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チート魔力のせいで世界の管理者に目を付けられましたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします  作者: 桜桃
第一章 異世界への始まり

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後悔と涙

 森林の中を歩く二人。

 湿った地面を踏む音だけが響く。


 沈黙が、重い。

 耐えきれなくなったのはアマリアだった。


「……しゃべってもいい?」


 フェアズの足が止まる。

 ゆっくりと視線だけを向ける。


「わざわざ聞く必要ある?」


 声が冷たい。


「もしかして、何か企んでいるの? 勝手な行動は許さないわよ。私から離れないこと、裏で動かないこと、怪しい真似をしないこと。全部守る約束で同行を許しているの。癪に障ることは言わないで」

「怒涛の言葉責めだね……」

「傷ついた声を出さないで。どうせ平気なくせに」

「フェアズの言葉なら、さすがに少しは傷つくよ」

「全然気にしてない顔してるけど」


 小さなため息。


「それで? 何が聞きたいのかしら」

「ありがとう。今回のことだよ」


 アマリアの声がわずかに真剣になる。


「ここまで独断で動けば、クロヌ様に気づかれる。覚悟の上?」

「ええ」


 知っているといわんばかりに即答。


「私は世界の均衡を守るために動いている。それだけよ」


 拳が握られる。


「百年前は何もできなかった。もう、あんな思いはごめんよ」


 声が、怒りで低くなる。


「カケル=ルーナに不意を突かれた。五人がかりでやっと封印。もし失敗していたら……」


 恐怖や悔しさを押し込めるように、歯を食いしばる。


「私は何も出来なかった。後から来たアクアの方が活躍していた。私だって、弱くないのに」


 森が静まる。

 アマリアは少し目を細めた。


 そして、ローブから手を出し、フェアズの頬をぺち、と叩いた。


「……え?」


 予想外の行動。

 きょとんとするフェアズ。


「まず、前提を整理しよう」


 淡々とした声。


「アクアは攻撃特化。僕達は補助寄りの魔法を得意とする。だから、そもそも、役割が違う」


 人差し指で軽く示す。


「向き不向きがある。属性も相性もある。それを理解できないほど、君は馬鹿だったかな?」

「なっ……!」


 怒鳴ろうとした口を、アマリアが指で押さえる。


「君は強いよ。人間の頃よりずっと。自分の出来る範囲で最大限やればいい。それで十分じゃない?」


 正論。

 あまりにも正しい。


 だからこそ、刺さる。


 指が離れる。


 アマリアが歩きだした。

 後ろから聞こえたのは、低い声。


「アマリアは、いいよね」


 空気が変わる。


「攻撃も補助も出来る。昔からそう。何でも出来た」


 魔力が滲み出る。

 湿気が震える。


「掃除も料理も。私はいつも中途半端だった」


 アマリアが振り返る。

 嫌な気配。


「魔法も。“音”なんて便利な属性。攻撃にも支援にも使える」


 殺気。

 森の葉が震える。


「フェアズ、落ち着いて」

「私はもう弱くない」


 声が震える。

 怒りか、悔しさか。


「誰かに守られる存在じゃない!」


 アマリアが手を伸ばす。


 その瞬間。


 ――パンッ!!


 乾いた音が森に響く。

 伸ばした手が弾かれた。


「関わらないで!」


 フェアズの瞳が揺れる。

 怒りの奥に、恐怖がある。


「今回も一人でやる! 貴方は帰って!」


 言い切ると同時に、姿が掻き消える。


 静寂。


 残されたのは、湿った森と赤くなった手。


 アマリアはそれを見つめた。


 じんじんと痛む。

 だが、それ以上に胸が痛い。


「フェアズ……」


 小さく呟く。


「君は、力を求めているんじゃない」


 視線が揺れる。


「認められたかっただけなんだろう」


 森が風に鳴る。


「僕は、どうすればよかった」


 一瞬、泣きそうになる。

 だが、首を振る。


 今は立ち止まれない。


「……どこで、道を間違えた」


 懺悔のような言葉を残し、アマリアもまた、風のように消えた。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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