こんな土壇場で新しい魔法を使うのは正直怖い
これは現代のゲームで言うと、高難易度ランク。
上級者向けだから、何か制約があっても不思議ではない。
だが、まさか緊急脱出が出来ないなんてありえないだろ。
なら、俺達が出来ることは二つ。
こいつを倒すか、死ぬか。
さっき離した魔導書が俺の頭上から降ってくる。
同時にスピリトも俺の前に来て腰に手を当てている。なんか、怒っているな。
『もっと私を使ってください、ご主人様!!』
そう言えば、精霊って強い力を持っているんだっけ。
よくわからずに放置していたけど、今は助かる。
「んじゃ、ひとまずスピリトは、俺の動きに合わせてくれるか?」
『わかりました!! ご主人様!!』
めっちゃ気合い入れてる。
なんか、嬉しそう。
「アルカはどのくらい動ける?」
「まだまだいけるぞ!!」
鼻息荒く宣言してくれた。
アルカも気合入っているし、俺も気合を入れ直すか。
えっと、さっきの感じだと、跳び魔法は時空を捻じ曲げられ、あらぬ方向へと飛んでいくみたいだ。
近距離戦に持ち込んだ方がいいかもな。
でも、俺にはそんな魔法に持ち合わせがない。
一応、買った手袋は付けているけど、使ったことない。
だが、今回試しに使うのはリスクがある。
いや、今回のダンジョンでリスクとかを考えてしまえば身動きが取れなくなる。
試したことはないが、やるしか道はない。
確か、武器屋の女はこの手袋をはめている時、属性魔法を拳に纏わせられるんだよな。
属性魔法ということは、炎か水。
水だと威力が弱そう。炎の方が攻撃力は高そうだし試してみるか。
「アルカ、今回はお前主体で俺とリヒトは援護に回る。出来るか?」
「わかったぞ!」
「よし、それならっ――」
っ、ラムウが突進を仕掛けてきやがった。
俺とアルカの間を横切り後ろへ回る。
風で煽られる、体がでかい分移動だけで周りへの影響が凄いな……。
「アルカ! 行くぞ!」
「おう!!」
魔導書を開きながらラムウを見てしゅうちゅっ――――え?
「……ん? なんだあれ、ブラックホールみたいな黒いボール?」
五つのブラックホールのような球体が、ラムウの周りに現れた。
っ、球体五つが俺に向けて放たれっ──吸引力があるのか!?
体が引き寄せられる!!
「っ、flame!!」
地面に向けて放ち、爆風を起こす。
一か所に爆風が集まってる、吸い寄せられてるな。
「ほんと、厄介なモンスターだな」
あ、あれ、五つあったはずの球体が一つになった?
今のflameに巻き込まれ、霧散したでいいのか?
――――いや、違う!
一つの球体が大きくなっている。合体したのか!?
「そんなの、反則だろ!!!!」
また俺に向けて放ちやがった。
くそ、どの魔法を使えばっ――……
「|groundspada!!」
「っ!」
アルカの地の剣が球体を切り裂いただと?
物理で切れるのか!?
「大丈夫か、カガミヤ!」
「問題ない、あんがとよ」
ラムウの高い鳴き声。何かやらかす前にこっちからしかけねぇと!
「アビリティ!」
『はい』
「現状直ぐに使える魔法を発動してくれ!」
『取得している魔法を確認。――――確認完了』
頭に直接流れてくる魔法呪文。よしっ!
「turboflame」
魔導書に添付していないから発動に時間がかかるが、アビリティが選んだ魔法だ。信じるぞ。
ラムウが鋭い牙を見せ噛み付いて来ようとした時、あいつの足元から炎の渦が現れた。
「――――燃え上がれ!!!」
右手を上げるのと同時、ラムウの足元から炎の竜巻が燃え上がる。
ラムウを竜巻が包み込み、身動きを封じた。中からはラムウの叫び声。
――――効果ありだな。
「このまま焼き焦がして――……」
――――――――キュアァァァァァァァァアアアア!!!!
「耳、いってぇ!!」
って、くそっ。
今の咆哮で、竜巻を霧散させられた。
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