#004 ハラってください
教室に戻ろうと廊下を歩いていたら、私は担任の教師に止められた。
「おーい、茶谷」
「はい。なんですか?」
「悪いんだが、お前、クラスの代表として教科書の代金を集めてくれないか?」
「教科書代ですか」
「ああ。本来なら、最初のホームルームの時間に受け取らなければいけなかったんだが、言うのを忘れてしまってな。学校内で大金を持ち歩くと何かあるかもしれんし、お前が代表して受け取ってきてくれ」
「……私、学級委員でもないんですが」
「まあ、そう言うな。今日だけ、ちょっと言って、ちょっと皆の封筒を集めるだけだ。何も役目を押しつけようという訳ではないさ」
「……はぁ。まあ、そういう事なら分かりました」
「ただし、お金を集めるのは大切な事だからな。もし、今日中に全員の金を集められなかったら、お前に支払ってもらうからな」
「はぁ」
「まあ、それが嫌なら、最近幽霊が出ると噂になってる高架下に連れて行くぞー」
担任教師のゴリラ面は爽やかそうに笑っていた。ただし、私はハッとしたように、直ぐ校庭の方を確認したのである。そこには大量の幽霊群を引き連れ、噂の高架下まで早々と向かっているクラスメートの姿があったのだった。
「(お金だけは、マジで)ハラってよ、武豊くぅぅぅぅぅうううううううううううううんっ!」
がーん。
その日、教科書代は、私が立て替える事になりました。




