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チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします  作者: 桜桃
第一章 セーラ村

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なんでトラブルというものは俺に舞い込んでくるんだよ

 はぁ……人込み、マジで無理。

 前を歩く二人は元気でいいよな。俺のことも少しは気遣ってくれ。


 あー、やばい。本格的に気持ち悪くなってきた。

 いや、九百万が待っている以来だ。ここで倒れこむわけにはいかないぞ、俺。


「カガミヤさん、顔が真っ青ですが、大丈夫ですか?」


 やっとリヒトが気づいてくれた。

 アルカも心配そうに顔を覗き込んでくる。


「本当に顔色悪いな。大丈夫か?」

「大丈夫じゃない。だが、九百万のために俺が動く。這ってでもな」

「這うことになる前に休もうぜ……!」


 活気がすごい。賑やかで、明るい。

 笑い声が飛び交い、店も派手な色で統一されていて、視覚的にも楽しませる街だ。


「は、早くカガミヤが休めるように宿を取ろう」

「そ、う、ね……」


 二人が急いでくれる。

 ありがたい。マジでしんど――……


 ――――ドンッ


「おっと、なんだ?」


 足に何かがぶつかった。

 下を見ると、ぼろぼろの服を着た子供が立っている。フードで顔は見えず、性別もわからない。


 ガサッ。


 ……ああ、なるほど。


「すいませんでした」


 少年の声だ。

 そのまま走り去ろうとする。


 やるならもっと上手くやれよ。

 小さな水球を作り、少年の足元へ放る。


「待て、糞餓鬼」

「うわっ!?」


 少年が転ぶ。

 いや、転ばせた。水球で足を取って。


 顔面蒼白で足元を見る。そこにはまだ水球が絡みついている。


 近づき、奪われた袋――俺の財布代わりを拾い上げる。


「カガミヤさん、これは……?」

「見ての通り、スリだ」


 二人が少年を見下ろす。


「あの、怖がってませんか?」


 リヒトの言う通り、少年は震えている。


 ……ならやるなよ。

 周囲の視線も集まってきた。


「……はぁ。来い」


 水を消し、少年を立たせる。

 建物の影へ移動した。


 逃げないな。よし。


「で、なんで盗んだ?」

「……お金が、ないから」


 まあ、想定内。


「なんで無い?」

「…………」


 そこで黙るのかよ。

 困っていると、リヒトが前に出る。


「どうして盗まなきゃいけなかったの? お母さんとお父さんは?」

「お母さんは、ずっと寝てるの。起きられない。お父さんは……もういない。薬がないと……ぼく、一人はいやだ」


 大粒の涙。


 リヒトが抱きしめる。


 ……状況は理解した。

 《《父親はいない》》。母親は病気。


「父親は死んだのか。母親一人じゃ生活は厳しいだろうな。それで盗んだ、と」

「え?」

「え? どうした?」

「……いや、何でもない」


 あぁ、そうか。

 俺の中で“いなくなった”が“捨てた”に自動変換されただけか。


「少しでも薬代を分けてあげませんか?」

「え、なに言ってんの?」


 金を渡せ?

 命懸けで手に入れた金を?


 絶対に、嫌だ。

 これは、俺が命を懸けて稼いだ金だ、よくわからん餓鬼に渡してたまるか。


 それに――……


「《《今渡してどうする》》。俺達がいなくなれば、また同じだ。薬も高いだろう。少し延命するだけで根本は変わらない」

「それでも……」


 リヒトが何か言いかけた時、アルカが間に出て口を開く。


「つまり、今のまま金を渡すのは無駄ってことだよな? なら、現状を変えればいい!」


 嫌な笑顔を向けるな。


 え、うそでしょ? 九百万を前に、こんな壁が立ちふさがるの?

 九百万が、遠くなる、の?


「カガミヤ」

「カガミヤさん」


 肩を掴まれる。


「根本を解決すればいいんだよな?」

「……もう、どうでもいい」


 二人が歓声を上げる。

 ……巻き込まれ体質め。


 チート魔力なんていらなかった。

 村人Zで静かに生きたかった。


「根本と言っても、病気はリヒトの魔法で治せるのか?」

「いえ。私が治せるのは外傷だけで、病気は治せません」

「これで根本をどうにかする方法はなくなったな」

「考えろよ!!!!」


 うっ……。

 耳元で大声を出すな。


「人酔いでグロッキーな俺に、それを言う?」

「今はだいぶ回復しただろ」

「…………おえー」

「嘘つくな」


 諦めねぇか、ちっ。

 俺は医者じゃないんだ。


「そもそも、どんな病気かも、どう発症したのかも、今の医療技術で治せるのかもわからない。そんな中で素人の俺達が動いても無駄だ。変に期待させるのも残酷だろ」


 これで諦めろ。


「でも……でもよぉ!!」


 ……はぁ。

 一度やると言ったら聞かない奴らだったな。


「はぁ……。おい、餓鬼。母親に会わせろ。どうせ何も出来ない。期待するな」


 ・

 ・

 ・


 裏路地を進む。


 行きたくない。

 足が重い。


「もっと早く歩けませんか?」

「両足に錘が付いている気分なんだ」

「もう……」


 ため息を吐きたいのは俺だ。


 人助けが当たり前だと思うな。

 人は簡単に、人を見捨てる。


 ……ここにいる善人二人は例外か。


「大丈夫だ。案内を続けろ」

「う、うん……」


 親を大事にする子。子を大事にする親。

 それが当たり前?


 違う。


 人は利益で動く。

 子供でも切り捨てる。


 胸が痛む。

 過去を引きずっているな、俺。


「カガミヤさん? 胸、痛いんですか?」

「大丈夫だ。早く終わらせるぞ」


 餓鬼の背中を押す。


 街外れの古い木造の家。


「ここは“墓地送り”と呼ばれている場所なんだ。治らない病の人が集められる」

「酷い……」


 隔離区域か。感染症の可能性もあるな。


 扉を開け、中を見る。

 すごい、荒れている。


 台所には失敗した料理の残骸。

 小学生くらいでここまでやったのか。


 奥の寝室。

 やせ細った女性。隣には遺影。


 父親は本当に死んでいるらしい。


 ……重い病だな。


 ふと目に入る紙。


 診断書だ。


 ……原因不明。体に異常なし。


 弱っているのに異常なし?


「アルカ、この街にもギルドはあるか?」

「あると思うが」

「行くぞ。診断書は預かる。リヒトは二人を見ていろ」


 二人は俺の指示に困惑しながらも従う。

 だが、餓鬼だけが俺の服を掴み止めた。


「…………母さんに挨拶できなくて悪いな、少し出るだけだ」


 それだけ言うと、餓鬼は手を離した。

 そのまま、外へ出る。


「原因不明で異常なし。なら病気じゃない可能性がある。魔法か、モンスター絡みだ。そういう案件に強いのはギルドだろ」


 賭けだがな。


「急ぎ過ぎじゃないか?」

「命が長くないように見えた。時間は削れるだけ削る。あとは、金にならないこんな事件に、時間をさけたくない。俺が欲しいのは九百万だけだ」


 少しでも可能性を潰す。それだけでも成果だ。


 アルカが真剣な顔で言う。


「さ――金だけが理由じゃないだろ?」

「……は?」

「過去が苦しいんじゃないのか?」


 あー、そういえば、アルカには軽くネグレクトについて話していたっけ。

 覚えていたのか。


「前は話を聞いただけで終わっちまったが、まだ何かあるのなら聞かせてくれよ。少しは楽になるかもしれないぞ。それに、俺はカガミヤの苦しみを少しでも楽にしたい」


 嘘のない言葉。

 ……純粋すぎる。


 俺は乗り越えなかった側。

 こいつらは乗り越えた側。


「そのうちな」

「おう!!」


 頭を撫でると嬉しそうにする。


 十九でこれは純粋すぎるだろ。

 この世界の冒険者、怖いな。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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