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part28

メアリ「お姉様、体調は大丈夫ですか?」

リリア「ゲホッ、大丈夫よ。咳が少し出るくらいよ。

    ゲホッゲホッ」


翌日の朝、3人が集まる1時間前のことです。

何とリリアが風邪をひいてしまいました。

咳と若干の熱があるようです。しかしそのような

軽めの症状であっても、身体が弱いリリアからしたらかなり辛いものになっていました。


メアリ「本日分のお仕事はできる範囲で私がします

    ので、ゆっくりお休みください」

リリア「そうは言ってもメアリができる仕事は片手で

    数える程度しかないわよ、ゲホッゲホッ」

メアリ「うっ…それを言われると何も言い返せない」

リリア「無理しないようにね。あとちょっとであの子

    たちが来るからね」


メアリは頷くとリリアが寝る部屋の扉を閉めて、

お茶を口にしながら3人を待ちました。


およそ1時間後、ジルとレイチェルが拠点にやってき

ます。レイチェルは髪を今まで無造作に下ろして

いましたが、その赤い髪がツインテールのような2つ結びになっていました。


レイチェル「優雅に茶をしばいてるのねアンタ。

      というかリリアは?」

メアリ「お姉様は風邪をひいてしまって、今日は

    お休みなの。というか髪型を変えたのね。

    とても可愛いわね」

レイチェル「そりゃどうも。あとは例のやつかしら」

ジル「…まだ会っていないやつか」

メアリ「まあ貴女たちは少し早めに来たからね。

    折角だしこのお茶でも飲んでいって頂戴な」

レイチェル「ちょうど喉乾いていたし有り難く

      頂くわ。あ、私は冷たいお茶がいい」

メアリ「ジルはどうする?」

ジル「…茶より煙草を吸ってもいいか?」

メアリ「えぇ…まあ外でならいいけど…」

レイチェル「アイツタバコ吸うんだ。なんかまあ

      それっぽいけど」


落ち着いた雰囲気を楽しんでいた10分後、ジルが

室内に戻ってきました。


ジル「見知らぬ男が来た…アイツがそうか?」

メアリ「あ、来た感じ?じゃあ通さないとね」


メアリが扉を開けると高身長で髪をお団子状にして

髪留めの棒で固定した男性が立っていました。

白衣を着ていて何だか変な匂いがします。


メアリ「えっと、貴方がナンス・マスティア?」

ナンス「そ、俺がそのナンス・マスティア。

    なんかお前馬鹿くさい顔しててウケる」

メアリ「いや、初対面なのに失礼すぎない?」

ナンス「まあまあそんな事にいちいち反応してたら

    老けるぞ?手遅だけど」

メアリ「会って早々悪いけど今すぐ出禁にしたい!」

レイチェル「そんなとこで騒いでないで早く入って

      来なさいよ。私だって暇じゃないん

      だから」

ナンス「…へぇ」


ナンスは拠点に入るとレイチェルに近づいてジッと

見つめています。


レイチェル「何ガン見してるの?見せ物じゃないんだ

      けど。気色悪いわね」

ナンス「一応俺医者だし、憐れな狼女を観察して

    何が悪いんだよ」

レイチェル「許可くらい取れよ。あと哀れって何よ。

      アンタは私の信者か何かなの?」

ナンス「お前についていこうとした信者たちは見る目

    がなかったんだな。そんな奴らとは違って

    俺は比較的マトモだけど」

ジル「…………」

メアリ「取り敢えず自己紹介しなさいよ」


既にメアリとレイチェルは嫌悪の表情を浮かべて

います。そのようなことには気にも留めずナンスは

仕方なさそうな顔をして部屋にいる3人に顔を

向けます。


ナンス「俺はナンス・マスティア。今日からお前らの

    お友達兼『水の国』当主だ。一応医者を

    やってるから金払うなら治療してやるよ」

レイチェル「医者って言っても、何の分野がアンタの

      専門なのよ?」

ナンス「俺は基本的に精神関連の疾患の治療に

    長けている。まあ他の簡単な怪我とかも

    治せたり対処法くらいは知ってる。他に

    ご質問はありますでしょーか?」

メアリ「本当精神を逆撫でするような声ね。

    アンタに患者がいることが驚きだわ」


部屋はかなりピリついた空気となり、

リリアの咳だけが聞こえてきます。


ジル「…アイツ、拠点(こっち)にいるのか」

ナンス「病人くらい隔離しておくくらいはやって

    おけよ」

メアリ「拠点に来た時にお姉様が体調悪いことに

    気付いたのよ」

レイチェル「それって妹としてどうなのよ」

メアリ「お姉様は基本顔に出さない方なのよ。

    本当に気づかなかったのよ」

ナンス「やっぱ馬鹿じゃねぇか」


そのような他愛のない会話をして時間を消費して

いると、レイチェルがメアリに問います。


レイチェル「あと『風の国』が残っているのよね?

      候補の見当はついているのかしら?」

メアリ「全くよ。あそこは私たちのことが嫌いで

    完全に独立しているのよ。だから多分私が

    あっちに行ったら死の歓迎会かしらね。

    贈り物は相当豪華だと思うしね」

ジル「じゃあ…どうするんだ?」


メアリはお茶を飲んで一息ついて言いました。


メアリ「…無いなら創る。皆んなが求めることを

    全面で応えることが結局1番効率がいいなら、

    それを全てこなせる子を創る」


部屋は未だかつてない程沈黙になってしまいました。


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