こんなに早く起きる意味を教えてください
話し合いは無事終了。
今回のモンスターは本当に骨が折れそうで、正直行きたくない。
だが、これを乗り越えなければここまで来た意味がない。
諦めれば一千五百万もない。
何も得られないまま帰ることになる。
それだけは絶対に嫌だ。
なにがなんでも一千五百万を持ち帰る。
本当は九百万も欲しかったんだ、一千五百万は絶対にもらう。
気合を入れていると、肩を叩かれた。
振り向くと、無表情のヒュース皇子が立っている。
「向かうのはいつだ」
「お前はいつがいい?」
「今回はぬしの都合に合わせよう。巻き込んだのはこちらだからな」
……えぇ。
そう言われても困る。
基本、思い立ったら即行動タイプだ。
明日でもいい気はするが、さすがに事前準備がいるだろう。
「リヒトとアルカ、何か準備あるか?」
「私は特にありません」
「俺も大丈夫だぞ」
「だよなー」
全員問題なし。
なら明日……いや、待て。
今回はダンジョンじゃない。
この国の東、巨大な樹木が立ち並ぶ森。
屋外だ。
天候が戦闘を左右する。
ダンジョンと違って環境を選べない。
少しでも有利な条件で戦いたい。
「この世界で、天候を調べる方法ってあるか?」
「ギルドの掲示板に一週間の予報がある。確認するか?」
「それ見てから決めよう」
アルカとリヒトには部屋で待ってもらい、俺とヒュース皇子だけで向かう。
……城を出た瞬間。
人。
人。
人。
「あぁ…………人だぁぁぁあああ……」
「顔色が悪いぞ。大丈夫か?」
「問題ないとは言えないくらいには弱ってる。俺、人酔いするんだよ」
視界がうるさい。
音が多い。
人の気配が密集してるのが無理。
「病ではないのか?」
「人混みに来なきゃ平気だ。休めば治る。だから早く終わらせたい。急ごう」
「分かった」
無言で歩き、ギルドに到着。
掲示板の隅に、小さく天気予報が描かれていた。
「小さっ……」
言われなきゃ気付かん。
「ほとんど晴れか。なら明日行こう。雨が降る前に」
「雨?」
「地面がぬかるむ。視界も悪い。戦いにくいに、炎魔法の威力が弱まりそうでヤダ」
ほんの少しでも悪条件は避けたい。
「そこまで考えていたのか」
「SSランクが逃げ帰ってるんだろ? 用心しすぎてちょうどいい」
「そうだな」
出立は明日。
今日は休養。
戦闘続きで身体が悲鳴を上げている。
二十八歳の身体、舐めんな。
急ぎたい気持ちもあるが、この依頼が終わったら休む。
効率も大事だ。
「じゃ、帰って寝るか」
「あぁ、明日は頼むぞ、チサト」
「お前もな、ヒュース皇子」
※
ショスがいるとされる森へ、無事到着。
思ったより早く着いたのは、ヒュース皇子が馬車を用意してくれていたからだ。
朝、目を覚ましたら出発準備完了していた。
アルカもリヒトも驚いていた。
「カガミヤさん、準備は?」
「準備は万端。眠いだけ」
「大丈夫ですか? これからSS以上ですよ?」
「大丈夫って言うしかないだろ」
起床六時。
社会人ならまだ寝てる時間。
しかも叩き起こされた。物理的に。
痛かった。
「入るぞ。集中しろ」
「分かってるってーの」
ヒュース皇子、やる気満々だな。
仕方ない。
やるか。
武器問題なし。
スピリトはすでに待機。
リンクは今回は出番なし。
下手に属性決めたくないし、うるさいし。
目の前に広がる、空を覆う巨木の森。
この中で戦うのか。
炎が弱点。
……引火とか、しないよな?
いや待て。
森、乾燥、炎。
「……これ、燃え広がったら俺ら指名手配とかないよな?」
戦闘前だというのに、嫌な想像がよぎった。
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