俺の性格的に、チート能力をゲットしていいのか?
二人が俺を見て首を傾げているけど、一番首を傾げたいのは俺なんだよ。
改めて指輪を見るが、見た目は特に変哲もない、小さな黒い石がはめられている指輪。
これが冒険者の証?
ますますわからん。
「…………なぁ、指輪が冒険者の証ってどういうことか聞いてもいいか?」
「指輪はギルドから寄付される物なんだ。”アビリティ”と言うと自分の能力値を確認できる。これは受け取った時に説明を受けたはずなんだが……」
俺の場合は、車に轢かれ意識を失い、次に目を覚ました時にはダンジョン内。
ギルドにすら行っていない。
なぜ俺は、この指輪を持っている……。
「えっと、”アビリティ”? で、いいのか?」
────ん?! なんとなく唱えると、いきなり指輪に嵌められていた黒い石が光出した。
【アビリティを発動】
女性のような機械音と共に、石から映像が現れた。
「子rが、能力値。パラメーターか?」
振り向くと、何故か二人が固まっている。
視線の先は指輪から出ている映像。
その顔を浮かべたいのは俺なんだが?
指輪からは、プログラム画面のようなものが空中に浮き出ている状態。
パソコンの画面を見ている感じだ。
長方形の画面に映っているのは、俺の名前である鏡谷知里の文字。
おい、隣にカッコを使って年齢を書いてんじゃねぇよ。
二十八で何が悪い、体にガタが出始めているだけだぞ。腰と首が最近痛いだけだ。
その下には『S』という文字。
もっと下を見ると、パラメータが棒グラフのように書かれてんだけど…………え。
「何か、能力値バグってない?」
HPやMPが画面上に収まっていない。
属性は炎と水、武器は未定。スキルは透視。
壁の向こうの景色を見れるんだよな、透視って。
「なぁ、これって――……」
固まっている二人に質問しようとしたんだが、いつの間にか二人は俺の前で片膝を突き頭を垂れていた。なんぞよ。
「こ、こここここんなにランクが高い方だとは思っていなかったでございます。今までのご無礼を許せください」
え、ご無礼してた?
逆に馬鹿すぎるほど素直で助かったんだけど。
あと、慣れないというか、使えない敬語を無理に使うな。
逆にむかつくわアルカ君よ。
「私達は貴方の為なら何でもします。どうか、どうか、お申し付けください」
リヒトがアルカに続き言葉を繋げて来た。
────もしかしてだが、二人は俺の能力値を見てこんなにも態度を変えたんじゃないか?
まぁ、パラメーターバグってるし、ランクがSだし、強い方か。
現代で人気だった主人公つえーとか、チート無双みたいな感じだ。
…………いや、みたいな感じではなく、まさに"それ"が、俺の身に起きているんじゃないか?
「まさか、これって、世界を救えとかなんか言われる奴じゃないか?」
い、いやだ。
俺は世界を救う冒険者とか、人を助けるヒーローとかにはなりたくない。
顔が真っ青になっているであろう俺に、リヒトが首を傾げ問いかけて来た。
「あの、いま世界を救えとかなんとか…………」
「絶対に嫌だからな、俺。報酬がない、金がもらえないことなんて、俺は絶対にやりたくない」
素直に言うと、リヒトが困ったように眉を下げた。
「あの、世界を救うとかはわかりませんが、ダンジョンを攻略するとお金はもらえますよ」
「…………ちなみに、いくら?」
「ここのダンジョンはおそらくSランク。大体、百万ヘイトから二百万ヘイトくらいかと」
へ、へぇ。
一回のダンジョン攻略でそんなにもらえるのか……。
ふーん、悪くはないか。
とりあえず、ここから抜け出さないと俺も、元の世界に戻れないだろうし。
チート能力もゲットしたみたいだし、何が出来るのかわからんが、いっちょやってみますか。
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