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終章 翌朝の屋上
翌日の昼休み。
愛子はまた屋上にいた。今日は扉が最初から開いていた。ケンジがすでにいた。
「夢、見た?」愛子は隣に立ちながら聞いた。
「見なかった」
「私も」愛子は空を見上げた。「終わったんだね」
「星詠みの使命、とやらは」ケンジはノートをめくった。「でもこれの解読はまだ途中だ」
「それ、また一緒にやるの?」
「おまえが嫌なら、俺ひとりでやる」
「嫌じゃないけど」愛子はケンジのノートを横から覗き込んだ。「一緒にやりたい」
ケンジはページから目を上げなかった。でも、「そうか」と言った。
風が吹いた。愛子の髪が流れた。青空に、うすい雲がひとつ、ゆっくり流れていった。
星はもう降ってこない。夢も見ない。でも愛子は、それが少し寂しいとは思わなかった。
なぜなら今は、昼間でもここに来る理由ができたから。
隣でペンを走らせるケンジの横顔を、愛子はちらりと見た。見られていることに気づいていないのか、気づいていて無視しているのか、彼はただ黙って書き続けていた。
愛子はまた前を向いた。空を見た。
星はなくても、空は広かった。
*——了——*




