49.本物
ヒイが早速取り掛かったのは聞き取りだ。午後の書き方教室はミハとケイに任せてきた。トオとアキもいるので何とかなるだろう。ニカとクロとキキラーティカにも来てもらい、ズウゾの家まで辿り着いた。
「こんにちは」
「ああ?あんたか」
「そう。こっちは姉ね。鍛冶場の希望を聞きに来たよ」
「本当にできんのか?」
ズウゾは未だに懐疑的で、キキラーティカに一喝されている。
「ぐだぐだ言わないで、さっさと出しな」
「うるせえ婆だな。分かったよ。まずは精霊が気に入る炉が欲しい。素材は勿論、精霊石だ。大きさは任せる。後は・・・金属はオリハルコンとヒヒイロカネ、ミスリル、アダマンタイトを・・・」
出るわ、出るわ。精霊が大事らしいということは分かったが、その他にも貴重素材を列挙しましたと言っても過言ではない。ヒイがズウゾの唱える呪文にしか聞こえない材料をメモしていく。
「以上で、大丈夫ですか?」
「ああ。これが俺の希望だ」
やれるものならやってみろという態度でズウゾが胸を張る。キキラーティカは呆れきっていた。
「素材は何とかなりそうなんですが、構造とか配置については少し時間を頂ければ。何処に建てますか?」
「!!・・・こ、ここに」
「分かりました、この広さに納まるくらいですね。では、数日中にまた来ます。ご都合が悪い時はありますか?」
「・・・ねえよ」
ヒイが世間話のように簡単に進めていくので、ズウゾも驚きを通り越し、何とはなしに答える感じとなってしまっている。
「あたしも建てる時に見せて貰ってもいいかい?」
「構いませんよ。お声掛けますね」
ニカは付いてくる必要があっただろうかと疑問を頂きながら、ズウゾに暇を告げ、キキラーティカを送り家に戻った。
「どうするの?」
「本家本元の精霊さんがいるからね。直接、聞くよ」
「ああ。なるほど」
納得したニカの視線の先はトオとアキがいる。
「「「え?」」」
ヒイの問い掛けに答えたトオに三人の疑問が重なる。
「ズウザさんのいったせいれいは、わたしたちとはちがいます」
「うわー。同じだと思ってた。よく見ればよかった!」
ヒイが頭を抱えるが、ニカとアキはそうなのかというくらいだ。いつでもヒイにくっついているクロは、小さなまま背中にしがみついている。




