通帳を眺めて精神統一したい……
俺は、時間が許す限り通帳を眺め、ニヤニヤしながら過ごす事を生きがいとしている一般会社員――――だったはず。だった、はずなんだ。
はず、なのに――……
「大丈夫ですか!? 怪我は治したはずですが、動けますか!?」
「動けるなら早く立ちあがってくれ!!」
目の前には、ファンタジー世界の住人が飛び出してきたのかと思う程、現実味のない服を着ている男女二人が俺に何やら叫んでいる。
一人は、手に剣を持っているアニメの主人公的な雰囲気を纏っている茶髪の少年。
もう一人は、腰まで長い紅色の髪が特徴的の魔法使い少女。
ちょっ、ちょっと待って。
お願いだから、待って。
確か俺、仕事から帰っていたはず。
「…………そうだ。俺、仕事から買っている途中で車に轢かれたんだ」
だとしたら、目を覚ましたとしても、こんな所ではなく病院のはず。
こんな、洞窟のような場所ではなく。
「――――立てませんか!?」
「え?」
女性が再度、聞いて来る。
なんでそんなに焦って――……
――――――――グワァァァァァァァァァアアアアア!!
「な、なっ!?」
体を震わせるほどの咆哮。
さっきまで焦って周りを見れていなかったが、俺はこんなでけぇ恐竜のようなバケモンを見落としていたのか?
いや、恐竜と言うより、ドラゴン?
「アルカ!! もう無理!! 耐えられない!!」
「っ、ずらかるぞ!!」
――――ガッシャァァァアア!!
女性が叫ぶのと同時に、何かが弾ける音。
キラキラと光る欠片が、俺達の前に散らばった。
これって、鎖?
グォォォオォォォオオオオオアアアアアアア!!!!
顔を寄せ、叫ぶドラゴン。
足が竦んで、動けない……。
ドラゴンの赤い瞳が、俺を拘束する。
大きな翼が、左右に広がる。
口が、大きく開かれる。
動けずにいると、腕を掴まれ後ろに引っ張られた──かと思うと、簡単に大の大人である俺を少年が肩に担いだ。
「え、担がれた!?」
「なにボケっとしてるんだよ!! 死にたいのか!!」
いや、え?
俺、百八十は身長あるんだけど。
なに普通に肩に掲げてんの? この男、力半端ないんだが!?
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