第101話 配信者HiMaRi☆
はい、第二部スタートです!
やっと小説説明文部分に……追いついたはずなのになんか違う……
※というわけで説明部分はちょっと修正しました!
***ここから本文***
『おっはよーございまーっす!HiMaRiだよ!☆
本日は、サーバー04:ニンリルサーバーにお邪魔して、クラン『フィフティ・フィフティ』の活動を取材しちゃうよ!』
毎週火曜と金曜、現状ではこの世界唯一のフルダイブ型VRMMO、『5D!』の、唯一の公式動画番組が配信される。
今回のレポーターは銀髪橙眼に金色にも見える狐の耳と尾を持つ少女、HiMaRi☆。
彼女は現在稼働中のすべてのゲームサーバーを自由自在に訪問し、トッププレイヤーたちの攻略の様子や、ゲーム内エリアの観光案内、はたまた職人たちの手仕事の様子やNPC達のリアルな生活の様子を、動画で視聴者に伝える公式アテンダントのひとりだ。
動画は任意のタイミングで撮影され、編集されてから放送されるので中継ではないのだが、編集者の腕が良いらしく、中継よりダイナミックで臨場感のある動画になっていると、評判は上々だ。
なお公式アテンダントは複数おり、HiMaRi☆の放送回は月に2回ほどとなるが、彼女の担当回はダントツの視聴回数を誇っている――
***以下次項***
今日はまず、確認のために送られてきたウェブサイト用の記事をチェックするおしごとだ。
全3ページを確認し、読み終わった記事のファイルを閉じ、うん、まあこんなもんか、とスタンプを押して、認証して返信する。
実際ひまりちゃんの配信が視聴回数ダントツなのは、事実なので!
レガシーサーバーはこの公式配信の対象外だけど、そこは記事の最後に、追記として載っていたのでよしとする。
ログイン可能なのは間違いないからね。
ログインする先がHiMaRi☆じゃなくて、本家ひまりちゃんなだけだよ!
そんなわけで、現在の私、職業:動画配信者だ。
いや、バイトですけどね、バイト。まだ未成年ですし!
相変わらず、日常は引きこもりでもあるよ!
なお他の公式配信者も、だいたい知り合いだ。
ぎゅん太さんとか、ソロモンさんとか、ミサキちゃんとか。
そりゃそうだ、公式配信者の条件、偏在化キャラクター持ち、だからね!
ベータ版由来の偏在キャラ持ち勢は、ほぼ全員身内みたいなもんだよ!
レガシーサーバーの配信も本当はあるんだけどね。
こっちは本家キャラが名前出しで皆でわちゃわちゃする内容が大半なので、VRログインしてないと観られないし、スクショもダウンロードも禁止の、課金ユーザー、そしてVRギア専用コンテンツでございます……
さっき読んでいた記事は、一般サイトに掲載される非ユーザー向け記事なので、その話は関係ないのだ。
なお、意外なことに玉兄さんと北斗さんは配信者はやっていない。
本業が副業不可なんでだめ、と言ってた。もしかして:公務員なん?
いやでも、常時ではないけど、あんな勤務時間も休みの曜日も不定レベルにしっちゃかめっちゃかになる事務職系公務員、いる??
ミューちゃんも配信はやってない。
これはプレイスタイルの違いというか……呪符作成士、どの鯖でもレアなんで、偏在キャラがどこ行っても、ほぼ常時お札を書いているだけ、という……不憫……
それでも本家キャラにあった変更を反映するために、偏在キャラへのログインは定期的にやることにはなっている。
そういうとこ手動なんですか、って聞いたら、一斉に変えるとサーバーに負荷がかかるので、個人単位でタイミングばらばらに変えたいから、という回答だった。
余談だけど、HiMaRi☆とひまりちゃんの最大の違いは、眷属だ。
朔夜はコピーされなかったんですよね、謎だ。
他の眷属持ちの人たちも、眷属はコピーされなかったそうだ。
まあこの眷属勢も、特殊な半プレイヤーみたいな感じらしいからね、しょうがないのかも。
そうそう、北斗さんもキリカちゃんも、製品版では無事自分の眷属を確保しましたよ!
キリカちゃんは私と同じで黒獣、北斗さんのは空飛ぶクリオネだって!
公式配信番組の視聴率は結構高い、そうだ。
まあね、公式以外の個人配信禁止だからね、5D!って。
スクショを外部サイトに貼るのはオッケーだけど、動画は全面禁止なのだ。
ベータの時にあった紙芝居動画騒動みたいなあれもアウトなので、製品版のアカウントBANで一番多いのは動画関連という笑えない話が付属している。
ぴこん、とメールが着信する。あ、オペ姉さんだ。
お給料の出る仕事として配信者をやってますのでね、ベータ版GMにして、まりあコーポレーションの中軸社員でもあるオペレッタさんとは頻繁にメールをやり取りする仲だ。
本名呼びじゃないのは、なんとなくGMネームの方が馴染み深かったからで、意味はないよ!
……思ってたより年上だったので、ちょっとびっくりはしたけどね。
『次回配信分の編集が終わりましたので、ログインしてご確認ください』
おっおっ、流石オペ姉さん、作業がお早い!素材渡したの昨日の朝だよ?
早速見に行きますかー!
今回チェックする動画は、さっき見ていた記事の台詞にあった鯖とは違う、08:ニンガルで撮影したものだ。
確かここのトップクランは今は『わんにゃん王国』と『セルロイドブルー』が争ってるんだったかな。
今回の動画は『わんにゃん王国』さんへの密着取材回だ。
名前の通り、獣人さんと符術師と大聖しか所属してないクランだよ。
現在の5D!はレベルキャップ120、他の大陸やら、サブジョブシステムやら、上位フローティングモブ、それにダンジョンや闘技場なんかも解放されて、やることはいっぱいだ。
私は趣味じゃないので北の大陸、サッフル王国にある闘技場には行ってないけどね。
なお実装時に、行かないと言ったら周辺のPvP勢全員に安心された。解せぬ。
私のお気に入りはホーライの学園だよ!
高校は通信オンリーで学園生活って奴はやれなかったからね!
『はーい!HiMaRi☆だよ!
本日はサーバー08:ニンガルにおじゃましています!
クラン『わんにゃん王国』さんが、赤金鉱山の奥底に新たに発生したダンジョンを攻略するそうなので、取材しますよー!』
『できたら手伝ってほしいけどねえ!』
『お札が足りなかったら書きますけど!バトルは禁止なのでー!』
『デスヨネー知ってた!』
『ところで今回のダンジョンはどういう編成で?』
『護法符術編成っすね。新エリアでは状態異常耐性!はこのゲームじゃ基本ですし』
『リーダーが闇護身符使えるのがお強いですよねー』
『治癒符もね!じゃあそろそろポータル移動してダンジョン乗り込むぜー!』
まずはご挨拶と、『わんにゃん王国』のクランリーダー、台覧大輝ノ山猫、ラストオーダーさんとの軽いやり取りからスタートだ。
この後は編集されて、ダンジョン内に移動したところ→撤収シーンにすっ飛ぶ。
今月追加されたばかりの新規ダンジョンなんで、ネタバレにはある程度配慮してるよ!
今回は24層撤収で、クリアはならずだったしね。
各サーバーの偏在キャラへのログインは、制限付きだ。
バトルへの参加は原則禁止、生産行動は可、みたいな感じ。
私の場合、ほぼ公式配信用の取材でしか偏在キャラへはログインしないので、それで全く問題ないけども。
但し、偏在キャラに関しては、メインキャラ・サブキャラなどとはログイン制限時間が別枠だ。
一般プレイヤーに関しても、医療組のテスト結果から再計算されたそうで、同一キャラには3時間まで、一日で最大5時間。週に合計30時間まで、という新規則が我々には適用されている。
偏在キャラの分は、それとは別に週最低1時間、最大8時間のログインが可能だ。
まあ取材とかするとすぐに溶けるので、配信は最大で月2回くらいが限度だ。
なんせ、全部の取材内容が配信に載せられるわけじゃないからね!
なお月2配信なのは私とぎゅん太さんだけだ。
そう、配信人気ナンバー2は、ぎゅん太さんなのだ。鉱山のカナリア大出世!
……ってサウルさんがよくネタにしてる。
まあ、実際ぎゅん太さんの動画って、失敗談とかやっちゃいけないこと講座としてすごく優秀だからなー。私も見てるよ!
なお公式配信勢が自分やほかの配信者の番組を見ても視聴者としてカウントはされないシステムです。
その結果、サウルさんのシステム解説とかバグ報告動画がめっちゃ割を食っている。
あれ仕様の確認には、めっちゃ優秀なんだけどなあ!
私の動画が人気があるのは、恐らく一番偏在キャラへのログインが多い、つまり他鯖の様子を見まくってるのも原因だと思う。
要するに私、渉外担当みたいなもんなんですよ。
これは、他のプレイヤーに干渉しないで撮影とか取材するのに適したスキルや技能があるからなんだけどね。
キリカちゃんも同等のスキルや技能を持ってるけど、彼女は外に出るのは恥ずかしいから、って理由で、配信勢じゃないんだよねえ!
奥ゆかしい!そういうとこ、好き!
で、内輪配信だと私の動画の視聴率はガクッと下がる。
前に格差が酷すぎる、と花枝さんにぼやいたら、
「そりゃ、あなた視点ではひまりちゃん、見えませんからね」
という正論で撃沈されました。そうか、視点問題か……!
確かに言われてみれば、私の配信だとひまりちゃんは見えない!文字通りの盲点!
さーて、動画のチェックもしたし、今日は遊ぶぞー!
配信内容そのまま書くのも考えたんだけど、いまいちピンとこなかったんで、こんなスタートです。
花枝さんの発言は、まんま花枝さん本人の感想です(ひまちゃんの配信も見てはいるけど)。




