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師匠

「あ、白じいじゃん!朝早いね!」


先程の白眉にも負けない声量で

家の中から寝癖を着けたままの

一心が飛び出してくる


「あぁ、おはよう。洗濯を手伝いに来たのか?」


「そんなわけないでしょ白さん

一心が家事やってるの見た事ありますか?」


確かにないなと大きな声で笑ったあと

いや、それはだめじゃないか?

と言おうとしたところで、2人に向き直り

ハッとした様な顔をして2人をまじまじと見る


「お前たち少し背が伸びたか?」


お互い常に一緒にいるので

変化には気が付きにくいが

言われてみればそんな気がしてきて

2人は顔を見合せ首を傾げる


「そうかな?」


「まぁ、確かに僕ら14歳の成長期だしね」


お互い見合わせた顔をニヤリと笑いに変えて

2人はが身長の高さで勝負を始める中

未だ白眉だけは神妙な顔つきで2人を見つめていた


「お前たち、いくつになったら

この村から旅に出る予定なんじゃ?」


「え、何その予定知らないんだけど

私が寝てる間に2人で何話してたのよ」


争うのをピタリとやめて一心が伏竜のことを

軽く睨みつけたあと伏竜に答えるよう促す


「してないよ、いくら一心が家事手伝わない

ぐうたらモンスターだからって

そんな大事な話は一心抜きでしないさ」


フォローしたかったのかディスりたかったのか

真相はわかないままだが、とにかく

嘘をついているようにを見えなかったので

一心は伏竜の脇腹を1発重めに小突いたあと

白眉にさっきの質問の意図を尋ねる


「そのままの意味じゃよ

こんな、何も無い上に人もいない村に

いつまでも留まっとく訳にはいかんじゃろ」


「いや、この村の周りほぼほぼ森だし。

その森の中に、うじゃうじゃ魔物がいるから

村の外に出るなよって言ったの白さんじゃん。」


「待って、その話も私知らないんだけど」


一々、会話に口を突っ込み遮ってくる

一心に嫌気がさした伏竜が今度は一心に

重めの小突きをお返しする。


そんな幼い頃から変わらない2人を見て

白眉は心底楽しそうに大きな声で笑った。


「2人して似通っていてまるで兄妹じゃな!」


「なら僕が兄だね」「なら私が姉ね」


一通り笑ったあとまた真剣な顔付きに戻る


「今からする質問には少し真剣に答えてくれ

もし、お前たちにこの村を出て旅をする

力があるとするならば、なんのために旅に出て

どこでどうやって生きていくつもりじゃ。」


2人は揃って息を飲むなぜなら、正直に言うなら

この村で2人で生きていくのも悪くないとも

思う上に、現実味がなくて想像しがたいし

何より2人は村の外のことを何も知らない

しかし、この重苦しい空気の中で伏竜が口を開いた


「正直に言うと何も分からない…でも、

この世界には、見渡せないほどの水でできた海や

沢山の人が住む国があったりするって本で見たんだ

だからこの村では見られないような、美しい場所…

そう、世界で1番綺麗な景色がみたい!」


一心は自分の夢を語る伏竜を見て驚いた。

なぜなら、喋る前とは比べ物にならないくらい

伏竜の背中が大きく見えたし自分とは

遠く離れた存在に感じてしまったからだ


「できるならだけどね…」


威勢よく言い張ったものの

現実味ないよねと伏竜の力ない笑いを

かき消す声量で白眉が笑う


「気にするな、わしが旅に出たのは17の頃じゃ

あと3年じゃ。その間にわしがお前たちを

1人前にしてやる!」


「え、白さんあの話本当だったの?」


旅に出る。それは2人が密かに思い続けた

夢のような話だが白眉が本当に旅を

していたという事実に耳が行ってしまった


「え、竜ちゃん信じてなかった?」


「誰が信じるんだよそんな話」


「なにぃ?伏竜信じてなかったのか」


伏竜は、え僕がおかしいの?と呟いて口を紡いだ

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