こんなめんどくさいダンジョン普通ないだろ
洞窟を進み続けるも、何も出てこない。
中ボスどころか、雑魚すらも。
それにこの洞窟、さすがに長すぎないか?
もう、数十分は経っているはず。
まさか、ただの通路じゃないのか?
「なぁ、カガミヤ」
「何だ?」
「なんか、おかしくないか?」
さすがに、アルカも変だと思ったみたいだな。
「私も同意見です。何か、変な感じがします」
リヒトも手を挙げ、おずおずと教えてくれた。
まぁ、俺が違和感を感じているんだから、二人が感じないわけはないか。
足を止めて周りをしっかりと見てみるけど、特に変わったものは無い。
壁に触ってみたり、叩いてみたりしたが、結果は同じで、何も分からない。
「もしかしたら、今回はモンスターで食い止めるんじゃなくて、謎解きメインのダンジョンなのかもしれないぞ」
「ダンジョンにも、パターンが何種類かある感じなのか?」
謎解き系や、討伐系とかある感じ?
それなら、普通に討伐系の方が嬉しいんだけど……。
「あるみたいだぞ、俺は話に聞いただけだから本当かどうかは分からなかったが……」
「今、俺達がそれを体感している感じか。つまり、謎解きをクリアしないと次には進めないと」
「多分だけどな」
めんどくさっ。
けど、仕方がないか……。
「お前らは、今まで歩いた中で気になる物とかあったか?」
「俺は特に。そもそも、足元しか照らされていないこの状況で何かを見つけるのは難しいぞ」
「それはつまり、足元以外にも照らしてほしいという遠回しな要求かな? アルカ君」
「そんなことないぞ!! で、です!」
なに焦ってやがる、その反応だけで察するぞ。
「なら、もっと周りを照らせるように炎を大きくしてやるよ、おら」
炎を大きくするようにイメージすると、簡単に辺りを明るくしてやった。
「なんか、悪い」
「まったくだ」
とはいえ、明るくしたところで何かをすぐに見つけられるとは限らないんだよなぁ。
Bランクだから、からくりも簡単という訳ではないのか。
「んー。ん? なんだ、あれ」
腰を伸ばそうと天井を見たら、何か書かれていた。
「どうしたんだ?」
「上、魔法陣が書かれてる」
俺の言葉に二人は、天井を見上げる。
リヒトは眉を顰め唸り、アルカは「おー」と、よくわからん声を出した。
それはどういう感情の声だよ。
「絶対に、からくりの一部だよな」
「だろうな! カガミヤ、任せた!!」
お、おう。
そこはもう、俺なんだ。
「んじゃ、少し離れてろよ」
二人が離れたことを確認し、威力を間違えないように気を付けながら手に灯っている炎に魔力を込める。
「――――flame」
――――ドカン
よし、無事に当たった。
けど、煙で視界が遮られる。威力が強すぎたか?
「……何も、変わっていない?」
「変わってないな。威力を抑え過ぎたのか?」
もし、これ以上威力を大きくするんだったら、flamaArrowになるか。でも、なんとなくそういう感じではない気がするんだよなぁ。
「なぁ、属性が関係あったりしねぇかな」
「属性?」
「おう。今、flameが当たった瞬間、水色に光った気がしたぞ」
え?
「つまり?」
「水か氷属性の魔法を当ててみるとかはどうだ?」
「それ、氷だった場合積みじゃね?」
「だな」
まぁ、ひとまず、やってみるか。
魔導書を開き、水の基本魔法を探す。
「えっと、水の基本魔法は確か……。お、これだ。acqua!!」
flameと同じように右手に魔力を込めると、水の玉がふよふよと現れ始めた。
「どうか、水属性でありますように。行け!!」
五つほど出来上がった水の玉を操り、先ほどと同じように放った。
すると、さっきは何の反応も見せなかった魔法陣が強い光を放つ。
な、なんだ!?
「っ、え?」
いきなり光り出した魔法陣から突如として現れたのは、触手? きもっ!!!!
「きゃぁぁぁぁぁああああ」
「何だあれ! キモ!!!!!」
「気持ちはわかるぞアルカ、リヒト。よし、ひとまずこれをたおっ――――」
あ、あれ? 隣から強い魔力?
「~~~~~~~~~~chain!!」
甲高い怒りと困惑の声!?
これって、リヒトの声か?
つーか、chainって確か拘束魔法だよな?
そんな魔法でどうするつもりだよ……。
「気持ち悪いのよぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!」
両手で杖を振り回し、鎖を触手へと伸ばす。
一体、何をする気だ――え?
「い、一本一本掴んだ…………だと?」
一本も逃さず、鎖が触手を掴んだ。
すると、リヒトは触手に背を向け、頭の上まで振り上げた杖を強く握りしめた。
一体、何をする気だ?
「気持ち悪いのよぉぉぉおお!!」
リヒトが強く杖を引っ張ると、天井から何か出て来た!!
「あれって、タコ?」
「あれは中級モンスター、タコパだ!!!」
「……パーティーでもするような名前だな。まぁいいや、タコならタコらしく。タコ焼きの食材となれよな。flame」
――――――――ギャァァァァァァアアアアアア!!!!!!!
よし、焦げ焦げになったな。
楽勝楽勝、半分以上リヒトの手柄だけど。
「これが、無限の道を作りだしていたモンスターなのか?」
「いや、タコパにそんな力はないはずだ。単純な物理攻撃しかできないはずだぞ」
なら、他にも仕掛けがあるのか。
ラスボスが絡んでいる可能性があるな。
「はぁ、はぁ……」
「あ、お疲れ様、リヒト」
「取り乱しちゃった、恥ずかしい……」
あぁ、うん。取り乱していたな、俺は楽が出来たから別にいいけど。
「よし、また歩くぞ。また魔法陣か何かがあるかもしれない」
「だな。カガミヤ、また明かりを頼めるか?」
「大丈夫だ」
また炎を灯し歩き出そうとしたが、なんか、天井に違和感を感じる。
なんとなく上を見上げると――あぁ。
「見なければ良かった」
「このダンジョン、もしかして耐久系か? やっぱり、休んでからの方が良かったかもしれないな……」
天井見上げた俺達の顔は全員、一気に真っ青に。
そりゃ、そうだろうよ。
だって天井には、さっきと同じ魔法陣が沢山並んでいるんだもんよ。
あれって、属性が違うとかないよな? 全てバラバラとか、さすがに無理だぞ。
「カガミヤさん、目、死んでおります」
「何も言わないで」
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