第37話 黎明
────急げ!給油や!
小舟が数隻、零観に横付けして
給油を開始する。
「どや?異常あるんか?」
チーフがお茶と芋を持って上がってきた。
「大丈夫です。好調ですよ!」
後ろでは同じように
九州が新米に餌付けをしている。
横を二式水戦が離水していく。
「今日は活気がありますね。」
「当たり前や!この補給成功させな。
ボンも大変やけど、頼むで!!」
零観が一機上がっていく。
「給油完了まで20分です!」
若い整備士が顔を真っ赤にしながら
手動で給油してくれている。
「なんとか成功させなきゃな!」
「だが、無理だけはすんなや!
絶対…帰ってこい…えぇな!」
肩をポンと叩いて親指を立てる。
────やるしかない
2時間ほど待機したか…。
新米は…寝てる…!?
まったく…余裕だな。
浜から声が…
────帽振れ!!
皆、笑顔だ。
朝日を浴びながら…
駆逐艦が湾を離れていく。
「夜が明けちまったか…。」
見上げると
零観が降りてくる。
「ここからが正念場だな。
駆逐艦も基地も護る!」
横では、チーフと九州が
始動クランクを回し始めた。
「新米!行くぞ!!」
「了解だべ!!」
…起きてたのか。
寝てるとばっかり…。
「“Contact!”(コンタクト)」
チーフのいつもの掛け声。
エンジン音が浜に轟く!
チーフと九州が海に飛び込んだ。
「いってきます!!」
海面から頭だけを出して敬礼する
2人に敬礼を返す。
スロットルを全開にする。
フロートが波の背を滑り、
機体が跳ね上がる。
次の瞬間、海面が遠ざかった。
主フロートが水を離れ、
左右の補助フロートからも
水滴が一斉に剥がれ落ちる。
翼の下からこぼれた海水が、
陽光を受けて銀色に輝いていた。
「そろそろ定期便が来る時間だ。
引き付けるぞ!」
駆逐艦の上空には二式水戦が張り付いている。
護衛は任せよう。
「旦那!他にも上がってくるべ!」
後ろを見るともう一機、零観が上がってきた。
他の機体にも整備兵が取りつき
いつでも上がれるように準備している。
「本気だな…。」
浜辺には陸揚げした物資が並んでいる。
これを攻撃させる訳にはいかない。
「待ち伏せするぞ。酸素マスク付けろ!」
スロットルを全開にする。
発動機が唸り
零観は…
高度を上げていった────
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次回公開日は
9月12日(土)の予定です。




