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第39話 足りないフラグを捜索する。

 私と玉兄さんが事務処理的な事をしているし、時間も半端だから何をしようか、と考えた結果、ミューちゃんに続く呪符作成士がいないと困るから、足りてないらしいフラグを探すか!という事になりました。


 玉兎:第二陣、そこそこな数がパーソナライズ種族を選ぶ予想が立ってるから、今のうちに環境は整えておかないとなあ。

 ミュー:ゲームで過労死は嫌じゃー!

 ひまり:切実よね、NPC師匠こそいるけど実質オンリーワンって。

 北斗:GMもひとり技能持ってたよね?

 ミケ:板情報だと、リアル側のリスケで死に体だってよ

 アン:ですよねー……


 むしろオペレッタさんとかよくあれだけ掲示板マメに回ってるよなと。


 そんなわけで、町をうろうろします!

 例の雑貨屋さんにまず行ってみたよ!


 ミケ:あれ?俺にも見えるし入れるな?

 アン:私にはお店自体が見えません。


 ここでまさかの:ミケさんが呪符のお店に反応!


「おぅや?よう来たね。珍しい境界の子を連れておいでだねえ」

「こんにちはー!自分でもお札作ってみようと思ったんですけど、道具と材料売ってますか!」


 ミュー:自分で作るん?

 ひまり:作成数もしくは作成した人数でフラグが立つ可能性を考慮しました!

 玉兎:確かに、我々は普段はミューさんに任せっきりだものな。

 北斗:俺も試すか!


「おうおう、道具も紙も、たあんとあるよ。買うには少しお高いが大丈夫かね?一日に一人だけ貸し出しもできるが、一時間限定だね」

「場所だけお借りしてよろしいですか、あと材料買います」

「貸し出しでおねがいします」

「私は纏めて買いまーす」

 ミューちゃんが5000エンって言ってたから、そのくらいなら買える!

 北斗さんは貸し出し勢で、どうも玉兎さんは既に道具は購入済みの気配だね。


 場所が借りたいといった玉兎さんのおかげで、書く人全員で奥に通される。

 ミケさんは技能がないので、店の品を一つずつ検分している模様。


 ミケ:金物が少ないなあこの店

 ミュー:お札作るのに使わないからね。インクの触媒に鉄を少し使うくらいじゃないかな?

 ひまり:鉄?五倍子ふしでも使ってるの?いやインクだから没食子もっしょくしかな?

 ミュー:そうモッショクシ、ってなんで知ってるのこの雑学王……

 アン:五倍子の方は一時期時代小説にハマってて鉄漿おはぐろの材料とか調べたからですね。没食子の方も多分何かの創作作品で出てきたものでしょう。

 ひまり:ううん?没食子の方はブルーブラックのインクってなんで黒じゃないのかって調べたやーつ。

 玉兎:ヒトヨタケがないが、触媒自体が別なのかな?

 ミュー:あれは魔法触媒が必要。そもそも中級だから初級セットには入ってないよ。


 なお道具は初級者用をお出しされたので3000エンだった。


 ミュー:なるほど、中級以降で使う触媒が付いてない分安いんだね。

 ひまり:フルセットの時だけ5000エンなのかー。

 ミュー:いや、上級までいったら上級専用道具解禁でそれがまた5000エン。

 アン:結局どうあがいても生産職は道具に最低1万は取られる仕様なんですね。

 ミケ:そういう意味では調理人はヤバいな?

 玉兎:レベル制限組は皆道具代がヤバいっていうから仕様だろうし、金工も炉があるだろう?

 ミケ:炉は一生かけて育てろ、だってよ。魔法炉だからか初期投資はそこまでえぐくない


 ひまりちゃんが最初に持っていた、つまり自分で作れるのは攻撃符の火と護身符の光、それに治癒符だ。

 治癒符はいっぱい使うから、自分でも作りたいよね!


「ああ、最初は攻撃符や護身符を練習おし。治癒符は失敗すると人様にご迷惑がかかるからね、他を練習してからだよ!」

 いそいそと見本を取りだしたら、おばあちゃん店主に叱られた。なるほど?


「じゃあ属性が同じだし、護身符書くかな?あまり使わないけど……」

「大丈夫、俺が使うから」

「そうそう、そうやって知り合い同士で融通するのも大事な事さね」

 北斗さんと話していたら、店主さんにそう頷かれた。なるほど把握!


 玉兎:流通の範囲が狭すぎというか一方通行なのもダメな気がしてきたな?

 ミュー:いつも私が売るか配るかだもんねえ。ありそう。

 アン:やっぱり見つけられないので、ちょっと肉焼いて売ってきますね!

 ひまり:はーい、いってらっしゃーい。


 結局アンだけお店を見つけられなかったんだけど、なんでだろうね。


 と思いつつ30分ほど練習してたら……


「ごめんくださーい。配達でーす」

 裏口ががらっと開いて、アンファルが顔を出した。


「おお、おお、ありがとうよ。今日は久しぶりに肉を楽しみたくてねえ!」

 なんとまあ、店主さんがデリバリーを依頼して、受けたのがアンファルらしい。


 玉兎:そっちから入れるのは想定外。

 アン:皆さんのいる場所、自分の地図にマークがついててなんだろうと思ったら、師匠の常連客さんでしたね!

 ミュー:世間が狭い!

 アン:表通りから入ったことなくて知らなかったんですよね、ここがお店だって。


 どうやらアンはアンで師匠から受けたクエストだったようで、味の評価を確認してから戻っていった。


「うむうむ、このくらい書けていたら治癒符の練習をしてもいいよ」

 兎の焼肉を美味しそうに食べたおばあちゃん店主さんは、機嫌よさそうに私たちの書いたお札の添削もしてくれた。


 初級のお札の素材は草紙という、所謂わら半紙?かリサイクルペーパーの安い奴みたいな紙だ。

 それをきちんと切りそろえたものに、ドーサというものを刷毛で塗って乾かしたのが、原紙になる。

 確かこれにじみ止めだったかな?


「この辺りでは墨の製法が途絶えてしまってねえ。インクで書くしかないからドーサを塗るのさ」

 その手法をミューちゃんに教えながら、店主さんが解説してくれる。


「墨の製法を復活させれば、ドーサ引きはしなくてよくなる?」

「初級はそうなるのう。中級以後は専用のインクが必要じゃから、そういうわけにはいかんが」


 ミュー:まさかひまちゃん墨の製法知ってる?

 ひまり:工程自体は知ってるけど自分でできる気はしない!

 玉兎:あれは手間がかかるからなあ……

 ミケ:膠が必須だから、この世界だと錬金術の領分になりそうだな


 おお、玉兄さんは知ってそうではあったけど、ミケさんも墨の材料とか製法把握してるんだ!

 本業石屋さんみたいな事言ってた気がするから、仕事の関係で知ってる感じかな?


 なお我々が練習している間のミケさんは、金工士見習いだと言ったら、店主さんから紙を切る道具のメンテナンスができるか聞かれたり、触媒にする金属塩が作れるか聞かれたりしていた。


 ミケ:成功率が6割っ。見習いつれえ

 玉兎:そもそも紙の押切のメンテナンスは管轄外では?

 ミケ:そいつはパーフェクト!家でも使っててな、リアルで散々やったから慣れてんのよ

 ミュー:ああ、触媒作るほうは錬金術じゃないかなあ、あれ……確かに鉄も使うけど。

 ひまり:ゲーム的錬金術なん?

 ミケ:ゲーム的とリアルの化学合成半々って感じだなあ


 そんな感じで生産職のスキル上げにもなったみたいで、これはこれで充実した時間でしたね!


 ひまりちゃんもきちんと治癒符を書けるようになりました!

 自分で治癒符をオートで生成できるようになればいいけど、流石にそこまでは無理らしい。

 足りない属性があると技能からスキルに上げられないんだよね、残念。


 この雑貨屋さんの店主のおばあちゃんは、呪符作成士やその指導員としてはもう引退して、老後の暇つぶしにこっそりお店をやってるヒトだという話も聞かせてもらった。

 ミューちゃんのお師匠さんのそのまたお師匠さんなんだって。


「じゃあこの手紙をあんたの師匠に届けておくれな。あの子の悪い癖がまた出てしまっておるから、きちんと直すまでうちに通って貰わにゃならんわ」

 ミューちゃんのお師匠さんは効率主義と称して手抜きをする癖がある人なんだそうで、ミューちゃんのやり方も相当直されたし、師匠さんの方も呼びつけて修正すると元気に語っていた。


 そしてぴこん!と通知が鳴る。


『クエスト:『符術師のお札2』クリア!評価:Exellent!

 SP4と取得エンにボーナスを得ます』


 ミュー:わはは、クエストコンプリート、えくせれんと☆

 玉兎:僕もコンプしたけど多分内容別だよね。

 ひまり:えくせれーんと。

 ミケ:おう?俺もエクセレント貰えるんだ?

 北斗:ベリグ。なぜだ!

 アン:あら、私も何故かクエストコンプが一つ増えました。

 ミュー:北斗っちはあれよ、字が綺麗に書けてないから。


 全員クエストをそれぞれコンプしたらしい。

 符術師組はお札2で、ミューちゃんは職業連続クエのひとまとまりが終わったらしい。

 ミケさんは金工士としてのクエスト、アンも調理人クエストだった模様。


 ひまり:つまりこの雑貨屋さん、クエストの集中ポイント?

 玉兎:キーパーソンって奴か。

 ミュー:お年寄りは大事にしましょう?

 アン:でもこの方、見た目ほどお年じゃなくないですか?健啖家でらっしゃいますし。

 ミケ:その辺はNPCの平均寿命とかのデータがない現状では何とも言えんなあ

 北斗:ミケまで意識高い発言しだしたぞ……

 ミュー:朱に交わればまっかっか!


 いやいや、そういう話ではない、はず。

フラグに関してはこれで正解だけどちょっとまだ数が足りない。

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