もう、予想外な展開はお腹がいっぱいだってば…………
「あの、カガミヤさん? まだ体調が優れないですか?」
「え、そうなのか? まだ休むか?」
「…………なんでもない」
俺は、俺は……。
あぁ、あぁぁああ、黒歴史を作ってしまったぁぁぁぁぁああ。
今、俺達は、約束の場所に向かう為、人込みの中歩いていた。
人酔いする場面なんだが、今はそれどころではない。
俺は今日、二度寝をしてしまったらしい。
それはいいんだが目を覚ました時、なぜか目の前にリヒト。手に違和感があり見てみると、俺が、リヒトの手を、握っていた。
いつ、いつだ? 俺はいつリヒトの手を握った? 思い出せない……。
はぁぁぁぁぁぁ、死にたい。マジで、死にたい。
寝た時の俺は何をしていたんだ、なんで自分より子供のリヒトに縋っていたんだ。
誰か俺をころせぇぇぇぇえええ。
「もしかして、リヒトの手を握っていたのを気にしているのか?」
「黙れ」
「やっぱりか、だろうなと思ったわ」
アルカがリヒトに聞こえないような声で言ってきやがる。しかも、ピンポイントに当ててきやがった。
誤魔化せる頭が今はないんだから、やめてくれ。
ケラケラ笑っているアルカの頭に鉄槌でも落としてやろうかと考えた時、リヒトが前方を指さした。
「あ、もしかしてあの人かな?」
「ん?」
二人の視線の先、一人の青年が人込みを避けるように建物の影に立っていた。
王族のような服装を着用。藍色の髪を一つにまとめている。
金色の瞳からは、生気を感じない。
近づくと、相手もこっちに気づき近寄ってきた。
――――って、こいつ、え? こいつが待ち合わせ相手の皇子の側近?
側近なのか? 雰囲気的に皇子本人っぽいんだけど、というか──……
「お前って、ギルドに居た…………」
「やっぱり、見えていたんだ」
思っていたより高い声。中世的というか…………。
まぁ、それはどうでもいいんだけど――……
「ちっさ」
「……ほう」
「いった!!!!!!」
こいつ!!! 容赦なく俺の脛を蹴りやがった!! なんなんこいつ!!
だって、仕方がないだろ!! お前の頭の位置、俺の腰辺りだぞ!! 小さいだろ!!
「私に向かってそのような事を言うなど、ぬしは恐れを知らん。一度牢に入れてやろうか」
「何が恐れを知らないだよ。なら、お前は常識を知らないの罪で牢へと入ればいい」
なんなんだよ、この糞餓鬼。
……リヒトより小さいんじゃないか? なのに、態度はでかい。
「はぁ、まぁいいわ。ひとまず、今回の護衛対象である皇子に会わせろ。確か、ヒュースとかいう奴のはずだ」
言うと、何故か目を丸くした。
なんだ? 何か言いたげにしている。
「何を言っているんだ貴様。目の前にいるだろう」
「は? 目の前…………お前?」
「あぁ」
「…………はぁ?」
え、まさか、こいつが?
「私が、ぬしの護衛対象、ヒュース・アグリオスだ」
「なに言ってんだ、お前」
「自己紹介をしただけだ」
思わず口が滑ったが、え。こいつがヒュース・アグリオス? ヒュース・アグリオスって、たしか皇子なんだろ?
皇子がなんでこんな所で胡坐をかいてんだよ、城に戻れよ。
というか、護衛対象が一人で出歩くなんて、護衛付ける意味なくねぇか?
「なんだ、まさか馬鹿にしていた相手が皇子という上位の立場で驚いたか」
「確かに驚いたな。まさか、今回の護衛対象がこんなちびなんておもわっ――どわ!!!!」
「ちびではない。少し、人より成長速度が遅いだけだ」
くっそ、またしても脛を蹴りやがって……。
弁慶の泣き所なんだぞここ、ふざけるな……。
「それを一般的にはちびと言うんだよ。お前は、今いくつだよ」
「答える必要はない」
「隠す必要ないだろ、二十五歳」
「なんで知っている!!」
「いや、護衛依頼の資料に書いていたからだが?」
「今すぐ忘れろ」
「無茶言うな…………」
こいつが今回の護衛対象……。あぁ、頭が痛くなってきた。
これは確かに、依頼を断られても仕方がない。
「まぁ、いいわ。俺はこれからお前の護衛をしなければならない。お互い嫌だろうが、そこはお互い我慢するぞ」
「その必要はない、護衛依頼は無くなるからだ」
「……………………はい?」
アルカとリヒトも驚いているが、俺が一番驚いているぞ。
こいつは何を言っているんだ? 護衛任務がなくなるだと?
なら、俺達は何でここまで来たんだ。
ダンジョン攻略を後回しにしてまで、なぜ俺はここまで来た?
「私は行くなど言っていない。親が勝手に決めた事だ、オスクリタ海底に住む王の娘と婚約など絶対しない。だから、私は行かない」
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