第12話 GM降臨と初日終了。
中途半端な時間に休憩を取ったので、ちょっと掲示板を確認しておく。
……ひまりちゃんスレがあるのは見なかったことにしておこう。
健全スレ以外はGMに消されるはずだし、そっとしとこうね……
お?お?狐ノ命、もう一人いるんだ?
わあ、テイムクエ失敗したんだ……消し炭……かわいそ……
いやでも朔夜はまたチュートリからかもしれないって言ってたから、もしかしたら製品版でワンチャンあるかもしれないよね。
いえ、うちはもう多分大丈夫だと思うんだけど、なんとなく。
でもそうか、あのテイムクエ、狐ノ命専用イベントか。
そうよね、狐ノ命はノの字族でジョブも符術師固定だから、テイマーにも召喚術師にもなれないもんね。
実際、朔夜はプレイ中は原則として、ふわふわとあったかくてかわいいだけだ。
助言はしてくれるけど、私を助けてくれてるというより、解説さん……GMの手が回らないところを補佐してる、の方が近いし。
とか思ってたら北斗さんが涙目で訴えた事案で符術師限定の状況は変わるかもしれない?
とりあえず北斗さんが攻撃符しか使えない状況は修正が決まった模様。
そうよねえ、最後の方、ひまりちゃんの半分くらいのダメージの時あったもんね。
お札の火力は、属性が同じときはひまりちゃんがダントツなんで多分知性基準でダメージ判定かなあ。
お、その種のスレもあるな。符術師は数が少なすぎてデータ不足か。
でも今日のパーティの分の差異はもう玉兎さんが書いてくれてるから私まで口出しはしなくていいな?
そういえば護身符、使ってみればよかったなあ。
全然使ってないもんね。試しておかなきゃ。
よし、とりあえず確認したいことは見たから、再度ログインだ。
リアル10分くらいだけど、そろそろフィールドに出られるかな?
ひまり:んー。おはよう?
ミュー:あ、ひまちゃんもどった!おはよ!
玉兎:おう、戻ったか。この後の予定説明していい?
おや?様子がなんだか変ですね?
(ああ、ワールドクエストの方で不具合が出てしもうてな。フィールドに出られんのよ)
わあ、割とクリティカルな奴きてた!
説明を聞いたら、なんか大量に死に戻りが出たから確認したら、予定してないスタンピードが発生していたそうで……
幸いNPCの冒険者たちはベテランさんだったこともあり、どうにか逃げ帰ってきたそうなんだけど、現在完全に籠城戦だそうだ。
そう言われてみたら、外が随分騒がしいね。
北斗:よし!全員揃ったし見物行こうぜ!
玉兎:それしかないよなあ。
ミケ:GM降臨だろ?どんな奴が来るのか見ておきたいじゃん!
ダンスィ達がノリノリでバトル見物に行くと言い出した。
無論私にも異論はない。GMってやっぱり専用装束だったりするんですかね?
《まもなくGM一行によるスタンピード討伐実演が開始されます。
特等席の城壁は既に閉鎖されていますが、モニター観戦ができますので噴水広場にてお待ちください》
ミュー:告知が完全にお祭りのノリなんだけど気のせい?
ひまり:GMさんが掲示板の方でお祭りって言いきってたよ。
我々は当然出遅れ組なのでモニター観戦だ。
当たり判定がないから、何気にどこに居座ってても大丈夫だし、配信が始まったらパーティメンバー以外が見えなくなる、チュートリアルとほぼ同じ仕様だった。
但し一般会話はまるっと聞こえますね?
あ、聞こえる会話の条件もセレクトできるわ。
会話モードの一般会話と全体会話を制限しとけば、パーティの皆だけでわいわい言いながら見られるよ!
でもお祭りだしなー、とりま制限なしで自分の発言だけパーティ限定でいいか!
『お待たせしました。GM:オペレッタです』
ややあってモニターに大きく映し出されたのは、見事に波打つ、腰までを覆う金髪。
目のない、三日月のように笑う口だけ描かれた白い仮面で顔は見えないけど、姿は多分やや細身の均整の取れたスタイルのヒューマン女性だ。
装備は黒光りする金属鎧に赤と黒のツートンカラーのサーコートに、一見丸腰?
周囲からかっけえ!と声が上がる。
『GM:ファンダルだ。初日に公開とは不本意だが、上位剣技スキルの実演予定だ。確と見ておくが良い』
続いて現れたのは、これも仮面に赤黒ツートンサーコートと鎧に更にこれも赤黒のマント装備で、幅広の身長位ありそうな大剣を背負った、でもこちらは見るからに肩幅と筋肉のしっかりある感じのヒューマン男性だ。
髪は肩を通り越す長さのストレート、多分黒か濃灰色。
玉兎:板の方で思考制御入力で口調が雑って言ってたけど、素があれなんじゃんよ。
北斗:だが似合ってる。カッコイイな。
『GM:カンタータです。掲示板業務には参加しておりませんからお初になりますね、宜しくお願いします』
更にもう一人、これは渋めの男性の声。ファンダル氏より年上かな?
で、このヒトだけ何故か立烏帽子に緋色の直衣と黒っぽく見える指貫、そして生成りの布で顔を隠す、所謂陰陽師スタイルだ。体型も衣装のせいでよく判らないね。
烏帽子ってことは、髪は髷を結ってるな?でないと留められないよね。
顔の布のマークは定番の清明桔梗かなと思ったら三つ鱗柄でした。はて?
アン:東方系もそのうち実装されるんですかね?
ミュー:国産ゲームだからありそうではある?
ひまり:そもそも狐ノ命の初期服が狩衣風味だし?
玉兎:そういえばそうだな。兎シリーズがちょっとインド風味なのが謎だが
そういえば玉兎さんの初期装備、割と肌の露出が多いよね。インドというか仏像系。
シリーズってことは、色違い兎さんもそんなんなんだな?
『では殲滅を開始します』
女性GM、オペレッタさんが厳かに宣言し、いきなりどこからともなく、両手に長さの少し違う片手剣を一本ずつ携えて、町の壁から飛び降りる。
撮影はシステムがやっているのか、降りる彼女の姿をほぼ正面から捉えていてすごくカッコイイ!
玉兎:こりゃあ我々モニター観戦勢が勝ち組だな!
アン:予想以上に素晴らしい映像ですね……
『ではとくとご覧ください。〈双剣技:ブレイキング・ストリーム〉』
お、武器技も宣言するタイプなんだ。
二本の剣を一瞬正面で交差させ、着地と同時に見えるかどうかの速度で振り抜く。
そしてそのまま前方に、剣の風圧と共に飛び出していき、回転しながら高く、低く。
剣から巻き起こる風は、魔法要素なのが何となく判る。
そして二本の剣と人は、一陣の暴風となって密集しつつ殴りかかろうとするモンスターを薙ぎ倒していく。
まっすぐに、斃れたモンスターのキラキラが後を追う。
『こちらも行くぞ。〈大剣技:グラウンドブレイカー〉』
そして今度は男性GM、ファンダル氏が自分の身長より長くて幅広の大剣をどこからともなく取り出して構え、どん!とこちらは力強い動きで壁から地面に着地し、その勢いで大剣を地面に叩きつける。
それと同時に大剣から魔力が迸り、地面をえぐり取り、亀裂を生じさせ、モンスターたちがそれに飲み込まれていく。
技の行使が終わると、地面は何事もなかったように修復されていくのがなかなかシュールだ。
『まあまあですね。ではお下がりなさい。……〈バーストブレイクダウン〉』
こちらは壁の上に留まったままの烏帽子姿の男性GMが、厳かに述べたのは、多分攻撃魔法。
玉兎:……今の何?
北斗:雷?
北斗さんの言う通り、恐らく雷の、かなり上級の魔法っぽい。
宙に現れた青白く光る雷光が、モンスター同士の間を伝わるように、バリバリと音と光をまき散らしながら広がっていく。
そしてそれが消えた時には、モンスターは、一体たりとも残っていなかった。
『殲滅完了ですね。最初から魔法でいいのでは感は否めませんが』
オペレッタ氏がいつの間にか壁の上に戻っていてそんなことを言う。
『デモンストレーションなんてそんなものだろう。なお今日公開した武技や魔法は正式版で実装予定なので期待し給え』
ファンダル氏がそう述べたので、ベータでは手が届かないの確定ですね。
(そりゃあ最上位だからな、あれらは。ベータのLv20制限で届くはずなかろう)
あ、ベータテストってLv20までなんだ。
(レベリングが余程捗るようなら解放するかもしれんがな)
成程……まあスタートダッシュはしたいけど、そこまで急いでレベリングは……生産組がしたいんだっけ……
『まあまあいい画が撮れましたから、第二弾テイザーで使わせてもらいましょう。ではプレイヤーの皆様、ごきげんよう』
そして烏帽子のGM、カンタータ氏がそう宣言し、一礼して特殊っぽいエフェクトで消えていったので、討伐イベントは完了らしい。
残る二人のGMも、それぞれ挨拶して消えていった。
玉兎:これで終わりか、すげえ技だったがあっさりしたもんだな。
ミケ:そもそも運営にとってもイレギュラーだったらしいからな、まだ外連味がある方だろうさ
ミュー:使ってみたい!ってなった人多いと思うよぉ、特に魔法!
北斗:だがなんで烏帽子に直衣の陰陽師スタイルだったんだ?
アン:あの衣装を作りたい人もいそうですねえ。
ひまり:私の衣装も割と見られるのはそれかなあ。だいぶくたびれてるけどコレ。
初心者の服に合わせてか、ラインがかっちり出ない程度にくたびれてて、狩衣らしい直線ラインが出てないのよね、今の服。
結局観戦してたらログイン制限時間にだいぶ近づいていたので、今日は解散して掲示板眺めて終わりってことになった。
スタンピード後のリポップはレベル調整とやらで遅くなるらしいんで、狩りに出られなかったのよね、残念。
魔法名をどっかで見た?おとモフ同様雷超級ですがあそこまで応用度高くないです。
※ゲームの方だと流石に攻撃魔法と弱体魔法は別な為。
剣技は新規に作ってみたがまあド定番。




