やるしか道はないのなら、もう流れと勢いに任せるしかない
さて、こっちの準備は出来たけど、まずはリヒトの鎖をフェアズと繋げないといけない。
そのためには、この入り乱れる蔓をどうにかして、飛び回るアルカとグレールとタイミングを合わせたい。
ここで叫ぶとフェアズに作戦がばれる。
どうにか伝えられないか。
「|imagination」
アマリアが目線をフェアズ達から離さず、左手をアルカとグレールに向けてきた。
魔法を唱えると、二人の額が淡く光る。
「何をしたんだ?」
「二人の頭の中に直接伝えたんだよ。準備が出来たのと、少しやってほしいことを
「そんな事も出来るのか……。って、やってほしいこと?」
あっ、俺にも教えてくれた。
頭に直接映像が流れる感じ。なんか、頭の中で映画を見ている感じだけど、これ、アルカとグレール出来るのか?
――――――――って!!
アルカが動揺して蔓に叩きつけられたけど!?
大丈夫!? アルカ!?
「出すタイミングが最悪だったね」
「アルカぁぁぁぁぁあああ!!!」
あっ、痛そうにはしているけど立ちあがった。
よかった、大丈夫そうだ。
グレールもバランスは崩したみたいだけど、すぐに落ち着き地面へと降りた。
よく見ると、アルカもグレールも切り傷が結構ついてる。
『あら、終わりかしら?』
俺達をあざ笑うフェアズ。
終わり?
そんなわけないだろう。ここからが俺達の反撃開始だ。
「リヒト、準備は出来たか?」
「大丈夫です。もう、やるしかないとわかっているので」
杖を握っている手に力が込められる。
さっきの拘束魔法でだいぶ魔力を消費しているはずなのに、それでも強気な表情。
やっぱり、こいつは強いな。
俺の隣に立ち、フェアズを見上げるリヒト。
フェアズは、先ほどの拘束魔法が頭の中に残っているのか、リヒトが動き出したことで一瞬肩を震わせた。
捕まると何も出来なくなるし、もがいても無駄だからな。
『何をする気かわからないけれど、今の私には拘束魔法は無駄よ』
「それもそうだな。ただの拘束魔法なら、意味はないだろう」
『なら、何をする気なのかしら』
「なんだろうな、受けてみればわかるんじゃないか?」
俺の言葉で笑みを消し、煩わしいと目を細め見下ろしてきた。
『やっぱり、貴方を野放しにするわけにはいかないわね』
「その前に、お前。俺が大好きなのはいいが、他の所にも目線を向けた方がいいぞ」
『なっ――』
あいつの背後には、アルカが作った土人形が両手を上げ襲い掛かろうとしていた。
すぐにフェアズは気づいたみたいで、鞭で薙ぎ払い土人形を真っ二つにした。
だが、そこで安堵するのはまだ早い。
次に待っているのは、グレールの氷魔法。
アルカが土人形を出したのは、手の中にグレールを隠すため。
土人形が崩れ落ちる中、グレールが姿を現し地面に落ちていく土の塊を足場に、氷の剣を作りながらフェアズへと向かって行った。
グレールが自身の剣の届く距離まで行くと、横一線に振り払う。
だが、空中を自由に移動できるフェアズからしたら、簡単に避けられる。
『簡単なトラップね』
地面に落ちるグレールをあざ笑い、フェアズはとどめを刺そうと蔓を操作し始めた。
だが、今後の展開を知っているグレールからしたら、今のフェアズの行動は滑稽。笑みを返した。
なぜ笑っているのか分からず、蔓を操るために上げた左手を止める。
瞬間、隙を逃さぬように、フェアズの手に鎖が巻かれた。
『っ、なっ!?』
動揺の声を漏らし、すぐ俺の横にいるリヒトを見てきた。
くくくっ、無様だな、フェアズよ。
「準備は、整った」
ここからは俺の出番、これで終わらせてやるよ。
「フェアズ、お前の自慢の魔力、俺も欲しいからくれよな」
リヒトが出している鎖を俺も握ると、リンクが覚悟を決めたように目を閉じ、力を増幅させ始めた。
リンクの身体が神々しく輝き出すと、連動するように鎖も同じ輝きを放つ。
『な、なによこれ!!』
逃れようと藻掻くも、結果は先程と一緒。
簡単に振り払えず、腕に鎖が食い込む。
「リンク、頼むぞ」
『はい。管理者フェアズと主の魔力を繋ぐわよ!!!』
っ、来た。
体に、強い魔力が流れてくる。
『魔力を繋げるですって!? そんなこと、出来る訳がっ――――』
「出来るんだよ。おめぇの魔力は、もう俺のもんだ。自由に使わせてもらうぞ」
スピリトが涎を垂らして俺に近付いて来る。
あはは、良かったな。
「スピリト、お前の大好物の魔力、今日だけはたんまり食っていいぞ?」
『ありがとうございます、ご主人様ぁぁぁああ!!!』
スピリトは大喜び、当たり前か。
こんだけ美味そうな魔力が大量に送られるのだから。
「んじゃ、すべてを吸収しろよ、スピリトちゃん」
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