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チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします  作者: 桜桃
第一章 異世界への始まり

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昔の君に

「さて、一日が経ったわね。まさか、本当に来ないつもりなのかしら」


 フェアズが一人、吊るされたアルカたちを見上げながら呟いた。

 目を閉じていた二人は、ゆっくりと瞼を開きフェアズを見る。


 彼女を認識した瞬間、アルカは鎖をガシャガシャと鳴らしながら暴れ出した。


「早くこれを解け!!」

「あらあら、元気ねぇ。暴れてもいいけど、無駄に体力を消耗するだけじゃないかしら」


 口元に手を当て、楽しそうに笑うフェアズ。

 アルカは顔を真っ赤にし、再び怒鳴り散らす。


「早くこれを解けよ!! こんなことしても意味がないって分かっただろうが!!」

「安心してちょうだい。貴方たちは巻き込まれた側。痛みを感じることなく葬ってあげるわ」


 当たり前のような口調で残酷なことを言うフェアズに、アルカの顔は青ざめる。


 言葉を失ったアルカの様子を見て、フェアズは赤い唇を歪めた。


 そして、右手を横へ伸ばす。

 何もない空間から、一本の鞭が生まれた。


 それを掴み、妖艶な笑みを浮かべながらアルカを見上げる。


「さて、時間切れね。貴方たちは、お金に負けたということかしら? 可哀想ねぇ。力もない。信じていた仲間には裏切られ、関係もないのに殺される。ほんと、哀れねぇ」


 フェアズの言葉に、アルカは怒りと恐怖で体を小刻みに震わせる。

 リヒトも何も言えず、肩を震わせながら目に涙を浮かべていた。


「本当に可哀想。自分は何も悪いことをしていないのに、命を奪われなければならないなんて。でもね、弱いのが悪いのよ。弱者だから強者に負ける。弱いから抗えない。すべては自分が悪いのよ。諦めなさい」


 何度も「可哀想」と言うフェアズに、リヒトはわずかな違和感を覚え眉をひそめた。


「…………あの人、何を……」

「リヒト?」


 リヒトが呟いたその時、フェアズはコツ、コツと歩みを進め、バチンッと地面を鞭で叩いた。


 乾いた音が辺りに響き、アルカとリヒトは肩をビクッと震わせる。


「ふふっ、その顔……最高ねぇ。たまらないわぁ」


 地面を蹴り、二人の前へ跳ぶフェアズ。

 アルカの頬に手を添え、顔を近づけた。


「昨日、鏡谷知里は助けに来ない。そう言っていたけれど、本当は少しだけ信じていたんじゃないかしら? あの人なら助けに来てくれるって」


 二人は何も言えない。

 ただ、フェアズを見つめるだけだった。


「今、どんな気分かしら。仲間だと思っていた人に裏切られて、悲しい?」

「……なんで、そんなこと聞くんだよ」

「楽しいからよ」


 くすくすと笑うフェアズ。


「弱い子が強い者にひれ伏し、何も出来ず抗えない。その時、何を思うのか。それを聞きたいの」


 アルカの頬から手を離す。


「ふふっ。まあ、これ以上怖がらせても意味はないわよね。もう、楽にしてあげる」


 鞭を握り直し、振り上げた。

 アルカとリヒトは顔面蒼白のまま、その鞭を見つめることしか出来ない。


 逃げることも出来ない。

 魔法を使う余裕もない。


「さようなら」


 言葉と同時に、鞭が振り下ろされた。


 二人は咄嗟に目を閉じた。


 しかし――

 いつまで経っても衝撃が来ない。


 もしかして、知里が助けに来た?

 そう思い目を開ける。

 だが、そこにいたのは予想外の人物だった。


「ここまでだよ、フェアズ」

「アマリア……なんで……」


 青年の姿をしたアマリアが、フェアズの手首を掴んでいた。


 その表情は無。


 何を考えているのか読み取れない。


 フェアズは歯を食いしばり、肩越しにアマリアを睨む。


「フェアズ。さすがにやりすぎだ。昨日のは脅しで済むかもしれない。でも本当に殺したら違反だ」


 アマリアは目を細める。


「違反になったらどうなるか……分からないとは言わせない」

「うるさいわね!」


 フェアズは手首を振りほどき、距離を取る。

 怒りで顔を歪め、拳を強く握りしめる。


 握りすぎた拳から、血が滴り落ちた。


「どうして貴方は、いつも私の邪魔ばかりするの! 管理者になってから、私がやること全部邪魔してきたわよね!」


 挑発するように叫ぶ。

 だが、アマリアの表情は変わらない。


「僕は管理者のルールに従って動いている。だから問題ない。君は違反ギリギリだ」

「違反なんてしてないわよ!」


 フェアズは叫ぶ。


「私たちに楯突くなら殺せばいい! 私たちは管理者よ! この世界の命は、全部私たちのものなの!」


 アマリアは小さく肩をすくめた。


「……何を言っても無駄みたいだね」


 そして、静かに言う。


「どうして君は、そうなってしまったんだろう」


 フェアズの瞳が揺れる。


「人間だった頃の君は、本当に優しくて……素敵な女性だったのに」


 アルカたちに矛先が向かないよう、アマリアは前に立つ。

 フェアズの顔が真っ赤になる。


「黙れ!!」


 甲高い声が響いた。


「人間だった頃の話はするな!! 優しいから何!? 優しいから何になるの!?」


 声を荒げる。


「この世界は力がすべてよ! 力がある者は、ない者を好きに出来る! 力さえあれば何でも出来るのよ!!」

「違うよ、フェアズ」


 アマリアは静かに言った。


「力があっても、心を変えてはいけない」


 そして続ける。


「力があるからといって、人の命を簡単に奪ってはいけない」


 ゆっくりと言葉を落とす。


「今の君は……後ろの二人にとって()()だ」


 アルカとリヒトが目を見開く。


「理不尽に命を奪う存在」


 アマリアはフェアズを見つめる。


「そんな汚い人間のようなことを、君は続けるのかい?」


 沈黙。

 そしてアマリアは言う。


「まだ間に合う。昔の、優しい君に戻ってくれないか」


 今まで無だった表情が、微かに歪む。


「人を殺すのは……辛くて苦しい。君には耐えられない」


 最後に、静かに言った。


「だからお願いだ。村で孤立していた僕に、手を差し伸べてくれた、昔の優しい君に――」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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