第13話 黒狐お姉さんと大福兎。
掲示板で泣いてた黒狐ちゃん登場。
「あ!いたいたー!そこの狐ちゃーん!」
翌日も平日なので、昨日のパーティの社会人組に合わせて夕飯の後でログインしたら、冒険者組合まで来たところで、知らないプレイヤーさんに声を掛けられた。
ひまりちゃんスレの住人は声掛けしないお触りしない、を誓ってるらしいけど……
おお!同族だ!
私に声を掛けてきたのは、黒い狐耳と尻尾、それに黒髪に金目という色合いの、私と同じ、くたびれた狩衣風衣装の美少女だ。
設定年齢は私より年上っぽいね。
この人もデフォ顔使ってるのかな、ちょっと釣り目なとこがかわいい!
「私ですかー?同族の人?」
「そうそう!もう一人狐ノ命がいるのは知っていたけど、意外と会う機会がなくて!」
そう言われてみれば、私も狐ノ命がもう一人いるってのは、掲示板で見ただけだった。
昨日は他の人を能動的にチェックする、なんて全くしてなかったからね……
「チュートリ1失敗して凹んで草原の隅っこで三角座りしたりしてたから……」
あー、そういえば消し炭の人か……あれは凹むよねえ……
(あー……奴も凹んでおったな……製品版でワンチャンあると慰めておいたが)
朔夜と消し炭にされた子?も知り合いのようで、そんな情報が飛んできた。
「あー……これベータだからまだ製品版でワンチャン……」
「怒ってないかなあ」
「アプローチ間違えたって凹んでるんじゃない?」
そんな会話の後、握手してフレンド登録だ。
なるほど、狐ノ命の稲生キリカちゃん。
あ、ユーザーアイコンも狐だわ!ユーザーネームはお狐様ラブ!、キツネスキーか!
「わ、くらげのアイコンあるんだ、かわいい!」
キリカちゃんも同じところを見たようで、私のくらげアイコンを可愛いとほめてくれる。
「キリカちゃんの狐アイコンもいいよね。私、先にユーザーアイコン決めたから全然関連性なくって」
「私最初から狐獣人でやるつもりだったのよ!レア種族が狐だったのはラッキーだったわ」
そのまま二人でちょっと話をしたけど、初期符が私と完全に同じだったので、どうもあの初期符の品目は種族で決まってる予感がしてきた。
「種族固定かあ、魔法スレに上げとく?目立つかな?」
「スレ主の玉兎さんがフレだから教えとくわ。もしかしたらキリカちゃんにフレ依頼飛ぶかもだけど」
既にチュートリ失敗で目立ってるしなあ、とぼやくキリカちゃんに、情報収集マニアには伝えておくと返事をする。
どうせこの後会うからね!
程なくしてミューさんからパーティの誘いが飛んできたので受諾して、おねむだというキリカちゃんとは一旦お別れだ。
ミュー:おっはー!
ひまり:おはよー!
アン:おはようございます。GM実演会、昼間にもう一回あったそうですね
玉兎:肝心のトリガーことボスが討伐できてなかったそうだからな。
ミケ:今日からログインの連中もいるから、そいつらがモニタ前の優先席貰ってたぞ
北斗:どこにいても同じように観られる仕様だけどなあ。
そこはほら、気分の問題とかそういう。
見られなかった勢が昨夜の掲示板でじたばたしてたそうだから。
今日から、ヘッドセット付けてれば、プレイ時間とは別に、ログインサーバ手前から掲示板だけ見られるようになったんだよね。
スレ立て以外はだいたいできる感じ。
但しこれにも1時間の接続制限付きだ。ゲーム機に齧りついてちゃいけません?それはそう。
私は今日の分は検証スレ回ったら終わった……時間、溶ける。
ひまり:あ、そうだ、玉兎さん!さっきもう一人の狐ノ命ちゃんとフレになったんだけど、見た目色違いでも初期符の中身一緒だって!
玉兎:おお!同種同族が二人以上いるのが確定しているのは狐ノ命だけだから助かる!
アン:フレンド登録されたのです?
ひまり:したよー、といっても普段のプレイ時間が結構違うみたいで、今日はもうログアウトしてる。会わなかったわけだよ!
北斗:普通の狐獣人もいるから、見分けが付けにくいのかねえ?
ミケ:服装が固有だから間違えんだろ?
そういえばミケさんはヒューマン系の初期服だったな。
今日は違う服、多分露店で売ってる古着っぽいの着てるけど。
玉兎:……そういやミケ、あの初期服どうしたんだ?
ミケ:素材換金者第一号が速攻で古着買って、要らないからってくれた!
……んんん??
アン:あの、もしや、ミケさん、初期服って……
ミケ:石人は初期状態だとなしだ!複数の彫像がセレクトできたけど、大事なところは布か葉っぱスタイルで隠れるようにしてあったから問題ない!無論その辺も全部石だがな!
わあ!マッパ種族か!!!
道理で似合わないはずだわ、初期服。いや、あれ似合う人は滅多にいないけど。
北斗:つまり装備品は特に要らないけど趣味で付けるもん?
ミケ:俺に関しては現状ではそうだな。というか、実用タイプの鎧は装備不可だ。
石人、制限多いな?!
(その分フィジカルというか打たれ強さでは最強種だ。5レベル差までの物理打撃は半減だぞ)
ひまり:でも石人ってなんだか盾職になるための種族感あるよね?
ミケ:そう、よく考えたら革鎧より固いんだよ俺!本物の大理石より靭性あるからそうそう欠けたりもしないし!
おや?ミケさんは本物の大理石の特性もご存じ?
玉兎:薬品耐性もありそうなのがな……まだそういう敵はいないが……
ミュー:検証もいいけどそろそろクエ選んで狩りに出ませんか!
アン:私としてはヒューマン初期服が譲渡可能な方が驚きです。
ミュー:ヒューマン初期服だけらしいね、譲渡できるの
ひまり:よかった……今の私の服、欲しい人いそうだもの、昨日のGMさん見た後だと特に!
クエチェックとオファーを雑談しながら済ませて、今日も草原3エリアです!
ミュー:ここも人が増えてきたわね?
玉兎:むしろ時間帯の問題だろう。前回まではリアルでは平日昼間だったから、人数自体が知れていたはずだし
ミケ:そういえばこのメンツなんで昼間勢だったんだ?俺は家業を継いだとこで自営だから融通利くだけだが
ひまり:通信課程の学生なんだー。ノルマ済んだらログインできますなやつ!
アン:おとめのひみつです^^
ミュー:昨日は自主休講☆
玉兎:割と口が軽いな皆……普通の会社員、他にいないのか?
北斗:俺ぁ今は普通の会社員だぞ。
私が通信課程の学生なのはほんとだよ?
高校課程はとっくに終わって、今は大学課程だけど。
それも早めに単位分ノルマは片づけてしまって事実上飛び級して、後もうほぼ卒論だけだけど!
ミュー:アンちゃんのおとめのひみついいなー。他所で使わせてもらおう!
アン:リアル情報はできるだけ秘密にするものですよ?
う、これはあとで花枝さんからのお説教が来る奴だ!
でも、リアルの私と結びつく可能性はそこまで高くない、よね?
年齢的にはまだ高校生なんだし。いや年齢非公開だから現状だと学生だと判るほうがまずいんだっけ???
でもなんでかなあ、このパーティの面々は、何となくだけど、信用していい、ってそう思うんだ。
バーチャルリアリティの中で、精神面だけが近くにいるから、なんか普通の対人対面とは違う部分でもあるのかな?
一部の人には、近づきたくないなー、って感じすらあるからなあ、謎だ。
でも影響されすぎないように、気を付けた方が良い気はするな。
(うむ。我はそのフォローもできる故、認識だけしておれば今はよいぞ)
おお!朔夜は目立たないところで活躍してくれるタイプ!把握!
さて、いつも通り雑談しながらの狩りの方はといえば、でっかい羽根兎では効率が悪くなってきたなあ、と、南にずれながら森に近づいて行ったんですけども。
ミュー:饅頭がいる!
アン:毛玉ですけど体型が饅頭ですね、もしくは大福。
ミケ:大福に毛ってそれカビてねえか
大きい羽根兎にも紛れることのできない、大型の、丸い毛玉。
よく見たら、普通サイズの兎の耳が、毛足の長い毛玉に埋もれるように付いている。
ひまり:兎耳あるから、あれも兎だよね。レア種?
ミケ:あ、モンスター鑑定取ったんだった俺!えーっと……【大福兎 Lv10】
玉兎:レア個体?
ミケ:いや、通常種?種名とレベルが違うだけで羽根兎どもと表記が変わらん
今の私たちはさっきLv7になったところなので、レベル差3。
多分パーティならほぼ適正、くらいだ。
ひまり:じゃあ護身符を使ってからいこうか!
北斗:俺も使えるようになったんで、ミケに護符!
ひまり:じゃあほかの人にはまずわたしから。
ミュー:初級の消費は1ずつとはいえ、北斗さんの魔力だと全員にかけ続けるのきついもんね。
北斗:マジそれなー!
ミケ:お、いきなりにしちゃ結構防御力上がるな
北斗:カスダメでも魔法レベルはちゃんと上がるんだよ……
どうやら掲示板で言っていた和邇族用パッチはもう当たってたらしく、北斗さんも張り切って護身符をミケさんに投げている。
むむむ!?
ひまり:北斗さんの護身符、めっちゃ効果高い気がする!
玉兎:ん?本当だ……ひまりちゃんのは+2なのに、月夜見のだけ+5?
ミケ:俺が一番耐久高いから、そっちの補正の可能性は?
アン:私とひまりちゃん本人どっちも+2ですから耐久補正はかかっていませんね。
かけられる方の耐久で補正がかかってる説をミケさんが唱えたけど、アンファル……アンちゃんが速攻で否定する。
そうね、私の耐久6だけど、アンファルのそれは15だもんな。ミケさんは驚きの22だ。
北斗:俺の耐久は……ドワーフと同じなんだな、15だ
玉兎:仮説としては術者の耐久の三分の一を付与か。
ひまり:攻撃の方は完全に知性補正っぽいから、そうかも
そんなわけで、北斗さんが護身符を主に配り、私と玉兎さんが攻撃、ということになりました。
大福兎はちょっと時間かかったけど、それでも経験値が美味しかったよ!
普通種なのにレアポップなのかなあ?
れべらっぷリザルトは次回まとめて。




