やっとダンジョン攻略準備に入る事が出来て安心したぞ
リヒトを無視し、真っすぐギルドへ向かう。
ギルドには、見覚えのない女が立っていた。
まだ慣れていないのか、眼鏡を何度もかけ直し、慌てた様子で俺たちを見る。
「えっと……な、何かご依頼でしょうか!?」
「…………ダンジョンに行きたい」
「お、お待ちください!!」
初心者マークが必要なほどオドオドしている。
若葉マークでも胸元に付けておいた方がいいんじゃないか?
俺の言葉に、急いでパソコンを操作し始める。
数秒後にはっとした顔を浮かべた。どうやら、俺たちの情報を見つけたらしい。
「えっと、黎明の探検者のアルカ様でお間違いありませんか?」
「アルカは俺じゃないか、あってる」
「でしたら、Bランクのダンジョンがあります。いくつかありますが、どのようなものがよろしいですか?」
「全部」
「…………え?」
「全部」
パソコンから目を離し、驚いた顔を向ける受付嬢。
アルカとリヒトも俺を見る。
いや、だってBランクだぞ?
俺たちはSランクのワイバーンを倒してるんだぞ?
こいつらのランクを上げないと、俺のランクも上げられない。
そうなれば、一回で手に入れられる金も少ないだろ?
それなら、とりあえず全部受けるのが一番手っ取り早い。
金も一気に手に入るし、いいことずくめじゃないか。
「えっと……今あるBランクは三つです。まだ誰も受注していませんので問題ないかと。ですが、本当に大丈夫ですか?」
「問題ない」
「えっと……」
受付嬢は、俺の後ろにいるアルカを見る。
俺はリーダーじゃない。確認するのは当然か。
「カガミヤの言う通り、三つのダンジョンを頼む。期限はあるか?」
「一つにつき一週間です。三つなので、三週間になります」
「わかった。それで頼む」
「では登録いたします。アルカ様のライセンスをお借りしてもよろしいですか?」
「おう」
ライセンスを渡し、登録はすぐに終わった。
「登録完了です。地図を印刷しますね」
……ん? 今、こいつ俺を横目で見なかったか?
何か企んでいるような……いや、慣れていないから焦っているだけか。
印刷された紙は三枚。場所はバラバラだ。面倒だな。
だが、早く攻略してランクを上げないと。
魔法にも慣れ、戦闘をスムーズにしないと宝の持ち腐れだ。
「そうだ。そろそろカガミヤの戦闘服を買わないか? 金も入ったし」
「あ、確かに。防御力を上げた方がいいね」
今の服は転移した時のまま。もうボロボロだ。
「じゃあ、防具屋に行こう。ついでに武器屋も」
「丸腰はさすがに怖いからね」
……そういえば、俺、今まで丸腰だったのか。
改めて思うと、俺、丸腰で管理者に勝負を挑んでいたのか。
命知らずだな、俺。
「行きましょうか、カガミヤさん」
「…………うん。でも、手は繋がなくていいと思うぞ」
「……行きますよ!!!」
「え、ちょっ!! 肩外れる!!」
なんで怒るんだよ!!
腕を強く引っ張らないでぇぇぇぇえ!!
※
辿り着いたのは木製の小屋。
扉の上には、剣と盾が交差した看板。
アルカが先に入り、俺とリヒトも続く。
中はそこまで混んでいない。客は二組ほど。
「武器と防具、どっちから見る?」
「防具。まず着替えたい」
「了解」
カウンターへ向かうと、恰幅のいい男が声をかけてきた。
「いらっしゃい。何をお探しで?」
「男性用で、魔法に強い服はあるか?」
「なら、これだ」
持ってきたのは黒いローブ。白いフード付き。
「悪くないが、ローブだけか?」
「少し待ってな」
次に持ってきたのは、焦げ茶色のシャツと黒いズボン。
「物理にも魔法にも強い。動きやすいし、そのローブとも相性がいい」
見た目は普通だが、本当にそんなにいいのか?
「いくらだ?」
「五十六ヘイト」
……は?
「高くないか?」
「高い。でも報酬が百ヘイト以上あったから余裕だぞ。装備は妥協しない方がいい」
……まぁ、確かに。
これからダンジョン生活だ。ケチるところじゃない。
結局、全部買った。
ついでにハイカットブーツも。
履いてみると軽い。底もしっかりしている。
値段は見なかったことにしよう。
「次は武器だな」
その時、隣にいた女性が微笑んだ。
話しやすそうだな、と思った瞬間。
……殺気?
振り向くと、ジト目のリヒト。
「なんで怒ってるんだ?」
「いえ? カガミヤさんは、やっぱり女性が好きなんだなって思っただけです」
どこでそうなる。
……どうでもいい。早く武器を選ぼう。
※
「こんにちは、武器屋へようこそ。どのような物をお探しですか?」
めっちゃハキハキしゃべる人だな。
声も高すぎず聞き取りやすい。これぞ店員の鑑、みたいな人だ。
……視線が痛いって、リヒト。穴が開くぞ。
ただ話しているだけじゃん、やめて。
リヒトの殺気を無視して武器について考えていると、アルカが問いかけてきた。
「カガミヤ、使いたい武器とかあるか?」
「そうだな……。魔法を主に使う予定なんだが、接近戦でも使えそうな武器も欲しい。何かないか?」
「そうですね……。二つの要素を兼ね備えたものは……」
資料を手にし、店員は考え込んだ。
やっぱり難しいよな。どっちかに絞った方がいいか?
「あの、武器は一つだけとお考えですか?」
「二つも持てるか?」
「冒険者様が邪魔でなければ可能です。オススメがありますので、少々お待ちください」
そう言うと、店員は奥へと姿を消した。
さっきまでめちゃくちゃニコニコしてたけど、なんなんだ。
何かいい物でも見つけたのか?
待っていると、隣からリヒトがすっと近づいてきた。
「カガミヤさんは、あのような元気な方が好きなんですか?」
「俺の好きなタイプは、俺に金を貢いでくれて、あわよくば養ってくれる人だ」
「……そうですか」
素直に答えたら呆れられたんだが、なんでだよ。
複雑な心境の中、店員が笑顔で戻ってきた。
「お待たせしました」
「待ってました。何を持ってきてくれたんだ?」
「こちらです」
持ってきたのは、一冊の本と、指先が出る黒い手袋。
「まずは魔導書からご説明しますね。こちらは魔力を貯められる優れ物です。持っているだけで魔力が蓄積されますので、特別な操作は必要ありません」
そう言って中を見せる。
「今は何も書かれていませんが、お持ちの魔法を印字することで、この本が発動の補助をしてくれます」
「補助?」
「はい。強力な魔法は発動に時間がかかると聞きます。その時間を短縮できますし、威力の調整や魔力のコントロールも容易になります。魔法の切り替えもスムーズですよ」
へぇ、便利だな。
「ただし、大きな欠点があります。説明すると、よく断られてしまうのですが……」
「欠点?」
「はい。常に微弱ですが魔力を吸収します。魔力量が少ない方には扱えません」
なるほど。
これが誰でも使えたら、モンスターは絶滅しかねないな。
「んで、もう一つは?」
「こちらの手袋は近距離戦向きです。属性魔法を纏わせることができ、拳の威力を高めます。属性によっては放出系魔法の威力も強化されます」
「へぇ」
「ただし、纏い続ける限り魔力を消費します。魔力量が少ない方にはおすすめできません」
「どっちも魔力量が前提か。だが問題ない」
「でしたら、この二点をお勧めします」
悪くないな。
「どう思う、リヒト、アルカ」
聞くと、二人はすぐ頷いた。
「いいと思う」
「私も賛成です。魔力量なら問題ありませんよね?」
「そうだな。じゃあ、これで」
「ありがとうございます!」
これで一式揃った。
記入と精算を済ませ、受け取る。
本も手袋も軽い。
手袋はぴったり。
本は少し大きいが、許容範囲だ。
これがファンタジー世界の装備か。
少しテンションが上がる。
あと少しで三十路のおっさんだけどな。
「少し試した方がよくないか?」
「あぁ、確かに。それはそうだな……つまり?」
「やろうぜ!!!!」
来ると思ったわ。
目キラッキラじゃん。
「な!! いいだろ!?」
「……俺も試したいしな。いいか」
「え、いいんですか?」
「ぶっつけ本番よりマシだろ」
よし。
一度ギルドに戻って着替えるか。
ここまで読んで下さりありがとうございます!
出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!
出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!
よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ




