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『在りし日の空 』~南方無人島の独立飛行隊 零式観測機で 斯く戦えり~  作者: ともぞう


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第47話 覚悟


 ─────旦那!!


「旦那!!」


 ……。


「旦那ぁ!!」


 ……うるせぇな。


 少し……寝かせろよ……。


「旦那!起きるべ!!」


 ────バシ!!


 ……痛ぇ。


「お前……何すんだよ……。」


「よ、良かったぁ……。」


 ……?


 よく見ると……。


 俺の左肩には、布が巻かれていた。


 それに……。


 いつの間にか、木陰に寝かされている。


「お前……これ……。」


「九州兄貴が教えてくれたべ。」


 ……九州…か…。


「血が止まんねぇから……怖かったべ……。」


 新米が俯いた。


「……すまんな。」


「謝らなくていいべ!」


 ……。


 思わず笑ってしまった。


「……頼もしくなったなぁ。」


「んだ!」


 新米が得意げに胸を張った。


 ……が。


「ところで……旦那。」


「なんだ?」


「……腹減ったべな!」


「お前なぁ!!」


 それよりも…


「俺はどれくらい寝てたんだ?」


「1日くらいだべな!」


 ふと見ると…草から煙が出ている。



「これ、教えて貰ったやつだべ!

 本当に蚊は来なかったべな!」



 この前の村で教わったやつか…。



「あと、旦那…これ返しておくだ。」



 そう言うと…拳銃を差し出してきた。



「やっぱり…何も無いと怖くて…借りただ。

 勝手に借りてしまって、ごめんなさい。」



「守ってくれてたんだな。ありがとう。

 そのまま持っててくれ。

 俺が撃つより、上手く当てられるだろ。」



 今の俺では…上手く当てられないどころか…

 動くことも出来ない…。


 このまま二人でいても…。



「なあ…新米。基地まで行って、救援を呼んで来て

 くれないか?俺は動けそうにもない。」



 新米だけなら、基地まで行けるだろう…。



 せめて…こいつだけでも…。




 俺は……無理だ。




「お断りだべ!旦那を置いて行けるわけねぇべな。」




「新米!!これは、命令だ!行け!!行ってくれ!」



「旦那!!」



 ……。


 こいつ……。


 俺に向かって怒鳴りやがった。



「旦那は……俺を置いて逃げるべか?」



「……何?」



「オラが怪我して動けなくなったら……

 旦那は俺を置いて帰るべか?」



「そんなこと……できるわけねぇだろ!」



「だったら……俺も同じだべ!」



 ……。


 参ったな……。


 こいつには……。


 勝てそうもねぇや。



「旦那、ちょっと待ててけろ。」



 そう言うと、森の中に入って行った。



 それにしても…



 こんな事になるとはなぁ…。



 体は動かないし…困ったなぁ。



 手を強く握ってみたが…全然力が入らない…。



「こりゃ…年貢の納め時かな…。

 どうせなら…空の上が良かったけど…。

 そしたらアイツも巻き込んじゃうからなぁ。」



 そんなことを考えているうちに…


 また…意識が無くなっていた…。





 ────パーン!




 銃声に目が覚めた!



 周りを見たが、新米はいない。



 新米が応戦しているのか!?



 手近にあるもので…戦えるものは…。



 短刀!これしか…ないか…。



 だが、上手く掴めない…四苦八苦していると、

 森の方から足音が近づいてきた。



「旦那?何してるべ?」



 見ると…新米が何かを持っている。



「捕れたは捕れたんだども…

 食えるか分かんべな!」



 鼻の長い動物を持っている。



「こっちは、多分食べれるべ!」



 大きな蛇を見せてきた!



「ま、まさか…蛇食べる…のか…!?」



「蛇は美味いべな!火をしっかり通さないと

 ダメだけんど。美味いべよ?蛇は。」



 いやいやいや…蛇を…食う!?…だと。



 まぁ、食べ物がないから…

 新米に任せるしか無いのだが…。



「旦那…何か刃物持ってないべか?」


「これを使え。俺の腰にあるやつ。」



「借りるべな!

 .........旦那ぁ…綺麗な刃してるべなぁ。」



「兵学校を出た時に貰った物だよ。

 御守りみたいなもんだ。」



 短刀を抜くと…蛇を切ろうとしている。



「……ちょっと待て。」



「なんだべ?」



「それ……俺の御守りなんだぞ?」



「でも……旦那が使えって言ったべ?」



「……。」



「腹減ったべな!」



「お前なぁぁ!!」



「ちょっと待っててけろ!美味いべよ!」




 そう言うと…手際よく蛇を捌いていく。




 こいつなら…生き残れそうだな…


 頑張れよ…新米…


 生きろよ…




 俺の意識は…また…遠のいていった────






 お読み下さりありがとうございます。


 次回公開日は


 10月17日(土)の予定です。


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