part8
高等学校に登校する初日。
それは温かな春の木漏れ日と、満開の桜に包まれた日でした。
ヤマネは意気揚々といつも通っていた道とは違う道を歩みます。
しばらく歩いていると厳かな雰囲気の建造物が見えてきました。
ヤマネ「え、教科書類が今日すべて配られて、今日中に持って帰らないといけないの?」
ハイリー「ああそうだぞ。知らなかったのかよお前。だからそんな軽そうなカバンで来たのか」
ヤマネ「そんなの聞いてないわよ・・・」
カシュー「でも、お姉ちゃんがもらった入学許可証の下のほうに、初日に教科書とかを
全部渡すから大き目のカバンを持ってきてくださいって書いてあったよ」
ヤマネ「じゃあ私が読んでなかっただけね!」
ハイリー「読んでおけよ」
ヤマネとカシュー、それとハイリーは仲が良く途中まで一緒に行きました。
カシューはヤマネのことが好きすぎるあまり、着いてきたようです。
ハイリー「ところでカシューナッツ、お前ここまで僕たちに着いてきて大丈夫なのか?」
カシュー「別に戻れるから大丈夫ですよ、先輩」
ハイリー「先輩と呼ぶのはやめてくれ」
カシュー「じゃあハイリーもわたしのことをカシューナッツって呼ぶのやめてくださいよ!」
このようにとても仲がいいのです。
三人はそれぞれの行くべき場所に行き、新しい一日を過ごします。
残念なことにヤマネとハイリーは同じクラスではなかったようです。
ヤマネ(当たり前だけど会ったことない神たちだなあ。うまくやっていけるかな?)
クラス担任「はい、今日はお互いのことを知ってもらうために、
皆さんには自己紹介をしていただきます」
クラス一同「ええ・・・」
皆んな嫌そうな顔です。高等学校生になってもこういうことをするのかと、不満そうです。
しかし、そんな中でもヤマネは嫌そうな顔ではありません。むしろ気合に満ちています。
順番に自己紹介をして、ヤマネの番になりました。とは言ったものの、ヤマネの出席番号的に
かなり最初のほうですが。
ヤマネ「ヤマネ・アンカです。趣味は妹とお菓子を作ること、好きな科目は社会科です。
すっごくマイペースで不束者ですがよろしくお願いします!」
ヤマネは笑顔で自己紹介を終えました。
それ以外には特に特筆すべきものは特になく、学校での一日を問題なく終えました。
たくさんの荷物を抱えながら、ヤマネは帰路につきました。
ヤマネ「ただいま帰りました」
お父さん「お帰りなさい。あと20分で支度を済ませなさい。私が送ってやろう」
ヤマネ「・・・分かりました」
このあとヤマネは塾の時間です。
ヤマネにとって勉強することは苦手ではないのですが、好きではないのです。
この塾の時間はヤマネにとっては憂鬱なものです。
なんやかんやあって準備を終えて、ヤマネは塾に向かいました。
塾では数学,社会科,言語学,理科,世界歴史の五科目を学びます。
ちなみにヤマネは社会科が最も好きで、数学が大嫌いです。
面倒くさいなと思いつつ、授業は真面目にヤマネは受けます。
そんなヤマネには塾での唯一の楽しみがあります。
ソプラ―ト「こんにちは、気分はどうかしら、ヤマネ?」
ヤマネ「ソプラ―ト!今日はちょっと遅刻してきたのね」
ソプラ―ト「ええ、今日はちょっと透ける日だったの」
永霊族と神のハーフのソプラ―ト。永霊族は文字通り幽霊の一族で、ハーフの個体にしか現れない
特殊な種族。永霊族は定期的に透けてしまい世界に干渉することができなくなってしまうのです。
また、永霊族は本来ヤマネたちが今いる世界とは違う世界の『清界』に所属しているのですが、
学習と経験の一環として、一時的にこの世界に引っ越しているのです。そしてソプラ―トはとても
高貴な一族でかつ、誰よりも純真な存在で、誰に対しても分け隔てなく接するような神です。
塾ではヤマネの隣の席だったこともあってか、二人はとても仲良しです。
ソプラ―ト「ごめんなさい、ノートを少し見せてくれないかしら?」
ヤマネ「全然大丈夫!」
このような他愛のないやり取りがヤマネにとっては至福のひと時なのです。
ソプラ―トにとってもそれは同じでした。勉強における苦難も紛れていたのです。
これからも二人は塾で親睦を深めていくことでしょう。
高等学校生活はまだまだ始まったばかり。この先、まだまだたくさんの苦難が出てきても、
ヤマネの周りにはたくさん頼れる神がいます。きっと大丈夫です。
きっと・・・




