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倒産中年社長、異世界で孤児達と逆転再生経営!番外編 異邦人の神を追う羊たちの旅  作者: 神永ちろる


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異邦人を追う羊たちの旅の終わり

第25話 異邦人を追う羊たちの旅の終わり



ヤマタニは各村や街で救済活動を行っていった。 病や怪我人を回復したり、麦粥を配ったりした。

しかし根本的には問題は解決しない。


数日間、ヤマタニ達は救済活動を行い、各村や街を回ったが、食材を街や村の代表者に手渡した。

ヤマタニは各村や街の代表者達に救済活動を任せ、この領地の危機的な状況をカメラで撮影して回ることにした。


山の木を切り倒し、畑にして洪水になった酷い光景。

作物が隙間なく植えられて、駄目になった畑。

鳥を駆除し過ぎて害虫に荒らされている光景。

供出した鍋釜や農具を、急ごしらえの香炉で溶かしたため、不純物が入って使えない鉄の塊。


飢えに苦しむ人々などなど、できるだけ多くの悲惨な状況をカメラで撮影した。

撮影したフィルムは装甲車の中で現像され、プリントされた。


躍進計画のせいで酷い目にあっている写真だらけだった。

この写真をグリーズ子爵に見せれば、説得できるのではないかとヤマタニは考えた。


そして多数の危機的状況や悲惨な状況の写真を持って、再度グリーズ領主のいる館へと乗り込んだ。


「グリーズ子爵、この写真を見て下さい。」


「あなたの領地が酷い状況に陥っている写真です。」


「それに飢餓状態の痩せた領民もご覧下さい。」


ヤマタニが持ってきた写真をグリーズ子爵は見た。


しかし表情は依然として変わらなかった。


「この写真が何か?」


「だから、あなたの領地の写真ですよ?」


「ふむ。」


「こんな状態はわしは知っているぞ。」


「え?」


「しかし、躍進政策は止められんのだ。」


「なぜ危機的状況なのが分かっているのに、躍進政策を止められないのですかな?」


「それは、躍進政策を止めたら駄目なんだ。」


「なぜ?」


ヤマタニはグリーズ子爵に繰り返し質問したが、返ってくる返事は「躍進政策を止められん。」とか、「止めたら駄目だ」だった。


何なんだ? この強迫観念にとらわれた言動は。

ヤマタニはふと、昔見たドキュメンタリー番組を思い出した。


外国のゴミ屋敷の主人は新聞紙を溜め込んでいる。 家の中は古新聞で埋め尽くされていた。


周辺住民は、もし火事になったら近隣の家も被害が出ると、ゴミ屋敷の主人を責める。


ゴミ屋敷の主人は、火事になるかもしれないが、新聞を捨てることは絶対にできないと主張する。


「新聞は知的な財産だ! だからためておく。」


テレビを見た精神科医師は強迫症の疑いがあると、テレビ局に連絡し、後でゴミ屋敷の主人を受診させたら、強迫症だと分かり、治療をした。


治療後にゴミ屋敷の主人はやっと新聞紙を捨てられ、問題は解決した。


ヤマタニはこの老人の目の下のクマに注目した。


「子爵はあまり眠れていないのですかな?」


「うむ。そうだ。政策が心配で気になって眠れない。」


なるほど。危機的状況は理解しているのに、強迫観念で政策をやめられない。


「あなたは精神疾患ですね。」


「は? なにを言いますか。ワシは正常だ。」


「スケさんカクさん。子爵を取り押さえろ。」


ヤマタニの命令で子爵はスケさんカクさんに押さえつけられた。


「はなせ!」


グリーズ子爵はジタバタともがいたが、力では二人にかなわなかった。


「ヤマタニ様、祖父に何をするのですか?」


「俺を信じて任せろ。」


そう言うと、ヤマタニは子爵の前に立ち、頭に手をかざした。


「キュアヒーリング。」


ヤマタニが老人を回復させると、子爵はぐったりとした。


ミリーナが心配して祖父に近寄ったら、気持ちよさそうに寝ていた。


「たぶん、強迫症から回復し、安心してやっと寝られたんだよ。」



◆



グリーズ子爵はそのままずっと眠ってしまい、翌朝にやっと目覚めた。

ヤマタニが館の食堂でお茶を飲んでいたら、グリーズ子爵がやって来た。


「おや、お目覚めになられましたか?」


「ああ、なんだか安心してよく眠れた。」


グリーズ子爵の目の下のクマはすっかり取れて、健康状態が良さそうだった。


「すまなかった、ヤマタニ殿、そしてミリーナ。」


「ワシは危機的状況は分かっていたが、どうしても躍進政策がやめられなかった。」


「許してくれ。」


老人は目をつむり、涙を流して謝った。


「仕方ないですよ、病気だったんだから。」


「そうですよ、仕方なかったんです。」


「それよりも、躍進政策を止めて、復興再生をしないといけませんよ。」


「ふむ、そうだったな。すぐ部下に手配させよう。」


老人は涙を拭い、躍進政策の解除指示をするため、部屋から出ていった。

こうしてミリーナが憂いていた躍進政策は解除され、問題は解決した。


しかし、荒れ果てた領地の復興再生は、これから何年もかけてやっていかなければならなかった。


ヤマタニはしばらくこの地に留まり、復興再生にその力を注いだ。


グリーズ子爵は責任を取り隠居し、代わりにミリーナが子爵になって領地を治めた。


異邦人の神を追う羊たちの旅はこれで終わりになったが、ヤマタニの救済活動の旅はまだまだ続いていくのであった………。



異邦人を追う羊たちの旅  完


ここまで読んでいただきありがとうございます!

もし少しでも続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価【★★★★★】で応援していただけると嬉しいです!

すごく励みになります!


とにかく一日2話作品を毎日作るのはキツかったです。

毎日睡眠時間を削って、仕事にも行かなければならないしで大変でした。

これも毎日投稿しなければいけないと、脅迫観念にかられていたせいかもしれません。

明日からはよく寝られそうだと思うと、幸せでもありますが、ヤマタニの旅の続きも書けないと思うと寂しくもあります。



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