第二十八話:魔王、中学二年生修学旅行集団転移者たちと会話する
ある日、『異世界街道』に大型の自動車があった。
トラックではない。
これはバスというものだな。
まさかバス転生者かと思ったら、背広姿の男性が降りて来た。
「ここは異世界ですか」
その男性は、何となく疲れている様子だ。
「そうですが、あなたは」
「中学校の教師です。バスで修学旅行の引率していたら、転移しました」
「元の世界に戻りたくはないんですか? 私には戻す力がありますよ」
「それが、生徒がうるさくて」
神の計らいで、バスのガソリンなどは永久に満タンとのことだ。
別世界では『中二病』という難病が流行っているらしい。
中学二年生の修学旅行。
いわゆる中二病真っ盛りの年頃だな。
イフリートに言わせると、この『修学旅行』というのが、また生徒を狂わせるらしい。
私はバスに乗って、説得しようとマイクを取る。
「皆さん、元の世界に戻りたくないんですか。私には戻す能力がありますよ」と呼びかけるが、
「うぜーよ」
「あんな、つまらない世界に戻りたくないよ」
「だいたい、この世の全てが下らない」
「ネーチャン、バスガイドか、異世界を案内しろ」
「脱げ!」
「偉そうにすんな」
ふざけた連中だと思ったが中二病なんで、病人なんだからと何とか我慢する。
「皆さん、中二病を治したほうがいいですよ!」と呼びかける。
「ウルセー! 高二病!」
「おい、胸でかいな」
「おっぱい見せろ」
「皆さん、ここは危険な世界ですよ。元に戻った方がいいですよ!」と再度呼びかけるが、
「帰れ! 帰れ!」の大合唱。
先生もあきらめているようだ。
もう、知らないぞ、私は。
帰れコールの中、運転手に、
「崖から落ちないようにして下さいよ。後、モンスターのオーガには注意して下さい」と言って仕方なくバスから降りる。
すると、例のオーガがあらわれた。
バスに棍棒で襲いかかる。
やれやれ、助けてやるかと思ったら、バスを追突させて崖からオーガを落とす。
オーガは、悲鳴をあげて崖から落下していった。
なかなかやるじゃん。
案外、大丈夫かなと思って立ち去ろうとしたら、突然、超巨大なサイクロプスが現れた。
バスが巨大な足に踏みつぶされる。
「ギャー! 死にたくないよー!」とバスの中から絶叫が聞こえてきた。
全員死亡。
サイクロプスは、つまらなそうに去っていった。
何で転移したの?
何だか、見ているだけで、ますます疲れてきた。




