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第29話 森のヒトデはめんどくさい。

 ちょっとだけファイト&ファンシーの話も。

 一旦トイレ行っとこうかな、とログアウトしたら、PCの方にメールが着信していた。


 プライベートアカウントの方か、誰かな?


 ってあー!!

 ファイトアンドファンシーの月額課金、明日で切れるっ!


 私まだ未成年でクレカ持ってないからねえ……電子マネーで課金なんですよねえ。

 お小遣いは一応それなりに貰ってるんだけども。


「あ、ちょうどいいわ花枝はなえさん。電子マネーがですね」

 トイレ前で花枝さんとばったり遭遇したので早速その話を振る。


「あら、今月もログインする予定ですか?」

 花枝さんの方は、ファイトファンシーの方は休止するつもりだったのか、そんな回答だ。


「来週レイドイベントあるから、今月は課金する予定なのよ。ベータ当たるかどうか判らない頃に、出るって約束しちゃったからね」

「約束があるんですね、では手配しておきますね。明日までですよね」

 同時期にファイトファンシーをスタートした花枝さんも、課金はそろそろ切れる頃合いだから、更新日はちゃんと知っていた。


「それまでに5Dの方のレベリングが終わればいいけど、そうじゃなかったらちょっと皆とも調整しないといけないかしら」

「来週の何時頃かにもよりますねえ……ああ、レイドイベだから金曜夜ですね、恐らく大丈夫なんじゃないですか?」


 そんな会話の後で、再びログインしてレベリングだ。


 ひまり:金曜までにレベル上げ終わるかなぁ?

 ミケ:なんだ?ひまちゃんもファイトファンシーのレイドイベ出るん?

 ミュー:あ、次の金曜か!

 北斗:あっちで会ったりしてな……いや鯖違うと会えんか……


 ベータ版でプレイサーバが一つしかない5D!と違って、ファイトファンシーの方は固有名称のある十数個のサーバーにプレイヤーが分割されてるから、あっちでも会えるとは限らないんだよね。


 なお今までのMMOはサーバー分割タイプが主流だ。

 1サーバー……鯖ごとの人口はゲームによってまちまちだけど。

 ファイトファンシーは1鯖2000人くらいかな。

 その前にやってたゲームだとその半分くらいだった。

 サーバー移動も、どこでも行ける系と、ファイトファンシーのようにキャラ作ったら基本固定のゲームと、まちまちね。


 ミケ:あっちもまたレベルキャップ解放あるらしいしなあ

 ひまり:まだまだ遊べるドン!だね!

 アン:あちらは接続時間制限がありませんしね。

 玉兎:そう、一日フリーの休日だと、そっちも弄りたくなる。


 そんな感じで喋りながら狩場を選定する。

 といってもこの南エリアではオニヒトデと骨がアクティブだそうだから、森の余り深いところには踏み込まない方がまだよさそうだよね。


 北斗:レベルトップ集団のいいところは、狩場を選び放題な事だな!

 ミケ:デメリットはモンスターの情報が足りねーことだが

 玉兎:イノという先達はいるが、あいつひたすら猪突猛進で敵への対処とか教えてくれないからなあ。

 ミュー:教えてくれないんじゃなくて、本人もどうやって切り抜けたか覚えてない説。

 ひまり:いやいやまさかそんな?


 イノさんとはまだあまり遭遇回数が多くないから、どういう人となりなのかまで判んないけど、そこまで頭すっからかんでレベルトップは無理じゃないですかね?


 アン:最初にレベルカンストした方ですよね?この時間でソロでカンストするなら、死に戻りしてる時間は殆どないような気がしますが。

 北斗:それがあいつどうもガチのフィジカルお化け種族らしくてなあ。

 ミケ:体力と力と耐久と敏捷だけガンガン上がるって言ってたな

 ひまり:えぇ……それってつまりLv15段階で体力160近くあったって事……?


 近く、と言ったのは、私が知性にも1とはいえステ振ってるのと、クエのエクセレントボーナスで増えてるから、初期からの素の成長数値じゃないからですね。


 ミュー:……つまりひまりちゃんの魔力160あるんだ……?

 ひまり:知性に初期値から1余分に振ったのと、あとチュートリボーナスでも魔力増えてそれで160!

 玉兎:なお体力。

 ひまり:52だけど、当たらなければどうということはない!のです!

 北斗:玉兎は体力魔力は一律勢か?

 玉兎:そうだね、そこだけはヒューマンと同じらしい。

 ミケ:知性に最初に振った分だけ多いだけなのか

 アン:ヒューマンは全部一律ですっけ。


 うん、掲示板でヒューマン種と獣人は体力魔力も他ステも全部一律で優勢劣勢がない、って見たね、確か。


 初期ステータス自体はどの種族もだいたい1桁スタートだったから、育ったら誤差なのかと最初は思ってたんだよねえ。

 フタを開けたら、レベルが上がれば上がるほど、種族差が強調される仕様だったけど。


 ミケ:じゃあ狩るぞー!【オニヒトデ Lv17】


 程々に視界が通って、アクティブモンスからのバックアタックの心配のない場所ということで、森側の河原の一角に陣取って、ミケさんがいつも通り投石という名の髪の毛ぶっちんでオニヒトデを釣ってくる。


 オニヒトデ。名前は海生生物っぽいけど、ブツとしては鬼の手首から先だけが指を使って歩いてる、そんな感じのモンスターだ。手の甲側に剛毛と、指先に黒くて鋭い爪。


 普段は指を足のように使って移動してるけど、戦闘状態になると、手首の部分で立って、爪を飛ばす固定砲台になるんですね。後衛を!狙うな!見えてる爪だから避けるけど!


 ミュー:いて。ひまりちゃん数値以上にフィジカル優秀……?

 ひまり:リアルでも多少は運動してるからかな?

 アン:そこまでリアル側は強く影響していないように思いますが……

 ミケ:ドワーフはステの補正の方が強そうじゃね?

 玉兎:ステ補正というより種族補正みたいなものを感じることがあるから、そちらかもな。

 北斗:ほー、そういうもんなのか!違和感とか感じた事自体ねえやw

 ミュー:まあ実際うわああああ?!

 ひまり:わああ!!治癒符うううう!!


 喋りながら斬りかかったミューちゃんと、殴りかかったミケさんが同時に吹き飛ばされた。

 カウンター持ち、こいつなのか!!しかも多分耐久貫通で体力半減?!


 ミケ:耐性とか耐久全部ぶち抜いて強制で体力半減かよ!!

 ひまり:わああああん治癒符ううううう!!


 治癒符も当然お札なので、1枚ずつしか飛ばせない。

 回復量は魔法スキル+10だ……これまた体力160近いミケさんの回復が間に合わなーい!


 幸い魔法耐性はなかったので、ミケさんだけがカウンター食らいながらお札で討伐することはできた。


 ミュー:びびった……即死がないのは恩情かな……追加のお札どうぞ……

 ひまり:ありがとー!魔法スキルもっと上げないとだね。

 玉兎:魔法スキルが符術で一括なだけまだマシだね。僕ら今まで治癒ってあんまり必要じゃなかったし。

 ひまり:ほんとそれ。

 北斗:イージーモードで15まで来ちゃった?

 ミケ:石人を讃えよ!まあ俺だけだと攻撃が足りなくて手詰まりになるんだがな!


 現状ミケさんの打撃ってヘイトを維持する最小限の数字でしかないっぽいしなー。

 どうも話を聞くに、生産職固定らしいんだよね、石人。


 アン:絶妙に痛いところを作ってある感じですね、特殊種族。

 玉兎:真龍なんて選んだ人がいたらどうなっていたやら。

 ひまり:ステぶっ壊れのジョブ制限付き?テイマーしか選べないとか。

 北斗:豊富な体力も魔力も生かせないというとテイマー系、次点でいれば嬉しいけど魔法の取得次第では戦局に僅かな影響しか持たない治癒師?

 ミュー:治癒師、攻撃力絶無で今全然人気ないらしいから、むしろいたら嬉しくはあるけど。

 ミケ:それを自分でやりたいかと言われたらなあw


(これだから先読みの得意な集団は)

 朔夜がぼそっと答えを言ってしまっているけど、わたしにしか聞こえないのでノーカンでいいな!


(テイマーではないそうだ。奴らは思考を持たないタイプの動物には怯えられ逃げられるから、テイム自体が困難だそうでの)

 真龍、やっぱり不便な種族の気配がするな!


 でも朔夜が知ってるということは、アルファ辺りにはいたんだね?


(そりゃ、設定の上がった全種族で最低限のテストは行うからの。まあいろいろやばいことになってお蔵入りになった種族もある故、真龍はその中ではマシな方判定という事じゃろ)


 ひまり:そういう種族も多分テストはしてたろうから、アルファってすごいカオスだったんだろうなあ。

 玉兎:確かにそうかも……ディギー氏、守秘義務以前に、素で喋りたくなさそうだったもんな。

 アン:やはり黒歴史なのですね……?


 狩りの方はオニヒトデをメインに狩ったら、ミケさんがLv16になったので、一旦パーティを抜けて櫓に退避しに行った。


 北斗:しかし俺がこいつのカウンター受けながら盾は厳しいのでは。

 ミュー:薬は?

 ひまり:ミケさんが耐性とか全部抜いてくるとか言ってたから難しいかも。

 玉兎:数値を見る限り護符の分も抜いてるなあ。確定半減で即死はしない仕様だとは言え。

 アン:吹き飛ばしの距離が短いので、回復をサボると爪で刻まれるんですよね。


 オニヒトデはそれなりにいるけど、それ以外のモンスターがあまりいないんですよねここ。

 さーて、どうしようか。

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