第170話 『パセリの天婦羅』
深夜食堂しのぶ。
カウンターの上に、小さな束のパセリが置かれていた。
忍がそれを見て言う。
「マサさん、これどうするんですか?」
マサはまな板を拭きながら答える。
「天婦羅だな。」
忍が驚く。
「え?パセリを?」
八恵子も少し笑う。
「パセリって、料理に添えるやつでしょ?」
マサが包丁を置いた。
そして、少しだけ真面目な顔になる。
「パセリは脇役……。」
「誰がそう決めた。」
忍と八恵子が顔を見合わせる。
マサは続けた。
「確かにパセリは、料理に添えられるイメージが強い。」
「ステーキの横。」
「オムライスの横。」
「皿の端っこ。」
「でもな。」
マサはパセリを手に取る。
「主役にもなれる野菜なんだよ。」
衣を作りながら、ぽつりと言う。
「昔、修行してた店でな。」
「賄いで出てきたんだ。」
「パセリの天婦羅。」
忍が目を丸くする。
「美味しいんですか?」
マサが笑う。
「食ってみろ。」
油が静かに音を立てる。
ジュッ……
揚げたてのパセリは、
鮮やかな緑のまま。
サクッと軽い衣。
忍が一口食べる。
「……!」
「美味しい!」
八恵子も続いて食べる。
「これ……」
「香りがすごい。」
マサが腕を組む。
「だろ?」
「パセリはな。」
「揚げると主役になる。」
忍が笑う。
「パセリ、すごいですね。」
マサが一言。
「料理ってのはな。」
「脇役を主役に出来た時、面白くなる。」
夜の厨房に、
揚げたての香りが広がっていた。
パセリの天婦羅
材料
パセリ 適量
天ぷら粉 適量
冷水 適量
揚げ油
作り方
① パセリはよく洗い、水気を取る
② 天ぷら衣を作る
(天ぷら粉+冷水)
③ パセリを軽く衣にくぐらせる
④ 170〜180℃の油で
10〜15秒ほどサッと揚げる
ポイント
・揚げすぎない
・軽い衣にする
・塩で食べるのがおすすめ
マサの一言
「脇役ってのはな、
本当は主役より旨い事もある。」




