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チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします  作者: 桜桃
第一章 異世界への始まり

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予想外というか、これ完璧ハズレじゃねぇかよ

 ダンジョンを進み、財宝――を手に入れたかったのに。

 最奥まで辿り着くと、そこには見覚えのある卵がぶら下がっていた。


「もしかして、今回の報酬って……」

「間違いなく精霊だろうな」

「なんでそんなにがっかりしているんだよ」

「がっかりに決まってるだろ。俺は金が欲しいんだ。金色に輝く物が欲しいの。精霊なんて金にならんだろうが」

「隣で飛んでる精霊が泣いてるぞ」


 冗談じゃなく、本当にスピリトが泣いている。

 体を震わせるなよ、なんかガチっぽいじゃん。


 ……ごめんごめん。今回は本当に助かった。


 慰めつつ、卵を見上げる。

 確か、魔力を注げば孵化するんだよな。


「アルカ――」

「俺はもう魔力ないぞ。カガミヤの方が確実だ」


 先読みしやがった。


『多分、御主人様が注いだ方が早いと思います』

「なんで?」

『美味しそうだから』

「やめろ」


 食い物を見る目で見るな。


「わかったよ……」


 リヒトをアルカに預け、卵に触れる。


「――っ!?」


 魔力が一気に吸われる!

 俺の魔力だって無限じゃないぞ!!


「くそ……」


 卵が発光し、ひびが入る。


 早く割れろ。


 ヒビが蜘蛛の巣状に広がり、光が漏れ出す。


「~~~~もう無理!!!!」


 限界だ。手を離す。


 だが卵はそのまま割れ、弾けた。


「……今回はどんな精霊だ」


 光が強すぎて見えない。


 小さい人影。背に羽。


 やがて光が落ち着き、姿がはっきりする。


 短い髪に黄色の花飾り。

 黄緑のスカートとローブ。


 腕を組み、藍色の瞳で俺を見下ろす。


 ……なんだこの威圧感。


(わたくし)はリンク。貴方達が目覚めさせた主ね。私が貴方の精霊になってあげるの。感謝するのよ? 人間』


 ……………………売ろう。


 ※


 指輪で無事帰還。

 救出した男とも合流し、ギルドへ。


 ラスボス討伐の報酬は俺達に入るらしい。


 男が受付嬢に説明してくれている間、待機。


 ……待機しているのだが。


「はぁぁぁああああああああああ」


 周囲の視線と甲高い声で、怒りゲージが上がる。


『ちょっと!!! なんで私を無視するのよ!! 私は貴方を主にしてあげる心の広い精霊なのよ!? “お願いします”と言いなさいよ!!』


 うるさい。本当にうるさい。


 スピリトが宥めているが、届いていない。


 周囲の視線が痛い。


「なぁ、その精霊、無視でいいのか?」

「俺には何も聞こえていない」

『嘘つくなぁぁぁぁああ!!!』


 うるさい。


 アマリア、買い取ってくれるだろうか。


「リンクって言ったよな? 何ができるんだ?」


 おい、話しかけるな。


『貴方みたいな下等人間が気安く話しかけないでくださる? 自分の立場が分かっていないのね』

「立場?」

『私達精霊がどれだけ希少か分かっていないわね。それにこの私、希少の中の希少よ。軽々しく話しかけないでちょうだい』

「わ、悪かった……」


 甘いな、アルカ。

 だが今の言葉、気になる。


「希少の中の希少、とは?」

『あら? 無視していたのに気になるのね。でも罰は必要だわ。謝罪し、今後私の言うことに絶対服従すると契約を――』

「もういい。売ると決めた」

『……え?』

「売る」

『この私を!?』


 俺は小さく頷いた。


 ※


 男が話をつけてくれたらしく、俺達はギルドの受付に呼ばれた。


 精霊はうるさすぎるので、『これ以上騒ぐなら本当に売り飛ばすぞ』と脅したら静かになり、今は姿を消している。


「こんにちは、話は聞いております。では、ほうしゅぅぅぅぅぅぅぅううううぁぁぁぁぁああああ!!」

「カガミヤぁぁぁぁぁあああ!?」


 この女の軽すぎる挨拶と笑顔。

 我慢できるわけがない。


 頭を鷲掴みにし、力を込める。


 叫んでいるが知らん。

 俺は本気で死にかけたんだぞ。


「落ち着けカガミヤ!! 気持ちはわかるが相手は新人だ!! それ以前に女性には優しくしろと兄貴に教わったぞ!!」


 くそ、後ろから腕を押さえられた。


「離せアルカ。命の危険に晒されただけじゃない。面倒なもんまで引き当てやがったんだ、怒りをぶつけても罰は当たらない」

「それをぶつけても意味ないだろ!? 泣いてるし!! 頼むから落ち着けぇぇええええ!!」


 ……ちっ。


 今回はここまでにしてやる。


「で? なんで俺達をSSランクに行かせた」

「い、いえ……私は確かにBランクの地図を……」

「その地図がSSだった。細工もされていた。間違いでは済まないぞ」

「な、なぜ……」


 目が泳いでいる。

 何かを隠しているな。


 ……まあいい。


「それより報酬だ。金をくれ」

「あ、はい。記録修正と分配確認を行います。少々お待ちください」


 業務は妙に手慣れている。

 やっぱり引っかかる。


「申請完了しました。数日後に振り込まれます。あと、アルカ様、リヒト様はAランクへ昇格です」

「まじか!!!!」


 アルカが飛び跳ねる。


 順調すぎるのが逆に不安だ。

 今回の件、第三者が絡んでいる。


 だが今はいい。


「帰るぞ」

「おう!!」


 俺達は部屋へ戻った。


 ※


 知里達が去ったのを確認すると、受付嬢は受話器を取った。


「……フェアズ様。予定通り、カガミヤチサトはSSランクを突破しました」

『そう。ご苦労さま。あとはこちらで処理するわ』

「報酬の件は……」

『約束は守るわ』


 通話終了。


 息を吐き、前を向いた瞬間――固まる。


 目の前に、アマリア。

 だが子供の姿ではない。


 黒いローブ、水色の髪。

 左右非対称の濁った瞳。


「何を驚いているの? 予想していたでしょう」


 低い声。


 受付嬢は崩れ落ちる。


「違反行為の自覚はあるみたいだね」


 感情のない声。


「僕はギルドを()()()に大事にしている。今回のは許せない」


 周囲は闇。

 逃げ場はない。


「君、フェアズに捨て駒にされたね」


 足音が近づく。

 そして――


 ――――sunet(スネト)


 モスキート音。

 次の瞬間、受付嬢の頭部が弾け飛んだ。


 血が舞う。


 アマリアは表情を変えない。


 そこへ、アクアが現れる。


「牢に入れるだけでもよかったのでは?」

「今回はやり過ぎた。チームが一つ消えていたかもしれない」

「知里が居たでしょう?」

「誰であろうと関係ない。僕は平等だ」


 アクアは小さく笑う。


「フェアズが絡むと過激になりますね」

「気のせいだよ」


 アマリアは消えた。


 アクアは呟く。


「歯車が狂い始めましたね」


 そして彼も消えた。


 翌日。


 ギルド掲示板には人だかり。


 そこには受付嬢の死亡報告が貼られていた。


 知里は、それを見つめる。


 何も言わず、ただ立ち尽くしていた。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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