27話
「……ノクト様」
ノクト様の全てに等しい魔力の鍵は、今も私の首元にある。
「ロイゼ、間違えちゃだめだ。君はちっとも悪くない。だから……ほら、帰ろう」
明日からは忙しくなる。満月の夜がくるよりもずっと早い三日間をハロルド陛下は、期間に定めた。
エルマの尋問を行うノクト様も早く休むべきだろう。
「……はい」
差し出された手に触れると、一瞬で城の中に戻った。
「ロイゼ、今からきっかり8時間休みなよ」
さっき別れたばかりだけど、大丈夫かな……。
「はい、陛下にご相談してみます」
不安を覚えたけれど、ノクト様の有無を言わさぬ目に首を縦に振る。
「うん。――じゃあ、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
手を振ったノクト様に小さく手を振り返して、ハロルド陛下の執務室へ向かう。
近くの衛兵に取次ぎを頼むと、あっさり入室の許可がでた。
陛下の傍には、眼鏡をかけた茶髪の男性が立っている。
……取り込み中だったかな。
「……陛下、お忙しいところ申し訳ございません」
「いや、構わない。……イグナーツ、この件はまた後日に」
イグナーツと呼ばれたその男性は、小さく頷くと退出の礼をして去っていった。
「陛下、もしよろしければ、今から休憩をいただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろん」
「ありがとうございます。それなら……」
魔力を立ち上げると、徐々に魔力が輪郭を持つ。その輪郭を鮮明に魔力で描くと、眩い光と共に元気な鳴き声が聞こえた。
「――このフクロウは……」
「私の魔法生物です」
「ああ、代々の団長の継承する魔法か……」
ハロルド陛下の言葉に小さく頷く。
「城外はこの子が見張ります。視覚情報をこの子自身で取捨選択して共有させます」
「君以外にも共有できるのか?」
「はい。私が命じれば」
頭を撫でると、うっとりとフクロウは目を閉じた。
そして、小さく体を震わせ、目を開くと、ハロルド陛下を見つめて首を傾げる。
「うん、そうだよ。お願いね」
もう一度、頭を撫でてから、窓からフクロウを解き放った。
「……陛下にも見えますか?」
「ああ。……すごいな」
陛下にも無事に視覚共有ができていることを確認して、ほっと息を吐く。
「酔いはございませんか? 情報の共有速度の調整もできますが――」
「問題ない。あとは私に任せて、君は早く休め。8時間未満で交代に来ても無駄だからな」
「はい。ありがとうございます」
頷く。ノクト殿にもハロルド陛下にも、心配をかけている。
これ以上、二人に余計な迷惑をかける前に早く寝よう。
陛下に退出の礼をして、執務室をでようとしたところで、はたと気づく。
「……あ」
ここ数日、私は寝ていない。
入浴は、王城内にある魔術師用の浴室を使ったけれど……自室に帰っていないのだ。
アリーとカイゼルにろくに説明もしないまま、部屋をでていったきりだ。ノクト様が事情を伝えてくれたらしいけど、直接、二人に改めて感謝を伝える必要がある。
しかし、あの二人はそもそもハロルド陛下の「運命の番」の守護のためにいてくれていた。今の私は、陛下の番の役割を果たせるかわからない。
だから、寮の自室に戻って、城内のあの部屋には戻らないほうが……。
でも、間違いなく感謝は伝えるべきだ。いや、でも、あの部屋にそもそも二人はいるのかな……?
「ロイゼ、どうした?」
急に出口付近で固まった私に、ハロルド陛下が怪訝そうに声をかける。
「あの、ハロルド陛下――」
――そのときだった。脳裏に映像がよぎる。
「陛下!
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