第十話:魔王、秘密警察を創設する
この前、ハーレムから助けた女性たちは、ろくでなし転移者によって家族を全員殺されているので、行き場がない。
仕方無く、皆、城に収容した。
空き室の多い、超巨大な城ではあるが、こんな事繰り返していたら、いずれは満室になって破綻するぞ。
とにかく、ろくでなし野郎が多すぎて、私一人では、収拾がつかなくなってきた。
新しい手段を考えなくてはいけない。
部下に命じて、異世界転移者及び異世界転生者専属警察を創設することにした。
転移者=T
転生者=T
警察=P
TTPとでも呼ぶかな。
とりあえず、部下百人で編成。
一般警察と区別するため、実体は秘密にすることにした。
これからはTTPを使って、片っ端から、その場で粛清だ!
私が張り切っていると、イフリートから注意された。
「魔王様、少しやり過ぎではないでしょうか」
「なんで?」
「何も悪い事をしない人もいるでしょう」
「そんなことは分かっている、そういう人は別!」
「巻き込まれる人もいるのではないでしょうか。また、一応、裁判にかけるほうがいいと思います。このTTPという組織は、警察と検事、裁判官、死刑執行官を兼ねてます。危険ですよ」
「今までも、私がその場で瞬殺してたけど」
「魔王様は、一人で行動していたじゃないですか。組織、つまり集団化すると思わぬ方向に暴走する可能性があります」
「うーん、それはまずいな」
イフリートの言うことも、一理あるか。
「じゃあ、イフリート、あなたをTTP長官に任命します。暴走しないよう、よろしくね」
「えー!」
イフリートが、面倒くさそうな顔してる。
口はわざわいの元とはこのことか。
「了解いたしました。ただTTPという名称はまずいです」
「何で?」
「環太平洋パートナーシップ協定と似ています」
環太平洋パートナーシップ協定って何ぞやと思ったが、面倒なので聞くのはやめた。
「じゃあ、IOCはどうだ」
異世界=I
追い出せ=O
評議会=C
「それじゃあ、オリンピックですよ」とまたイフリートが渋い顔をする。
オリンピックって何ぞやと思ったが、やはり面倒なので聞くのはやめた。
「じゃあ、KKKというのはどうだ」
くたばれ=K
くずども=K
殺してやる=K
「かっこいいでしょ」
「いや、もっとまずいです。白人至上主義団体です」
白人至上主義って何ぞやと思ったが、もう面倒くさくなった。
もう秘密警察でいいや。
秘密なんだから。