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間違えられた番様は、消えました。  作者: 夕立悠理
五章 私が取り戻せたもの、取り戻せなかったもの

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27話

「……ノクト様」

 ノクト様の全てに等しい魔力の鍵は、今も私の首元にある。

「ロイゼ、間違えちゃだめだ。君はちっとも悪くない。だから……ほら、帰ろう」

 明日からは忙しくなる。満月の夜がくるよりもずっと早い三日間をハロルド陛下は、期間に定めた。

 エルマの尋問を行うノクト様も早く休むべきだろう。

「……はい」

 差し出された手に触れると、一瞬で城の中に戻った。

「ロイゼ、今からきっかり8時間休みなよ」

 さっき別れたばかりだけど、大丈夫かな……。

「はい、陛下にご相談してみます」

 不安を覚えたけれど、ノクト様の有無を言わさぬ目に首を縦に振る。

「うん。――じゃあ、おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

 手を振ったノクト様に小さく手を振り返して、ハロルド陛下の執務室へ向かう。

 近くの衛兵に取次ぎを頼むと、あっさり入室の許可がでた。


 陛下の傍には、眼鏡をかけた茶髪の男性が立っている。

 ……取り込み中だったかな。

「……陛下、お忙しいところ申し訳ございません」

「いや、構わない。……イグナーツ、この件はまた後日に」

 イグナーツと呼ばれたその男性は、小さく頷くと退出の礼をして去っていった。

「陛下、もしよろしければ、今から休憩をいただいてもよろしいでしょうか?」

「もちろん」

「ありがとうございます。それなら……」

 魔力を立ち上げると、徐々に魔力が輪郭を持つ。その輪郭を鮮明に魔力で描くと、眩い光と共に元気な鳴き声が聞こえた。

「――このフクロウは……」

「私の魔法生物です」

「ああ、代々の団長の継承する魔法か……」

 ハロルド陛下の言葉に小さく頷く。

「城外はこの子が見張ります。視覚情報をこの子自身で取捨選択して共有させます」

「君以外にも共有できるのか?」

「はい。私が命じれば」

 頭を撫でると、うっとりとフクロウは目を閉じた。

 そして、小さく体を震わせ、目を開くと、ハロルド陛下を見つめて首を傾げる。


「うん、そうだよ。お願いね」

 もう一度、頭を撫でてから、窓からフクロウを解き放った。

「……陛下にも見えますか?」

「ああ。……すごいな」

 陛下にも無事に視覚共有ができていることを確認して、ほっと息を吐く。

「酔いはございませんか? 情報の共有速度の調整もできますが――」

「問題ない。あとは私に任せて、君は早く休め。8時間未満で交代に来ても無駄だからな」

「はい。ありがとうございます」

 頷く。ノクト殿にもハロルド陛下にも、心配をかけている。

 これ以上、二人に余計な迷惑をかける前に早く寝よう。

 陛下に退出の礼をして、執務室をでようとしたところで、はたと気づく。

「……あ」

 ここ数日、私は寝ていない。

 入浴は、王城内にある魔術師用の浴室を使ったけれど……自室に帰っていないのだ。

 アリーとカイゼルにろくに説明もしないまま、部屋をでていったきりだ。ノクト様が事情を伝えてくれたらしいけど、直接、二人に改めて感謝を伝える必要がある。

 しかし、あの二人はそもそもハロルド陛下の「運命の番」の守護のためにいてくれていた。今の私は、陛下の番の役割を果たせるかわからない。

 だから、寮の自室に戻って、城内のあの部屋には戻らないほうが……。

 でも、間違いなく感謝は伝えるべきだ。いや、でも、あの部屋にそもそも二人はいるのかな……?


「ロイゼ、どうした?」

 急に出口付近で固まった私に、ハロルド陛下が怪訝そうに声をかける。


「あの、ハロルド陛下――」

 ――そのときだった。脳裏に映像がよぎる。

「陛下!


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