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ダンピールD×D

 いただきます、そう宣言するとフェリシーは俺の首筋へと顔を寄せた。

 ベッドに押し倒された俺は、少女の人間離れした力に為すすべもなく押さえつけられている。

 熱い少女の息吹が顔にかかり、意識がぼうっとする。


「ちょっと待ちなさいフェリシー!」


 俺の横に座っていたローラが、今にも食いつきそうなフェリシーに向かって叫ぶ。

 俺を抑え込んでいた赤毛の少女は不服そうな顔をして俺から離れた。


「なにさローラ、今からがいい所だったのに」

「なにさじゃないわよ! あなたお兄さんの気持ちを分かってないわ!」


 目の前の黒髪の吸血鬼が天使に見えた。

 きっとローラは、無理やり血を吸おうとするこのダンピールを止めてくれるに違いない。


「少年の気持ちかい?」

「ええ、お兄さんはこれから毎日吸血されるのよ。なのに毎回無理やり吸ってたら痛くてたまらないわ」

「ああ、そっか! 久しぶりの直吸いで忘れてたよ、ありがとうローラ」

「……え? どういうこと?」


 どうやらローラは暴走する少女を抑えてくれた訳ではなかったみたいだ。

 例えるなら不良に襲われている人を見て、不良側に素手だとその人が痛いからグローブを付けなさいと忠告したようなものだ。

 とんちんかんな指摘をした少女に対して不可解な視線を送る。


「あ、お兄さんは吸血のマナーを知らないんだったわね」

「吸血のマナー?」

「吸血鬼は相手が血を吸われる際に痛くならないように、アドレナリンを一時的に増加させる効果のある唾液だえき分泌ぶんぴつさせるの。本来ならその状態で血を吸えば痛みは軽減されるのだけど、それでも最初に牙を刺すときには激痛が走るわ。そこで、あらかじめその唾液を牙を刺す前に相手に注入してあげるの」

「要するにこういう事さ」


 フェリシーはローラの言葉をさえぎると、俺の口にキスをする。

 あまりに突然の出来事に思考がフリーズした。

 目の前には目を閉じて顔を赤らめながら俺に口づけをする少女の顔。

 抵抗しようとしてもガッチリとダンピールの怪力で抑えられた頭はちっとも動かない。

 

 程なくして俺の歯の表面を何か柔らかく温かい湿った物体が襲う。

 それが少女の舌だと気づいた時には、それはもう俺の口内へと侵入していた。

 甘くいい匂いが舌を通して伝わり、少女の唾液が俺の口の中を満たす。


「ぷはぁ、注入完了!」


 ……どれくらい時間が経っていたのであろうか、フェリシーは俺の口から顔を離すとこちらを見下ろす。

 少女の顔は全力で走ってきたかのように赤く、額には汗がしたたっており呼吸も荒い。

 周囲を見回すと、俺たちの行為を興味津々な目で見つめる3人の吸血鬼がいた。


「おい、これはどういう事だ」

「お兄さんのアドレナリンを増やしたのよ。欠点としては唾液は口の中で分泌するから、本人にも同様の効果が出ることね」

「そういう事さ、さあ三人は出ていった!」

「そうね、お邪魔虫は退散しないと」

「坊や、頑張るのよ」

「グッドラック……」


 ローラ達三人はそそくさと部屋を出ていく。

 親指を立てて激励げきれいを送ったアナちゃんが部屋を出ると、扉は静かに閉まった。


「え、ちょっ、置いていくなよ」

「ひどいなあ少年、吸血の時に他の女の子の事を気にするなんて」


 アドレナリンの興奮作用によって息を荒げながら俺を押さえつけるフェリシーは、まるで獲物に飢えた肉食動物のようだ。

 少女は俺の口の周りに残っていた唾液を舐めとると、赤く染まった顔を互いの鼻が触れ合うほどの距離まで近づける。

 少女の甘い吐息が俺の顔をくすぐる。

 

「そろそろ少年にも効果が出てくるころかな?」


 少女はそう言うと、俺の体をまさぐり始めた。

 フェリシーは顔から始まり、胸やわき腹を優しく撫でるとズボンへと手をかけた。


「ちょっ、そこはマズいだろ」

「おやおやー? ちゃんと興奮してきているみたいじゃないか」


 気が付くと俺のズボンの中は内容物によって、はち切れんばかりにパンパンに膨らんでいた。

 少女は満足そうにズボン越しにそれを撫でると、俺の全身を今まで感じたことのないような快楽が襲う。


「男の子は効果が出たのがココで分かるから便利でいいよね」


 フェリシーはそう言うと俺のズボンを撫で続けながら、首筋へと顔を寄せた。

 これから噛むのであろう首筋を軽く舐めると、俺の耳元でささやく。

 

「それじゃ、あらためていただきます」

 

 少女の2つの牙が俺の首筋へと当てられ、ゆっくりと押し込まれた。


「痛っ!」


 アドレナリンの興奮作用によってかなり痛みは抑えられていたが、それでも注射ほどの痛みがある。

 首のあたりに一気に血が集まっていく感覚が分かる。


「……んぅ……おいしぃ……」


 フェリシーは恍惚の表情を浮かべながら吸血を続けた。

 体感時間にして5分ほどたった頃だろうか、少女は首から顔を離すと口元に付いた血を手で拭う。


「少年の血、すっごく美味しかったよ!」


 フェリシーは興奮冷めやらぬ様子で俺に抱き着く。

 体に押し付けられた豊かな胸の感触を味わう暇もなく、軽い貧血状態の俺はそのまま眠りに落ちた。

たくさんの閲覧ありがとうございます!!

次話の投稿は3月25日の予定です。

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