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 誰もが説明を譲り合っている中でヒイが投げた。


「サラナサさーん。ちょっと、来てー」


 ミハとケイがそれは無いだろうという表情でヒイを見やる。エルディランドゥは後ろでほっと胸を撫で下ろしていた。


「・・・なに?」


 呼ばれて渋々来たサラナサは、近付くのを嫌がったがヒイに手招きされ、内緒話をされる。フラン以外からの気の毒に思われる視線に晒されている。


「えー!! う、う。分かった・・・。フラン。一目惚れは最初に会った時に好きになることだよ」

「そうなんだ!ありがとう。サラナサ」

「ううん。私は戻るね」


 フランのお礼の言葉を聞くなり、脱兎の如くサラナサが駆けて行った。


「最初に会って好きになると結婚するんだったら、私、ヒイさんとも結婚するの?」

「え?」


 リガルから言葉が漏れる。

 ケイ達はそうなるだろうなと半ば予想していた。フランはこの生活を送れているのはヒイのお陰だと分かっている。ケイにも最初から丁寧に接してくれていたから、フランがヒイに初対面から好印象でもおかしくはない。


「フランさん。どうして、私と結婚しないかはリガルさんが説明してくれるから」


 ヒイからの圧力がかかる。最初の一目惚れの説明を任せても良かったが、一目惚れは言葉の意味としては理解しやすい。だが、フランは色々な好きを知り、沢山の気に入った物や感情を集めている最中だ。その中で結婚したい好きを区別するのはまだ難しいだろう。結婚したいくらい好きで、四六時中一緒にいたい程に惚れたというのだ、待ち受ける様々な問題や、困難を乗り越えることは承知の上だろう。


「ええっと。結婚は異性で行うことがお」

「性別は関係ないよね?」

「え?」


 ヒイは頷きながらフランを褒める。性別が不明や変わる種族もいるため、異性が結婚の条件ではない。それは、リガルも知っていたが、異性と結婚することが多いため安易な方向に持って行こうとして失敗した。


「フランさん、良く覚えていたね。きちんと街の決まり勉強したもんね」

「うん」

「あー。それは素晴らしい。惚れ惚れします」


 リガルは劣勢だ。異性だからは封じられた。好きだからも駄目だ。好きの違いを説明するなんて、どうすればいい?雲を掴むようだ。対するフランは説明の続きを大人しく純粋な瞳で待っている。


「長期戦を希望します」


 かなり悩んでいたリガルは今日の所は白旗を上げた。

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