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55 日本の宇宙開発

世界中で魔法を鍛錬して熟練する事が軍事力を上げる為の最優先課題と認識されていて世界の夫々の勢力が己の実状に合わせて魔法使いの強化を図っている。

こうなると地球上での日本の優位も何時まで続くかは分からない。

しかもシナの様に未だに覇権を巡って殺し合いを続ける勢力が隣にいて日本はいつ巻き込まれてもおかしくはない状況だ。

シナ周辺国の魔法による軍事力の強化はシナを封じ込めるためには良いことなんだが日本の優位は相対的には下がることになる訳だな。

う~ん……なかなか悩ましい状況だ。


日本があの日以前のアメリカ合衆国の様に覇権国家として世界中に君臨するつもりであれば友好勢力とは言え自国の優位を保つためにシナ周辺国の足を引っ張っている所だな。

まぁ、今の日本人にはその気はないし、幸いと言うか何と言うか日本にもそんな余裕はない。

辛うじて他国の足を引っ張ることが可能な国はオーストラリアかニュージーランドぐらいだけど二国ともに自国が安全地帯にある様な今の状勢を崩したくはないのか国内世論はともかく国としては目立った動きはしていない。

下手な干渉をして難民を押し付けられでもしたら堪ったものではないからな。

世界中のシナ人は相変わらず五月蠅いけどシナの覇権争いなんて身内争いも抑えられない勢力を相手にする暇な国はない。

下手に相手をしてシナの覇権争いにでも巻き込まれたら堪ったものではないからな。


だいたい覇権を狙うと言うことは異文化の群れを積極的に自分の群れに組み込むこととなる。

異なる文化慣習のせめぎ合いは刺激を生み活性化に繋がることではあるが群れの不安定要因でもある。

覇権の為に群れを大きくすることは群れの不安定要因となるのだ。

人と言う種が今一つ群れとしての纏まりに欠けるのは数が多いことによる文化等の多様性の故だ。

良く言えば種として柔軟性が有り適応能力が高いから繁栄しているのだが全ての人を群れとして一つに纏めるには多様性に富み過ぎてバラツキが大きいのだ。

世界の覇権を掴む為にはアメリカ合衆国でアメリカ軍がしている様に強引に群れを纏める形を地球規模で展開する必要がある。

でもそれは事実上不可能だ。

アメリカ軍がアメリカ合衆国を群れとして纏めることが可能なのは国民にアメリカ軍は自分達の軍との共通認識があるからでその様に世界を纏めることが可能な世界規模の組織は存在しない。

今の地球上で世界の覇権を本気で狙っているのはシナ人ぐらいではないか?


シナ人はそれが可能かどうかは置いといてシナ人が世界を支配することを正当な権利だと思っていて世界中の人々がそれを認めるべきだと思っている。

シナ人とは何ともはた迷惑な思想の持主なのだ。

当然のことながらシナ人以外には通用しない思想だから反発を生み周りに敵を造ることとなり、日本はシナの包囲網づくりに走りシナの封じ込めに躍起となった。




現状としてはシナの封じ込めは上手く行っているが上手く行っている要因の一つはシナの覇権争いにある。

シナ人同士で争っている間は難民は出るけど域外への侵略が小康状態になるからな。

だからシナ周辺国は巻き込まれない様に且つシナの覇権争いが長引く様に調整しながら物資を供給している。

世界的にもシナの覇権争いが長引いた方が戦争需要で利益が出るし、覇権争いでシナが力を落としてくれれば仮にシナの覇者が決まっても対処はし易くなるから都合が良い。

シナ周辺国は巻き込まれる危険はあるけれど今の状況が続く方がシナが一つに纏まった状況よりは幾分ましだとしていた。

シナ人特に海外に住む華僑はこの状況を打破しようとシナ周辺国を覇権争いに巻き込もうとしているがどの国も物資の供給以上のことをしてはいない。

下手にシナの覇権争いに関わって今の朝鮮族の様にはなりたくはないからな。

最近は華僑の思惑とは逆に覇権争いから離脱して満州や台湾の様に独立を志向する人々も増えている様子だが少数なのでシナ状勢に大きな変化はない。

一部のシナの少数民族出身者が独立を画策して先に独立したシナ周辺国と接触している様ではあるけどシナではシナの統一を正統として志向する人々の方が圧倒的に多数なのだ。


何れはシナの覇者が決まるだろうがシナ人は侵略性向が強いから気が抜けない。

シナの中華の概念は地球上の全ては中華である自分のものと言った文化性向なので性質が悪いのだ。




そんな訳で日本は有事に備えて可能な限りの避難場所を確保して国の存続を図る必要がある。

成体はともかく幼体の安全確保のためには必要なことだからな。

幼体は魔法を使えない即ち自身を魔法で守れないから少しでも守り易い状況を確保しないといけない。

成体は……自己責任と言うことで。

それで日本では地下・海底・宇宙に避難場所の建設を進めている。

地下施設は既に何ヶ所か作られているが海底は基地を実験的に設置しているだけで宇宙に至っては衛星軌道上で宇宙コロニーのモデル試験をしている段階だ。

現状で実用に耐えるのは地下施設だけだな。


それでそろそろ宇宙開拓に本格的に身を入れようかと私は考えていた。

JAXAの開発も細々とではあるが長年続けられたことでそれなりの成果は挙がっていたし私の魔法による宇宙飛行も更に熟練してこれなら月までなら当初計画した予定で行けると判断していた。

それで月に一回でも行ってしまえば後は転移魔法で行き来できるから好きに開拓できるようになるとか夢想を楽しんでいた。


ただ現状はと言うと……同志を募って計画しているだけだな。

真世歴二十五年ぐらいには予定のレベルまで魔法による宇宙飛行も熟練した。

それで月に行って簡易的な月面基地を設置するまでは何とかなりそうだけれどもそれでは精々が実験設備の設置レベルだ。

これ以上は一人で進めるのは無理なので避難施設の月への設置も私個人の計画には入っていない。

それ以上の開拓ともなると一人で進めるのは到底無理なので夢想して楽しんでいる状況だ。


日本政府は宇宙への避難と言っても宇宙コロニーを衛星軌道上に設置すれば充分との判断で動いているので月基地の設置なんて今の所は研究者の机上にしかない。

『衛星軌道上なんて目立つところは危なくて避難にはならない。宇宙に避難するなら地球からは可能な限り距離を置かないと不味い。せめて月の裏側に設置しないと衛星軌道上では唯の的だな。衛星軌道上なら地下施設の方が敵から確認し難いだけましだ』と私は思っていた。

それで可能であれば月の裏側に基地を設置出来ればと考えていたのだが日本人の大半は宇宙への避難なんてことは真面目に考えてはいないのだ。

満州軍の戦闘結果を見る限りは仮にシナの争いに巻き込まれてもそこまで大層な事にはならないと考えているのだろう。

ただ流石に魔法が使えないのは不味いと実感したのか魔法教育は流行ってはいる。


確かに今日明日と言った話であればその認識で間違いはない。

でも十年先の話となると分からない。

可能な限り早く宇宙開拓を始めた方が他との差がついて有利になるのに……

でも公に進めると他国を刺激するので秘かに進めたいのも確かなところだ。

それで私は裏でコソコソと同志を募っていた。

なかなか難儀なことで遅々として進まないんだよなこれが。

私も現状は宇宙開拓に専念している訳ではないし他の皆も同じだからな。

せめて転移陣だけでも月に送れないかと画策はしたけど駄目だったな。

魔法を使わずにとなるとロケットを打ち上げる必要があるためにお金が掛かるので予算が付かないのだ。

まぁ、それも有って私は長期に亘ってコツコツとそして目立たない様に自衛官に混ざってコソコソと魔法による宇宙飛行の鍛錬を積んできた訳だ。








日本は宇宙コロニーの実験をしているけど他の勢力はどうやらそこまでの余裕は無いみたいで定期的に監視衛星を打ち上げるぐらいだ。

監視衛星も昨今は魔法で簡単に破壊可能だから人が直接に守る必要が有って管理に手間が掛かる。

転移魔法を使えば管理が可能ではあるけど電子制御だけで済んだ以前と比較すればかなり面倒だ。

それで使い捨てで安上がりな監視衛星をばら撒いて対処する勢力が出てきた。

監視衛星をばら撒いた勢力の殆どがシナの軍閥で、方法は自力であったり海外企業への委託であったりした。

大量にばら撒けば破壊されないで残る衛星もあるからこんなことになった訳だけど結果としては衛星軌道上にスペースデブリが急激に増えてしまった。

それも場所によっては増えすぎて監視衛星の維持に支障をきたすぐらいに。

日本政府はシナの軍閥にクレームを入れたけど何処も止める気配はなかったので国際問題として提起した。

だが日本以外の勢力はある程度まではスペースデブリが有った方が自分達の監視衛星も見つかり難いからとあまり問題にしてはいなかった。

そして結局は対外的には日本が許可を得て定期的にスペースデブリの清掃を行う形となってしまった。

日本以外の勢力は表向きはスペースデブリが有っても問題はないとのスタンスを崩さなかったからだ。

ヨーロッパもロシアもアメリカも自らの衛星周辺のスペースデブリに関しては自分達で対処していた。

でもそれで充分だとの判断で「清掃するなら勝手にしたら?金は出さないけど」と言った感じだ。

そして監視衛星を打ち上げる技術のない勢力は関心も薄く、勢力によってはスペースデブリが増えて監視衛星が打ち上げれなくなればその方が都合が良かった。

シナ人なんかは「日本は余計なことをするな」と言った感じだ。


それで日本はクレームを入れながらも宇宙コロニーと宇宙艇の実験を兼ねて衛星軌道上の清掃を行っている。

宇宙コロニーは人工衛星の管理基地として設置して宇宙艇を使ってスペースデブリの清掃を行っている。

スペースデブリの清掃自体はアイテムボックスを応用すれば何とかなるけど宇宙関係の予算のかなりがこれに喰われている。

まぁ、日本の勢力圏は海が大半で衛星なしでの防衛なんて論外だから仕方がないのか。

シナ大陸もシナからの難民船もこれで監視している訳だし。

アメリカ合衆国なんかも同じ筈なんだけど太平洋側は日本が有るからシナとは直接対峙してはいないし、転移魔法の御蔭で島々への物資の補給は万全だからかシナの監視は優先順位が低いみたいだ。

ヨーロッパ諸国も直接対峙しているのはイスラム圏だからシナの監視は優先順位が低いみたいだ。

ロシアは満州独立後はシナと国境を接してはいないからかヨーロッパ寄りだな。

アメリカにしろヨーロッパにしろ地球の裏側のことだからか魔法によって核兵器の無効化が可能になって以降はシナに対する軍事的な関心は急速に薄れて、シナ関連で関心が有るのは物資の売り込みに関することが中心だ。


シナ以外の勢力は戦争中ではないので監視衛星に対して破壊するほどの強い動機を持ってはいない。

最近では監視衛星を破壊しているのは主にシナの軍閥で監視衛星をばら撒いているのも主にシナの軍閥だ。

そしてシナ人の造ったスペースデブリとシナ人のばら撒いた監視衛星をシナの監視に邪魔だからとの理由で取り除いているのが日本だ。

それで監視衛星をシナの軍閥に売って儲けているのはヨーロッパとロシアとアメリカの奴等だ。

奴等は監視衛星の打ち上げも売り込んでいる。

これでは日本のスペースデブリに対するクレームに同調する筈はない。

同調したら監視衛星の打ち上げを規制する方向になり兼ねないからな。

折角の商売を潰す方向には持っては行かないわな。


この件に関してはヨーロッパやロシアやアメリカに不満を露わにしている日本の政治家もいて日本政府の無策を詰っている。

日本政府は表向きは国内の政治家に同調して各勢力にクレームを入れてはいるが事実上は何もしていない。

スペースデブリの清掃は共同でとなると魔法関係の機密が多くて出来はしない話だから結局は単独で行うしかないのだ。

それに下手に人工衛星の打ち上げ規制の話に進むと優先順位が低いとは言え宇宙開発を進めたい日本政府としては困ることとなる。

実際は人工衛星の打ち上げ規制があっても魔法を使えば宇宙開発は可能ではあるけどそれがあからさまになるのは国益に反する訳で表向きは困ることにしておかないと色々と都合が悪い。

それで外交的には日本の負けとの形にしてシナ関係のスペースデブリに関しては日本が好き勝手にすることになった。

シナ人特に朝鮮族は日本が政治的に負けた形にして置くとあたかも自らの手柄の様に世界中に宣伝してくれるから気分は悪いけど実情を隠すには都合が良い。


日本は決して外交的に負けた訳ではない。

スペースデブリの清掃はシナの監視のためには必要なのだ。

日本がスペースデブリを清掃した後にヨーロッパやロシアやアメリカの衛星が設置されても合法だから仕方のないことなのだ。

……でももう少し上手く遣れた気がするかな。








日本は表向きはスペースデブリの清掃と言った形で宇宙コロニーや宇宙艇の開発を進めていた。

宇宙コロニーと言っても宇宙ステーションに毛が生えた程度のもので表向きは人工衛星の管理の為だな。

転移魔法が有るので宇宙コロニー間の移動には必要ないから宇宙艇の開発は殆ど進んでいない。

開発したのは潜水艇に毛が生えた程度のもので魔法なしでは実用に耐えれず、勿論のこと大気圏への突入なんて考えてはいない。

月基地は海底基地の開発との名目で開発を進めているが研究施設レベルの設置が何とか可能なレベルだ。

月開拓が始まったとしても月面基地では無くて地下基地となるだろうな。

地下なら現在の能力で充分開拓が可能な筈だ。

問題となるのは気密性だろうがこれも地下避難施設は密封状態にする為にノウハウを積み上げているから可能だろう。

何とか技術的な条件は整った、これなら月開拓が開始可能だ。

予算が付きさえすればの話だけど。

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