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社会不適合者の恋愛論  作者: 澄泉


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35/41

35話 会話誘導と懺悔



少しの雑談の後

澪桜は時計を見る。


時刻は18:20分

その様子を察知し結城

慌てて立ち上がる

「っ……すみません長居してしまって……ご迷惑でしたよね!?あのそろそろお暇しま───」


つい一緒にいたくてワザと話を引き伸ばし居座ってしまったと反省した


だかそれを遮るように澪桜は今日絶対確認したかったある事を聞く。


そう、結城とLINU友達になってから

ずーーーーーーーーっと気になっていたこと。


「いや全く迷惑じゃない。……とりあえず座りなさい。」


(え……?なんか怒ってる?)

ピシッと萎縮する結城。

何が何だか分からない。


澪桜がスマホを取り出し、写真フォルダを開いた。

そこには"結城さん"というアルバムが。

俺のアルバムを作ってくれていた事がなんだか嬉しい。


しかし澪桜の声色は違った

そんな甘い感じではない、呆れたように画面を見せる


「……君は本当に毎日こんな食生活をしていたのかい?」


そこには……いつも澪桜に送っていた自分の昼と夜の食事。


決して頼まれていた訳ではない。

ただ何となく共有したくて

今俺が何食べてますよーって

澪桜に知って欲しくて毎回送っていたのだ。

会話のひとつにでもなればと思ってやっていた事が

気付いたら日課になっていた。


きっと誰に話しても意味がわからんだろう。

私もさっぱり意味がわからん。

傍から見ればパーソナルトレーナーとユーザーのやり取りでしかない。


だから今日こそ聞こうと思っていた。


「え?……はい。いつもそんな感じですけど……?」

キョトンとして横に首を傾げる

あざと男子(28)


はあああああああ。と力いっぱい溜息をつき澪桜は言う


「炭水化物!!!!糖質!!!脂質!!!!タンパク質!!!ばっかり!!野菜は食わんのか!?」


ダンダンと指で画面を触る。

そこには

カツ丼、牛丼、餃子、ピザ、パン、チャーハン、家系ラーメン、カツカレー、唐揚げ、ハンバーグ。

成長期真っ只中の男子中学生の食事ラインナップ。


「んー?……食べますよ。たまに、ほらー、カツ丼とか玉ねぎ入ってるし。」


人差し指を口に当て考えながらほわほわ揺れる。

あざとすぎる……男の癖に……

自分には無いスキルに若干腹が立つ澪桜


だが本人は意識もしてない。

なんだか楽しそうにすら見える。


「それは野菜食べたことにはならん!!!」

正論をぶちかます澪桜。


「えぇー??サラダとか……たまぁに昼休憩にカフェ行った時食べたりするし。結構野菜食べてますよ」


「いやいやいやいや!!!様子がおかしいから!!!身体壊すよ!?マジで!!!!食べてる量も様子がおかしい!!大盛りばっか食べてるだろ!?このままじゃGO TO HELLだよ!!」


ワサワサしながら必死に説得する


「んー?健康診断引っかかった事ないしなぁ。普通盛りじゃ足りないんだもん。俺、燃費悪いから」


イマイチ伝わらない

何なんだこの男は。


「……一人暮らしの男の人ってみんなこんな食生活なの?マジで危険が危ないんだけど。」


(ん?危険が危ない?なにそれ。)

結城は思わず吹きそうになる。


今日一の凄い語彙。

だが彼女は真剣だ。

最大級の澪桜の警告。


「他の人は分かりませんが……山本は俺より多分荒れてます。」

引き合いに出せるのは山本だけ


「……そういえばうちの佐野くんって子も毎日カップ麺食べてるわ。」


澪桜の引き合いに出せるのは後輩の佐野だけ。

(佐野……?)

ピクっと反応する結城。


「それ前に言ってた後輩くんですか?」

声のトーンが低く冷たくなる。


「?……そうだけど。」


「仲いいんですか?」

我慢できなくて……聞く


「……んー。いや、私彼には嫌われているからね!あははははは!」


「はあ!?」

思わず地の声が出る


(なんだそいつ!?俺の安達さんを嫌うだって!?

1発喰らわしてやる!!佐野……覚えたぞ。)


目線が鋭くなる結城。

地を這うような声に驚いた澪桜は口を開く


「……ビックリした!怒ってくれたのかい?あはは!気にしなくていいよ。人に嫌われるのは慣れてる。仕事さえ覚えてれたらそれでいいんだよ。」


「慣れたらダメですよ。そんなの。」

許せない。その男が。


なんでこんなに安達さんの事になると腹が立つのか自分でも分からない。


澪桜は眉をさげて言う

「人に嫌われる事は仕方の無い事。合う合わないは誰にでもある事だよ。

私の為に怒ってくれてありがとう。

……結城さんは優しいね。私は本当にいい友達を持ったなぁ。君だけだよ……そんな風に言ってくれるのは」


寂しそうな澪桜の様子に

結城は胸が苦しくなる。

そして自分は彼女の特別なんだと理解し同時に愉悦を感じる。


「っ……優しくなんて……と……友達として……当たり前のことですよ。」


"友達"として……安達さんが

心を許してくれようとしている。それが伝わる。

絶対に守らなければならない。この立場を。


失う訳にはいかない。


「それより!!!さっきの話!!!君の食生活、改善しないと!!!」


「改善〜?体調悪くなってないのに??大丈夫ですよ。悪くなったら考えますから♪」


イマイチ危機感の足りない結城はヒラリヒラリと返す

食事なんて腹さえ満たされればそれでいい。


「なってからじゃ遅いんだよ……はぁ。」


更に呆れた


「まぁ……そのうち改善していきますよ。……多分。」


「……改善していく気ないな……君。……とりあえず今日はうちでご飯食べて帰りなさい。野菜しこたま入れるから。」


はたっ……と止まる結城


「……えっ!?マジで!?!?」


嬉しすぎて思わず素が出る。


「だって毎回あんな様子のおかしいラインナップの写真挙げられたら……気が気じゃないよ。ったく。たった1回じゃ改善なんて出来ないけどね。」


仕方ないなとため息をついて笑った


「…………じゃあ…………どうしたらいいと思います?俺、自分に甘いから1人じゃ改善なんて多分無理」


わざと甘えるように相談する。

今日1回で終わって欲しくなくて。

優しい安達さんなら……

淡い期待をした


「……どうしたらって……。そうだなぁ……自分で自炊する?私がメニュー考えるから動画とか見て……」


「無理!包丁すら持てません!調理道具も無い!皿もない!!」


食い下がる結城

どうしても……言わせたい。

お願い……安達さん……言って。

卑怯だと思いつつ、澪桜の優しさに縋る


「ううーん。そうだねぇ……じゃあ明日から夕飯……食べに来る?節約してるから大したもの作れないけど。」


「本当に!?いいの!?」


わざとそう言わせるように仕向けたのに

驚いて見せる。

それに気付かない澪桜は呆れたように笑い頷いた


「……まぁ……うん。改善させたいしね。このままじゃ生活習慣病まっしぐらだよ。」


(ごめん。───安達さん)


「……じゃあ、とりあえず明日仕事終わりに買い出し行きませんか?

で、土曜日は俺と買い出し。これからの食費は俺が払います。だって作って貰うんだから。しかもランチとお出かけ付き☆どうですか?」


いい口実が出来たとばかりに畳み掛ける

澪桜の真似をしてウインクして見せた。

物凄い破壊力。


綺麗なウインクを見せつけられてたじろぐ澪桜。

「っ!!!……いや、それはして貰い過ぎなんじゃ……。」


「いや、足りないくらいです。本当は毎食3000円はお支払いしたい。」


「なんでだ!?食費出してもらってお金まで貰ったら罪悪感で身動きできなくなるよ!!」


「……ていうでしょ?だから買い出しとランチとお出かけだけで譲歩したの!正直毎回作ってもらうならこんな対価じゃ足りないと思うけどね。」


そう言ってイタズラに笑う

逃げ道を潰すように

(俺は最低だ。)


「でも……まぁ、助かるよ。明日仕事終わりに買い出しした方が多少は君の要望にも答えられる。

……週末の買い出しとお出かけも楽しそうだ。

また一緒にセアカゴケグモを見つけるかい!?世の中に貢献しよう!!」


(……君の優しさに付け込んで、思い通りにしようとしてる。)


定期的に二人で出かけられる口実ができて死ぬほど嬉しい。

これで毎日……会える。


「それは絶対要りません!!」


「がーーーーん!!」

せっかくの提案だったのにと項垂れた。


色々知ってるのに……セアカが居そうなとこ。


「それと!明日から俺迎えに来ます!帰りも送ります。」


(……卑怯な俺を許してほしい。)


「え!?何で!?」

ギョッとする澪桜

意味がわからない。


「いや、普通に危ないですよ。ここら辺、閑静な住宅街だから。夜毎日歩いて帰ってたなんて信じられない。

安達さん、もう少し危機管理能力上げた方がいい。」

普通に怒られた。


「ええええ???それは過保護じゃないかい?なんか益々お母さ───」


「とにかく!!!決定事項です!いいですね!?」


何か言いかける澪桜を制止し強制的に決める。

本気で嫌なら安達さんだったら畳み掛けるように即理論で否定する。……それが無いという事は……嫌がられてない。


「……はいはい、分かったよ。」


観念したように澪桜は頬杖をついた。

結城は目を細める

安堵したように


(本当にごめん。君が……どうしようもなく好きなんだ。)


なんて自分勝手なんだろうと思いながらも

止められない。

だってこんな俺の体を心配してくれた。

俺のわがままに付き合ってくれる

君の優しさ。


安達さん

お願い。誰も好きにならないで。

いつまでも君のままでいて。


ずっとずっと友達でいよう。

俺だけを君の傍に置いていてほしい。

そう願った

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