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社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉


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67話 初めての衝動と後悔と

※今回は結城のリアルを覗くお話です。若干の性的ニュアンスを含む描写があります。


すみません、苦手な方は前半パート部分読み飛ばしてください。




早朝

静まり返る無機質な空間

その一番奥

そこにベッドルームがある。

結城の……プライベートな空間。



「んぁっ……ちょ……はぁんっ」


あの時の澪桜の声


艶めいた


切ない声


「はぁ……はぁ……」


結城の熱い吐息が……漏れる


澪桜の紅潮した頬

惚けた表情

薔薇色の唇


白く美しい項

細い首筋

折れそうなほど細い腰

長い手脚

華奢い肩……

そして

あの甘い白檀の香り



もっと……聞きたい

喘がせたい

俺のこの手で

乱れた彼女を優しく抱き

腰を吸い寄せ

溶け合って……


俺だけのものに──────


地の底から込み上げる欲求と衝動。

澪桜の顔が……頭をよぎる



その瞬間一気に決壊した。


荒れる呼吸をゆっくりと肩で息をしながら整える



ゆらりとベッドから立ち上がり……静かに手に持つ衝動と後悔を……ゴミ箱に捨てた


どうしようも無い罪悪感と喪失感に襲われる


「……俺はっ……どこまで最低なんだ。」


悔しくて……悲しくて

澪桜に申し訳なくて

泣きそうになる


こんなに愛してるのにどうして……


今までこんなこと無かったのに。

彼女を……”本物”の安達さんを対象にした事なんて無かったのに。

映像と妄想だけで良かった。


でも今はもう……彼女じゃないと欲情出来なくなってしまっていた。


あの声

あの時のあの顔

匂い……仕草、その全てを欲している。

このままじゃ危ない、親友でいられない。


だから彼女に会う前に……静かに処理をした。

安達さんに向けてこの下卑た考えを起こさない為に。

信頼を壊さない為に


明日から……仕事も30分早く上がらないと行けなくなる。

迎えに行く前に……”処理”をしないといけなくなったから。

もう休憩は無しにしよう。合間に弁当を食べればいい。

そして睡眠時間も削ろう。

仕事を持ち帰れば問題ない。

早く帰れるように調整しないと。


全ては安達さんの為に……時間を使うんだ。

常に平静でいる為に

醜い獣の俺から……守るために。



結城は何事も無かったかのように冷静になる

先程までの荒れ狂う情欲が嘘のように凪になる。


「……安達さんを迎えに行く時間だ」


そう独り言を呟き……手際よく支度した。


親友でいるんだ。

その為なら何でもする

時間も仕事も、完璧に調整してみせる。


彼女のそばにいられるなら……何も辛くない

大丈夫、俺はまだやれる。


そう自分に言い聞かせて

家を出た。



────────────


日曜の午前11時

澪桜は少しソワソワしながら

結城が来るのを待っていた


いつもなら結城の方が先に来て待っているはずなのに……

今日はまだ来ない。

昨日のアレのせいで……軽蔑されたのではないだろうかと

不安になる。

あんな下品な声……出すつもりも無かった。


結城にだけは絶対に知られたくなかった

……女の部分。



「……最低だ私は……」


下を向き呟いた


「……すみません。お待たせしてしまって」


少し鼻にかかる

穏やかな低い声が聞こえた

顔をあげると

結城が車から出て立っている


ホッとしたが……少し違和感を感じた

どこか……距離が遠くなったような……?


「待ってないよ。いつもありがとう」


そう言って車に近づく

いつもならエスコートしてくれる結城

だが今日は……そのまま運転席に乗り込んだ


当たり前の事なのに。

自分で助手席のドアをあけるくらい。

なんて事ないはず。


それなのに何故か……胸が痛くなった


ゆっくり乗り込む澪桜


「……」


「……」


沈黙が辛い

いつもなら気にした事もなかったはずなのに。


「……じゃあ……行きましょうか。いつものスーパーでよろしいですか?」


優しい声

変わらない。

けど……


澪桜は精一杯空気を読む


「うん。お願いできるかい?」


なるべく普段通りに返す


「はい、もちろん。

じゃあ出発しますよ。その後はランチに行きましょう。今日は少しオススメのお店があるので、そちらにお連れしますね。」


優しい笑顔。いつもの……結城の笑顔。

だけど違う。


……完璧な敬語……


出会った頃の落ち着いた紳士な態度。


澪桜は泣きそうになる

結城さんの心が………離れてしまった。


私のせいで……距離を置かれてしまった。

私のはしたない行動のせいで

彼を……失望させた

軽蔑させた。



俯く澪桜

泣かないように必死でこらえる

彼は優しい。

こんな愚かな私にも変わらず接しようとしてくれている。

関係を終わらせないでいてくれようとしている。


っ……泣いたらダメだ。

泣けば終わる。


女を使うな。

絶対に


これ以上彼に幻滅される訳にはいかない──────


窓の外を見て瞳を無理やり乾かした

深呼吸し……唇を噛む


(……どうしたんだ?……安達さん)


結城は不安になる


なんか、雰囲気がいつもと違う。

でもそれは俺も同じか……

正直彼女をどう扱っていいか、今分からなくなってるからな……


好きすぎて

愛しすぎて……触れたくて堪らないから。

昨日の出来事で余計に火がついてしまったから。


絶対に何事も起こさないように朝"処理"した。

それなのに……顔を見た途端……また衝動が襲う。

いつものようにエスコートなんてしたら……きっと腰に触れていただろう。


だから距離を取った


それがいけなかった?

わざとらしかった?

聞きたい。

けど聞けばきっと終わる……

安達さんに気持ち悪がられてしまう。きっと軽蔑される。

友達の君を性の対象として見てるなんて知られる訳にいかない。


だから怖くて何も聞けない。


すれ違い傷付け合い……知らず知らずのうちに広がる溝。


二人の間に流れる空気は重苦しい。

そのまま車は静かに買い出しに向かった



ここから2人の関係が少しずつ変化していきます。


徐々に重い話になっていきますが……まずは2人の恋の成就まで付いてきて頂けたら幸いです。(常にではないのでご安心ください)

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