俺の金よ、そんな姿になってまで逃げるなよ
「飲みこみやが、た?」
「うそ…………」
俺とリヒトの驚きの声が重なった時、げっぷを漏らしショスが俺達に口を向けて来る。
来るのは毒か、それともまた違った攻撃か。
避けたらまずsiegeflameを出し、炎の鳥籠で動きを封じて。|turbo flameを出し、炎の竜巻で包み込む。
燃えるかわからないが、試す価値はあるはずだ。
さぁ、何でも来い――え?
「カガミヤ、あいつの口の中、赤くないか?」
「あぁ、赤いな。まるで、俺が放っている炎のように綺麗に燃えているな。いやぁ、綺麗な炎だ、さすが俺の放つ炎」
気づいた瞬間、ショスの口から俺が先ほど放った炎の竜が放たれた。
くそがぁぁぁあ!!!!
「wave water!!!」
高波で竜の炎を蒸発させ、そのままショスへと向けて放つ。
「避ける場所はない、そのまま食らいやがれ!」
っ、またしても口を広げた。
でも、こんな広範囲、さすがにノーダメージは無理だろ!
「――――――はぁぁぁぁあああ??」
え、ちょ、まっ、え?
「ぬしの水魔法、吸い込まれたぞ?」
「あいつの身体はブラックホールか!!!」
まさか吸い込まれるなんて!!
放出系の魔法は全て効かないのか? ふざけるな!!
なら、放出系の魔法ではなく、属性を纏わせ――駄目だ。
アルカの地の剣が効かないんだった。
包み込む、広範囲、物理。すべてが駄目なのか。
次に試せるのは、やっぱり炎の竜巻だな。
turboflameで地面から炎の竜巻を起こし、閉じ込め、リヒトのチェインで拘束。
最大火力の|Dragonflameで食ってやる。
「チサト、水属性を持っているな。私に貸せ」
「…………属性を他人に移すって可能なのか?」
「魔法を組み合わせるという事だ、もらっても困る」
「あ、あぁ…………」
焦った、俺の水属性がヒュース皇子に取られるのかと思った。
組み合わせる……か、なるほど。
水と雷は相性がいい、吸い込まれたとしても体内から感電してくれれば、その隙を突ける。
少しでも、ダメージ与えられればなんでもいい。
「俺は何を出せばいい?」
「さっきの波でいい、私がそれに雷の基本魔法を放つ」
「了解」
うねうね体を動かしているショスに狙いを定め、先ほどと同じ魔法をぶっ放す。
「wavewater」
高波を作り出し、ショスに向けて放つ。
タイミングを合わせ、ヒュース皇子が雷の属性魔法を付与させた。
「Thunder!!」
持っている剣を波へと向けると、バチバチと音を鳴らし、雷が真っすぐ波に向かう。ぶつかると、水が雷を吸収し、発光した。
雷の含まれた波で痺れさせてやる!
「少しでもダメージを食らえや!」
バチバチと雷の纏われている波を、またしても吸い込もうと口を開く。
またしても吸い込むつもりらしいが、内側からダメージを与えられるはず。
――――――ドカン!!!!
「っ!?!?!?」
何処から現れたのかわからない土人形が、ショスを殴った?
バランスを崩し、雷が纏われている波をもろに受けた。
――――――キュアァァァァァアアアアアアアア!!!!!!
体に電気が走っている!!
今は体が痺れて動けない。
今しかチャンスはない!!
「スピリト、準備は出来てるな!」
『はい!! なんでももってこいです!!』
気合十分。
雷の水の中で暴れているショスに狙いを定め、スピリトと目を合わせる。
「今度こそ、喰われてくれよな! |Dragonflame」
殺気とは比べ物にならないほどの魔力を、|Dragonflameに込める。
手のひらが、赤く染まる。火が現れ、それが大きくなり、大きな炎の竜を作り出した。
『やぁああ!!!!』
スピリトが杖を構えると、炎の竜は杖に合わせるように動く。
頭の上まで振り上げた杖を下ろすと、竜は大きな口を開け、痺れているショスを喰らい尽くす。
スピリトの杖の動きに合わせ動く竜、俺の魔力とスピリトの火力。
これで、燃え尽きやがれ!!!!
――――――ガァァァァァァァアアアアアア!
悲鳴が地面を揺らし、赤色の炎がパチパチとショスを燃やし尽くす。
このまま何事もなければいいのだけれど……。
全員警戒を解かずに見続けていると、炎が徐々に小さくなっていく。
なにも、ない……。燃やし尽くせたのか?
徐々に小さくなっていく炎、消えたから近付くと、そこには少しの炭しか残っていなかった。
地面を指で触ってみても、微かな魔物の気配しか感じない。
周りを見ても、特に何もなっ――……
『主、右側。微かな気配を感じます、早いです』
っ、横――なんだあの、小さなモンスター??
あれは、小さくなったショス?
俺達から逃げるように走っている。
「待ちやがれ!!」
なるほどな。俺が炎であいつの身体の半分以上を燃えつくしたから、大きな体が保てなくなったんだな。
早く追いかけ、とどめを刺さなければ報酬がゲット出来ない!!
「chain!!」
リヒトの声、同時に走っている小さなショスの足元から複数の鎖が出現。ショスを捕まえた。
「おぉ、さすがだな、リヒト」
「戦闘では何も出来なかったので、せめてこれくらいはしなければ、私が共に来た意味がありませんので」
リヒトの方を見ると、アルカが何故かふらついている。
あ、まさか。さっきの土人形は、アルカの魔法なのか?
「アルカ、さっきの土人形はお前の魔法か?」
「あぁ。出している時、魔力を常に吸い取られるし、出す時にめっちゃ使うからあまり出せないんだけどな」
顔が青い。
そんな魔法を使ってくれたのか、ありがたいな。
アルカのおかげで倒せた。
杖を握るリヒトの姿は本当に頼もしい。
後方がいるのといないのでは安心感が違う、マジで助かった。
「さて、身動きの取れないSSランクモンスター、ショス。お前にとどめを刺させてもらうぞ、俺の金になれ」
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