葉を選んでいるとか?
…………殺す事を目的とはしているが、こんな形で殺すのはなんか違うだろ。
いや、本当に殺すことはないと言いますか、なんと言いますか……。
苦笑いを浮かべていると、アルカが重い口を開き教えてくれた。
「わ、からないんだ」
「え、わからない?」
骨の髄まで灰にしちまったのか?
「カガミヤが魔法を放った時、辺り一面火の海になって。唖然としていると、カガミヤはすぐに倒れちまうし……。どうすればいいのかわからず動けないでいると、魔力を切らした炎の竜は自然と消えて、地面にフェアズがいると思ったんだが、何もいなかったんだ」
へ、へぇ……。
「燃やし尽くされたと言っても、何も残っていないのはおかしいし。忽然とその場から姿を消したみたいな感じだったんだ。だから、フェアズがどうなったのか、俺達にもわからない」
アルカの言葉を確認するため、リヒトとヒュース皇子を見るが、顔を俯かせ何も言わない。事実か……。
忽然と姿を消した、か。
いや、管理者なのなら出来るような気がする。
死んでいない、で良いよな。
────安心している自分がいる。
殺す事を目的としているのに、実際殺してしまったと思うと焦った。
そりゃ、そうか。
人を本気で殺そうと思ったことなんて現代ではないし、殺したこともない。
俺は、平凡な会社員で。家で貯金通帳を眺めほくそ笑むのを趣味としている、ただの会社員なんだ。こんな所に連れてこられる事すらおかしい。
……あ、夢の内容も思い出した。
カケルが最後、糞な言葉を吐き出していたな。
「見当を祈る。異世界から召喚された、次なる英雄よ―――ねぇ。はぁぁぁぁぁぁぁあ……」
俺の独り言に、ロゼ姫以外の三人は首を傾げている。
んー、俺が見た夢をこいつらに伝えるべきか、伝えないべきか。
伝えた時、めんどくさい説明を求められそうだなぁ。
俺自身、よくわかっていないし、求められても困る。ここは黙っておこう。
俺がめんどくさがっていると、指輪が急に光り出した。
『私がご説明いたします』
「お、アビリティか。俺もお前に聞きたい事が山ほどできたんだ、助かるよ」
いきなり現れたアビリティに、アルカとリヒトは肩を震わせ、ヒュース皇子と姫は目を開き驚愕。
「アビリティが、話した?」
「話すアビリティ……。それは確か、百年以上前の英雄、カケル=ルーナが持っていたはず。なぜ、貴方が持っているのですか?」
やっぱり説明を求められたか。
これは俺よりアビリティが話してくれるだろう。
『では、最初から説明をさせていただきます。省略する部分もあり、簡潔になってしまいますが、ご了承ください』
最初にお詫びを言って、アビリティが俺についてやカケルの現状を掻い摘んで話し出した。
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