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何があっても必ず信じる

 久しぶりの感覚だ。

 リヒトと一緒にダンジョン攻略していた時みたいだ。

 嫌がるリヒトに無理言って、鎖で足場を作ってもらったっけ。


 あの時のモンスターは低級の低級だったが、あの時の俺は本当に怖くて、勝てないんじゃないかって思ってたなぁ。


 怖くて、二人で逃げ回っていた。

 それでも負けられなくて、負けたくなくて。咄嗟にこの技が思いついたんだよな。


 低級モンスター相手に、ギリギリで勝った時は本当に嬉しかった。

 でも、中級からは無理になった。


 この技は、相手の動きを封じることはできる。だが、トドメはさせない。


 俺に、トドメを刺す力がない。

 リヒトの魔力の消耗も激しいし、俺の体力もすぐに削られる。だから、使ってもマイナス要素しか無かった。


 でも、今回は違う。

 今回は、しっかりと信じられる仲間ができた。


 俺達より何倍も強くて、必ずトドメを刺してくれる仲間ができたんだ。

 だから、この技を使う。不安は無い、必ず倒してくれるとわかっているから。


 カガミヤなら、絶対に倒してくれる。

 俺はただ、隙を作りカガミヤが倒しやすくするだけ。


 ――――いや、それだけじゃない。

 少しでもダメージを与え、消耗させてやる!

 

「──くっ!」


 剣で切りつけるけど、全く意味はない。

 でも、効果がないような攻撃でも、重ねればまた違う。


 効果が無くてもいい、傷がつかなくてもいい。

 少しでも、役に立ちたいんだ。


 っ、下から強い魔力を感じる。

 これは、リヒトじゃない、ラムウでもない。


 何かをやっているんだな、カガミヤ。

 何かを準備しているような気がする。


 なら、絶対にラムウの視線をカガミヤに向かせるわけにはいかない。

 持久戦だ。


「…………っ」


 ラムウの黒い瞳が、俺を捉える。

 まるで、何かを待ってるよう。


 何を、待っている?


 ――――――――ガシャン


「!? リヒト」


 鎖が少し、揺れた。いや、崩れかけた。

 下を向くと、リヒトが息を切らし膝を突いている。


 chain(チェイン)は、集中力が分散するからうまくコントロールが出来ず、長続きできないと言っていたな。


 それに、今はダンジョンを立て続けに攻略している。

 疲れてしまうのは無理ない。


 俺も、普段の訓練をしていなければもう倒れ込んでいるだろう。


 正直、足がもう疲労で震えている。

 剣を握る手にも力が入らない。

 体力だけでなく、魔力も少なくなってきているんだ。


 くそ、俺に魔力がもっとあれば……。

 そうすれば、リヒトに無理をさせないのに。


「……カガミヤ、頼むぞ。本当に」


 ここまで来て、負けたくない。

 SSランクだろうと、俺は必ず勝つ。


 勝って、このダンジョンをクリアしてやる。

 もう、何も手にしないでダンジョンを出るなんて、絶対に嫌だ!!!!


「お前はカガミヤの手によって葬られる。絶対にな!!!!」


 ――――――――ピキ


 っ、今、手ごたえを感じた。

 もしかして!!


 移動しながらラムウを見ると、小さく、胸辺りに傷がつけられている。

 あれは、俺がやったのか?


「やった!! このまま何度も傷を付けられれば!!!」


 こいつを弱らせられる!! このまま、鎖を使って――……


 ――――――ガシャン!!


「え、鎖が――……」


 鎖が、崩れ落ちた?


 下にいるリヒトが地面に倒れ込んでいる。

 魔力がなくなった……のか?


 魔力は、無くなると本人がどう抗おうと強制的に眠ってしまう。

 

 ――――まずい、俺がいるのは上空、足場はない。


「あっ…………」


 顔を上げると、地面に落ちていく俺の姿が、ラムウの黒い瞳に映る。


 隣には、人や物を吸い込んでしまう球体が複数生成されていた。

 この後、何が起きるのか簡単に予想が出来る。


 やめろ、やめてくれ。

 俺はまだいける、動ける。なのに、なんで。


 体が動かない。


 ――――ギャウァァァァァァァアアアアアア!!!!!!


 ラムウの声で、周りに浮かぶ球体が俺の向けて放たれてしまった。


 声が出せず、体すら動かない。

 俺は、何も出来ないまま、迫ってくる球体を見ているしかできない。


 い、いやだ。

 いやだ、なんで――……


「カ、ガミヤ。たすけて――……」


 震える口から出た声が届いたのか、それとも届かなかったのか、わからない。

 ただ、今感じるのは、吸い込まれるような感覚と――微かな、熱気。


「――――turboflame(トュルボー・フレイム)


 下からカガミヤの、気だるげな声が聞こえた。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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