透視ってこんな感じなのかぁ
表通りに出て、ギルドへ向かう。
その間、俺は終始顔が青ざめていたと思う。
だって、人混みが気持ち悪いんだもん。
「あともう少しの辛抱だ。頑張れ、カガミヤ」
「あぁ、あともう少しで天国だよって意味でか? オアシスのために頑張るよ」
「シャレにならんことを言うな!! ギルドだよ!! 天国に行くな!!」
アルカの叫びで耳をやられた直後、ギルドらしき建物が見えた。
「あれか? ……さすがグランド国のギルドだな。立派だ」
近づくと、想像以上に大きい。
建物に入らずとも、外に受付が設けられている。
一人の女性が立ち、その隣の扉はおそらく銀行へ続いているのだろう。
掲示板も整然としている。
紙の端が破れていない掲示板なんて、なかなか見ない。
「冒険者様ですか?」
「おう」
「ライセンスをお借りしてもよろしいでしょうか。ランク確認後、適した依頼をご案内いたします」
しっかりしている。
いや、これが普通なのか?
だが、今回の目的は依頼受注じゃない。
「あ、いや。俺たちは九百万をこなしている最中だ」
「きゅ、九百万?」
首を傾げる受付嬢に、アルカが違う任務を遂行中と伝えた。
「そうでしたか。では、どのようなご要件でしょう?」
アルカが視線で助けを求めてくる。
はいはい。
「街の端にある“墓地送り”と呼ばれる区域。あそこにいる者たちがかかった原因不明の病について知りたい」
「……また、ですか」
「また?」
今までも聞かれているってことか。
だが未解決。
つまり――冒険者ではどうにもならない案件。
やっぱ俺たちの出番じゃなくね?
「依頼自体は出ています。しかし、どの冒険者も途中で撤退してしまうのです。SSランクであっても」
SSでも逃げる案件……。
やばくね?
「なぁ、それ……Aランクの俺たちでも受けられるのか?」
アルカ君?
俺、受けたくないよ?
「受注は可能です。ただし、途中放棄が続いたため、攻略不可と判断された場合は罰金が発生します」
「罰金!?」
それは聞いてない。
どう考えても地雷案件だろ。
やめよう。絶対やめよう。
「……ちなみに、報酬は?」
アルカ、お前まさか……。
「通常報酬の五倍です」
「五倍!?!? え、五倍って、ぐ、具体的にはいくらは固いのですか?」
「カガミヤ、よだれ……」
おっと、いけないいけない。
よだれを拭き、再度聞いてみた。
「具体的には? いくら? いくらだ?」
「SSランクの依頼の基本報酬が三百万から始まるのです。それの五倍なので、一千五百万ですね」
「一千、五百万!?!?」
一千五百万ということは、ゼロが一十百千万――六個。
ゼロが六個の報酬だと!!
「その依頼、俺たちが請け負う!!」
「カガミヤって扱いやすいのか扱いにくいのかわからんな」
「うるせぇわ」
一千五百万だぞ?
ゼロが六個だぞ??
受けない選択肢、あるか?
「ですが、現在別の依頼を受注中とのことでしたね? 規定により、高ランク設定されている依頼は、同時進行できません。完了後に正式受注をお願いします」
なるほど、九百万をもらった後に一千五百万を受け取るということだな。それに関してはわかった。
問題は、母親がそこまでもつかどうか、だな。
「――ん?」
「どうした?」
「……いや、何でもない」
視線を感じた。
受付の奥。
半開きの扉の向こう。
人の気配。
……そういえば俺、透視スキル持ってたな。
(「アビリティ、透視できるか?」)
(『はい。スキル“透視”を発動します』)
壁の向こうが見えた。
おぉ、これが透視か。
カジノで使えそうだな。
おっ、いたいた。
藍色の髪を後ろで束ねた青年。
高貴な服装。
上位層の人間か?
だが、なぜ隠れる?
(……――っ!?)
目が、合った。
気づかれた?
透視は感知されないはずだ。
なのに、今も目が合っている。
逸らせない。
――走った!?
「待て!!」
「きゃっ! 困ります!」
受付を飛び越え、奥へ走る。
扉を開けたが――もういない。
速い。
気配を探る。
アビリティにも確認。
……結果は同じ。
消えた。
「カガミヤ!! 戻れ!! 受付の人が困ってる!!」
「……あぁ」
今は戻るしかない。
だが、あれで終わりのはずがない。
どこかでまた会う。
絶対に。
……あいつの目。
金色だった。
だが、濁っていた。
まるで、昔の俺みたいに。
何もかも諦めた目。
でも、死にたくなくて。
消えたくなくて。
何かに縋りたいのに、それすら許さない目。
誰にも期待しないと決めた瞳だった。
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