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両利きのテニス初心者だけど、気づいたら美少女参謀とプロを目指してた  作者: 二刀
第3章 相模テニストーナメント編

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36/43

第33球 決勝① 「力比べの衝撃」

※この話は33話となります。

 前回の話数を間違えておりました。申し訳ありません。(訂正済み)

 ご注意ください。

=========================



=== 千両利士 ===


『これより相模テニストーナメント、決勝戦をはじめます。一番 源烈くん、五十一番 千両利士くん、センターコートに入ってください』


 アナウンスが聞こえた。


 相模テニストーナメント、最終戦、決勝。


 次のコートは、センターコートだ。


 センターコートってなんか雰囲気違うなぁ。めっちゃ広いわ。


 俺はコートに入るための緑で装飾された通路を歩きながら、そんな呑気なことを考えていた。


 というのも藤崎からありがたい助言を受けたからだ。


『真向勝負してきなさい。それが今のあなたには一番の作戦だと思う。けれども必要と感じたなら何でも挑戦して、自分が今まで経験したことをぶつけるのよ、千両君』


 うん、正直小手先で勝てる相手じゃないのはわかってる。


 藤正人君、大久保進君、神宮寺君、内田海斗君。


 一回戦から一つずつ勝ち上がってきた。


 そのたびにコートが大きくなっていく気がした。


 そして今その先のいちばん大きなコートに立とうとしている。


 ここまでくると優勝かそうじゃないか。自分のテニスを信じて、戦い抜くだけだ。




=== 市川ほのか ===



「うぉ、利士のやつ、こんな場所で試合すんのか。栗原さん、ここって?」


「ここはセンターコート。神奈川の総合運動公園は結構大きい施設だから大きい試合も開かれるっす。だからこんな感じで観客席がついてるコートで大抵決勝戦は行われるんすよ」


「うはーッ。俺ならこんなたくさんの人に見られるとガチガチで動けねぇー」


 今日の決勝戦の観客席はほぼ全席満員といったくらいかな。

 

 めちゃくちゃ人で埋め尽くされてることがわかるねー。


 私たち、真白ッち、ゆいちん、かるべん(軽部隼人)はちょうど選手入場ゲートの近く、最前列を陣取っていた。


 良いデータを取るには場所も大事。


 今日は絶対きっしんの雄姿を撮るよん。


「んでさぁ、藤崎さん。利士はどうなん? 勝てそう? 相手は優勝候補なんだろ?」


「そうね……、五分五分といったところかしら。プレースタイルの相性は悪くないわ」


「きっしんは最初はストローク一辺倒だったけれど、最近は割となんでもこなせるようになってきたからね~。もっちろん、私のおかげさー」


 そう、最近のきっしんが割と苦手なところがなくなってきたのはほんとの話。


 鬼のようなストローク練習もこなすし、ネットプレーも忘れていない。


 かぐら先輩とむぎ先輩のボールを正面から受けて練習してるの、うちの部じゃきっしんくらいよ。


 あ、コーチきた。


「お、間に合ったか」


「稲葉コーチ」


 ピンクのキャップにサングラス、ザ・テニス選手ってスタイルでやってきたのは我らが稲葉コーチ。


 真白っちが少し前に呼んで飛んできたみたいだ。


「よかったよかった、ここいいか?」


 そう言って真白っちの横に座る。


「千両君が本当に今大会のダークホースとなるとはな。私もトレーニングを手助けしたかいがあるというものだ」


 ニヤリと笑うコーチ、かっこいい。


「さて、相手は最近頭角を現してきた源選手。フラットタイプのベースライナーか……」


 タブレットで相手選手のデータを見ながら特徴を確認している。


「うーむ、これは長くなるかもしれんな――」


 コーチはどう予想しているのだろう。気になって聞こうとすると……、


「お、でてきたぞ」


 まわりの観客たちが入場ゲートを見始めた……



=== 千両利士 ===



 ざわざわ


 ざわざわ


 おお、めっちゃ観客がいる。というかほとんどの席が埋まっていた。


 これまでの試合とは空気が違う。視線の量が違う。


 何百人もの目がこのコートに注がれている。


 ゲートのそばの観客席には藤崎や市川さん、隼人たちもいる。って稲葉コーチまでいた。


 ……みんな、見に来てくれたのか。


 ……決勝戦だもんな、他の試合とは比べ物にならない注目度。


 さて、俺がトスする。サーブはどっちだ。


「アップ」


「ダウン、サーブで」


 よし、俺がサーブだ。幸先がいい。


 こちらは挑戦者だ、思いっきり正面からぶつかるにはサーブが良いと考えていた。その通りになったのは運がよかった。


「ザ・ベストオブ・スリーセットマッチ、千両、サービスプレイ」


 審判がコールする。

 

 俺も、源さんもポジションについた。


 ドクン、ドクン。


 心臓の高鳴りを感じる。でも不快じゃない。


 中学の野球の試合でもあった。俺のところに来たら絶対取ってやる。そんな意気込みを感じていた時によくあったやつだ。


 こんな時はいいプレーができる。直感でそう感じた。


 トン、トン。


 浅くボールを弾ませる。


 手のひらにボールを置いてトス。


 膝に溜めをつくり、ラケットを大きく背面でスイング、肘を支点に頂点に上ったボールを、膝の解放と同時に――


 打つッッ!


 スパァン!!!



「おおーーー」


「すげぇーーー」


「いきなりエースかーーー」


「キマってんな、千両選手ーーーッ」



 よし、心のなかでガッツポーズを作る。


 <15-0>


 サーブは走ってる。うまいことサーブを取れたけれどまだまだ序盤だ。源さんも様子を見ていたのかもしれない。


 ここからだ。





「ゲーム<1-0>千両 コートチェンジ」


 審判のコール。第一ゲーム、サービスゲームはキープできた。


 やっぱり最初のエースは様子見だった。次のリターンは普通に返してきた。


 こっちがサーブで主導権を握ってたから問題なくポイントは取れた。けれども——どうにも取らされた感覚があった。


 次は源さんのサービスゲーム。どういうサーブを打つのか……。


 トン、トン。ボールがはずむ音。源さんが構えた。


「ッッ!!」


 ドッッ。



「おおー、こっちもエース返したぞーー!」


「フラットサーブ速いなー!」


「すごい見ごたえあるな、この試合!」



 ざわざわと観客が喜ぶ。



 <15-0>



 くそっ、来たのはわかったのにサーブが速すぎて動けなかった。


 フラット系のサーブか……。正直、これはまともに取れないな。


 少しずつ眼を慣らしていかないと……。



 二ポイント目は少し後ろの位置で構える。集中する。


 源さんはややセンター気味の位置からだ。


 ドッッ!


 弾道が見えた。センター。


 右手フォア、コンパクトにテイクバック。大きく構える隙はない。合わせる!


 ややフラット気味に相手の球威を利用してセンターに速球で返す。


 源さんもセンターですでに構えている。


 ドッッ!


 速球でややクロス側に返球、さっきのサーブより速い!?


 速球を、さらに速い速球で返された俺はボールに追いつく。


 後ろに位置していてよかった、フットワークが追いつく。


 ここからじゃフラットショットは遠くて奥が狙えない。なら!


 下から上に、こすり上げるように振りぬく! エッグボールで相手に決定打を打たせない!


 クロス気味に放たれたボールは、大きく弧を描く。相手のコート端に跡を刻む。


 源さんはーー、ッッ!


 ズドン!


 フラットでダウンザラインに決められた、だと……!?


 <30-0>


 ポイントをとられた。


 これが……、これが源さんのフラットか。想像以上だった


 しかし藤崎の見立て通り、ボールが速くてラリーが得意だった。あそこでストレートに来るとは思わなかった。


 俺のエッグボールも悪くはなかった。むしろ攻めた結果だ。


 けれど源さんのショットがそれを上回った。


 正直俺もフラットショットのラリーは嫌いじゃない。むしろ得意な方だ。


 けれどもこんなに隙なくラリーをするのは初めてだ。


 正直一瞬も気が抜けない、そんな予感がした。



【作者あとがき】

 ちなみに作者はトップスピンをごりごりにかけるのが好きです。

 フラットで打つとすぐにコートアウトになるので……。

 引き続きよろしくお願いします。



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