青髪の少女
「ジーミア」、それは我々人類には観測できない場所に存在し、地球とは似ているようで似ていない、遠いようで近い存在の世界である。そこには、人間と同じ姿をしたクロム族と人間に似た姿をしたエルフ族が、生体エネルギー「バイオール」を操り、ともに共存・対立し暮らしている。
アドミア暦1194年、エルフの国「フェイリル」の王ビーク・ロワは、悪しきクロム族を亡ぼすため、ダークオンの「ガー・ラン」「ギル・ムーン」「バー・ミンガム」とコーエンの「フィル・ラブン」の4カ国と共に「ハクバラ同盟」を組んだ。これに危機感を覚えた3カ国、ダークオンの「ゼ―・ガン」「ザム・オート」「バム・バラン」は「ゼザバ連合」を組み対抗するのであった。
アドミア暦1195年プス14日、フェイリルの王ビーク・ロワは、「リーツ」により、日本人の「加賀巳 ユウヤ (カガミ ユウヤ)」、アメリカ人の「トール・マックス」、同じくアメリカ人の「ジョナサン・ウイング」を召喚した。ビーク・ロワは、ユウヤ達に召喚した理由を話し、戦士として共に戦ってくれるよう協力を仰いだ。ユウヤ、トール、ウイングの3人はこれを承諾し、ビーク・ロワに協力するのであった。
~夜~
フェイリルでは、異世界より召喚された戦士たちを歓迎するため、城内の大広間で宴会が開かれた。
トール・マックス
「エルフて言うから、みんな耳が長いと思っていたが、意外とそんなこともないな。」
トールは、テーブルにあった料理に手を付けた。
加賀巳 ユウヤ
「挨拶もされてないのに、食べるなよ。」
しばらくすると、ビーク・ロワと金髪の老けた女性、少し遅れて青髪の少女が、大広間に現れた。
ユウヤとトールは、少女の、腰ほどまである長く綺麗な髪、モデルのように端正な顔立ち、貫禄すら感じさせる凛とした姿に、思わず見とれてしまった。
加賀巳 ユウヤ&トール・マックス
「「キレイだ…」」
ユウヤとトールは、思わず出た言葉に驚き、互いに顔を見合わせた。
トール・マックス
「どうやら趣味は合うようだな。」
そうこうしていると、ビーク・ロワが乾杯の挨拶を始めた。
ビーク・ロワ
「フェイリルの戦士たちよ、ついに、この時が来た。」
「我々エルフ族は、悪しきクロム族により、いくつもの国が滅ぼされた。」
「しかし奴らは、滅ぼすだけでは飽き足らず、その地で暮らしていた同胞たちを奴隷にし、他国に売りさばいたのだ!!」
「そのようなことが許されていいのか。否!!許されざることを奴らはしてきたのだ!!」
「だから我らは立ち上がった。ハクバラ同盟を結んだ各国と共に、悪しきクロム族を打ち倒すため戦うのだ!!」
「だが、今のままでは奴らに勝てるかはわからない。」
「そのため、異世界から戦士を招き入れた。」
「紹介しよう、リーツの導きにより、我々エルフ族を救うために召喚された戦士たち、カガミ・ユウヤ、トール・マックス、ジョナサン・ウイングだ。」
大広間内を、祝福の嵐が鳴り響く。
ビーク・ロワ
「彼ら3人は、このフェイリル…いや、我らエルフ族を勝利へ導いてくれるだろう。」
加賀巳 ユウヤ
「これじゃあ、迂闊にドジを踏めないな。」
トール・マックス
「そうだな。」
トールは、再び料理に手を伸ばした。
ビーク・ロワ
「今日は予祝だ。」
「戦士たちよ、エルフ族の未来に乾杯!」
ビーク・ロワの乾杯により、宴会が始まった。
エルフ族の兵士たちを見ていると、ある兵士は、酒瓶一本を一気飲みし、また、ある兵士は、使用人の女性を口説いている。しばらく経つと、酔った兵士どうしが殴り合いのケンカを始めた。
加賀巳 ユウヤ
「意外と同じなんだな。」
しばらくすると、ウイングが喋りかけてきた。
ジョナサン・ウイング
「楽しんでいるかい?ユウヤ君。」
加賀巳 ユウヤ
「そんなに、まだ飲めないんで。」
ジョナサン・ウイング
「そうか、君はまだ、飲酒できる年齢ではないのか。」
「日本で飲めるようになるのは、確か…
加賀巳 ユウヤ
「20です。」
ジョナサン・ウイング
「そうだったな。」
「あと、何年で飲めるように?」
加賀巳 ユウヤ
「17なんで、3年後ですね。」
ジョナサン・ウイング
「そうか。」
「その時は一緒に飲もう。お祝いするよ。」
加賀巳 ユウヤ
「ありがとうございます。」
「…」
ジョナサン・ウイング
「どうした?」
加賀巳 ユウヤ
「アメリカ人なのに、トールみたいに"ジャップ"呼びしないんだなって。」
ジョナサン・ウイング
「アメリカ人全体が、嫌な奴ではないからな。」
「たまたまトールが嫌な奴だっただけだ、気にするなよ。」
加賀巳 ユウヤ
「はい。」
それからしばらく、ユウヤとウイングは、お互いの召喚される前の生活について話しあった。
加賀巳 ユウヤ
「ウイングさんて、アメリカで兵器の開発をしてたんですね。」
ジョナサン・ウイング
「まだ、雑用しかさせてもらえなかったがね。」
ビーク・ロワ
「"兵器の開発"というのは、銃や大砲などを作っていたのか?」
聞いていたのか、ビーク・ロワが話に入ってきた。
ジョナサン・ウイング
「それもありますが、私がしていたのは軍用機の開発です。」
ビーク・ロワ
「…」
「"グンヨウキ"…とは?」
ジョナサン・ウイング
「軍用機は、軍事活動で使われる航空機ですが…」
ビーク・ロワ
「ほう…。」
「どうやら異世界には、このビーク・ロワでも知らない物があるようだな。」
「ジョナサン・ウイングといったかな?」
ジョナサン・ウイング
「はい」
ビーク・ロワ
「そなたに、"グンヨウキ"と言う物の開発を頼みたいのだが、よろしいかな?」
「無論、そなたの下には、この国の技術者を何人か付けよう。」
ジョナサン・ウイング
「!!!」
「はい、そうさせて貰えると光栄です。」
ビーク・ロワ
「期待しておるぞ。」
ジョナサン・ウイング
「はい!!」
そのような話をしていると、突然、爆発音と共に大きな揺れが大広間を襲った。
加賀巳 ユウヤ
「うわ!!」
ビーク・ロワ
「なんだ!見張りは何をやっとる。」
エルフ族の兵士
「白の騎士団が、夜襲をかけてきました!!」
ビーク・ロワ
「フェイ・グラン…クロム側に付いたのか。」
ユウヤは、状況を確認するため外に出た。
加賀巳 ユウヤ
「あれは…ドラゴン?」
空を見上げると、そこには、まるでゲームから出てきたような姿をした、翼の付いた白いドラゴンが飛んでいた。
加賀巳 ユウヤ
「なんだ?」
どうやら、ドラゴンの背には人が乗っているようで、何かを地上に落とした。それは、城壁と触れた瞬間、轟音を立てて爆散した。
使用人の女性
「きゃっ!!」
加賀巳 ユウヤ
「あぶない!!」
ユウヤはとっさに、使用人の女性を庇った。
「ドグゴォーン」と音を立て、ユウヤの周りに破壊された城壁が落下した。
使用人の女性
「い…生きて…る?」
加賀巳 ユウヤ
「ッ…、大丈夫ですか?」
使用人の女性
「あ、はい。」
運良く、ユウヤたちには城壁は落ちてこなかった。
灰青色の髪の人物
「急げ、クロスボウを準備するんだ。」
エルフ族の兵士1
「やってます。」
エルフ族の兵士2
「ウィック様、準備出来ました」
ウィックと呼ばれる灰青色の髪の人物
「撃てる物から撃て、外した矢には気を付けるんだぞ。」
ウィックの指揮の下、フェイリルの反撃が始まった。エルフの兵士たちは、クロスボウを白いドラゴンたちに向けて発射した。当たりはしなかったが、恐れおののいたのかドラゴンたちは遠くの空へ去っていった。
使用人の女性
「助かりました。」
加賀巳 ユウヤ
「お気になさらず。」
ビーク・ロワ
「宣戦布告といったところか…」
その後、フェイ・グランの夜襲により宴会は中止された。自室に戻ったユウヤは、今日のことを踏まえ、この世界に疑問を抱いたまま眠るのであった。
~翌日~
ユウヤは、尿意で目が覚めた。どうやら明け方のようで、外はまだ暗い。
加賀巳 ユウヤ
「トイレトイレ…」
ユウヤは、トイレを探しに部屋を出た。日の出前の冷たい空気が、ユウヤの体を震わす。
加賀巳 ユウヤ
「トイレの場所ぐらい、昨日のうちに聞いとくべきだったな。」
しばらく場内を散策していると、曲がり角の向こうに人影が見えた。
加賀巳 ユウヤ
「あ、あの、すいません。」
ユウヤは、小走りで人影を負った。
エルフ族の兵士
「うん?なんのようだ。」
加賀巳 ユウヤ
「ちょっとトイレ…いや、便所を探しているのですが、教えていただけないでしょうか。」
エルフ族の兵士
「トイレ?トイレなら、この先を真っすぐ進んだとこの衛生塔にあるぞ。」
加賀巳 ユウヤ
「ありがとうございます。」
「トイレで伝わるんだな。」
ユウヤは無事、用を済ませた。その後、部屋に戻ろうとしたが、眠気が残ったままトイレを探していたため、来た道を覚えておらず、ユウヤは城内をさまよう事になった。突き当りを右左、階段を上がり違うと感じまた降りる、廊下を進み見たことのない場所に着き戻る。気づけば夜が明けていて、空の星は見えなくなっていた。
その後も城内をさまよっていると、片廊下にて2つ先の扉が開き、部屋の中から青髪の少女が出てきた。ユウヤは少し驚いた後、会釈をするように頭を下げ、横を通り過ぎようとした。
青髪の少女
「"傀儡者"、」
加賀巳 ユウヤ
「なに。」
ユウヤは振り返った。
青髪の少女
「なんでしょう。」
加賀巳 ユウヤ
「今、"傀儡者"て…」
青髪の少女
「ええ、言いましたよ。」
「お父様に言われるがまま、考える脳もない"傀儡者"と。」
加賀巳 ユウヤ
「傀儡者て…こっちは、昨日連れてこられて何もわからないんだ。なのに、あんたは傀儡者て…一方的じゃないのか。」
青髪の少女
「何も知らなければ、命を奪ってもよろしいのですか。」
加賀巳 ユウヤ
「それは…」
青髪の少女
「わからないのなら教えてあげましょう。」
「あなたはお父様に、戦士としてこのジーミアに召喚されたのです。」
加賀巳 ユウヤ
「そんなのはわかってる。」
青髪の少女
「話は最後まで聞きなさい!」
ユウヤは、急な叱責に背筋を伸ばした。
青髪の少女
「お父様は、クロム族を根絶やしにするつもりなんです。」
加賀巳 ユウヤ
「だから、そんなのはわかってる。」
「クロム族て奴は、悪い奴なんだろ。君たちエルフ族を攻撃し、捕まえたものを奴隷にし、それで貿易をして。」
青髪の少女
「それはそうですが…」
加賀巳 ユウヤ
「だったら、クロム族と戦うのは…親父さんがしようとしていることは、正しいじゃないのか?」
青髪の少女
「それは!」
加賀巳 ユウヤ
「だったら、
青髪の少女
「もういいです…」
加賀巳 ユウヤ
「"もういい"?」
青髪の少女
「あなたの様な人、戦争で死んでください!!」
加賀巳 ユウヤ
「なんだと!」
青髪の少女は、そう言い残し走り去った。
加賀巳 ユウヤ
「"死んで"て…意味がわからないぞ。」
「あんたは、何を言いたかったんだ。」
ユウヤは、しばらくの間立ち尽くした。
つづく…
「フェイリル」
・エルフ族の国
・7大陸の1つである、森と砂漠の大陸「リーンサンド」に位置し、バイオールで満ちた森「エルフの森」にある。
・国王は、エルフ族の「ビーク・ロワ」。
「エルフの森」
・バイオールで満ちており、そこに存在する動物や植物は、地球には存在しない種が多く、ジーミア内でも異質で独自の生態系を築いている。
・鉱物資源は主に、バイオールを発する液体「オークロン」と、鉄より軽くオーラを流すことで強度が上がる「フェールライト」が採れる。
・エルフの森内には、エルフ族の国であるステイカの「フェイリル」と、エルフ族とクロム族が共存するコーエンの「フェイ・グラン」が存在する。
「ビーク・ロワ」
・本名 ビーク・ロワ
・年齢700~800歳
・異世界出身
・出身国 フェイリル(旧)
・種族 エルフ族
・性別 男
・身長 約230cm
・髪型 スキンヘット。
・エルフの国「フェイリル」の王。
・「リューシー・ロワ」という名の一人娘がいる。




