21 世界情勢 真世歴6年
魔素乱流期が終わったあの日以降の世界の混乱の中、日本が何とか経済を維持していられたのは世界の軍需のおかげだ。
日本が直接戦争している訳でもないし、兵器を大々的に売り出している訳でもない。
世界中が混乱していたので軍事物資の需要が多くてそれに対応した結果だ。
自衛隊の海外派遣と軍事能力の拡大も少しは需要を喚起しているが現状で大きいのはシナ大陸の内戦だ。
シナ大陸が混乱していて周辺国での軍需が多いし、シナも内戦状態だから軍需が多い。
日本はシナから独立した国への支援を続けているのでしばらくはこれらの国の復興需要もある。
独立した多くの地域で漢族の軍閥は劣勢を覆せないと悟った時点で略奪と破壊をして出て行ったのだ。
橋とかの重要なインフラは半分ぐらい破壊されていた。
居残った漢族は略奪や破壊は自分達がしたことではないと居座っていたが、チベット・ウイグル等の新政府は独立後に残った漢族の殆どを国から追い出すことを一番に決めて実行している。
漢族を残して置けば同族の保護とかを理由に攻めて来るに決まっている。
残して置かなくても身勝手な理由で攻めて来るに違いないが残して置くよりはましだ。
日本政府は略奪はしない様に新政府に要望を出してはいるが追い出すこと自体は仕方がないなと判断している。
メコン川流域の国々は中国共産党政府が川の流れを変えて中国側に引き込もうとして揉めたこともあり、源流のあるチベットの復興と防衛には凄く熱心で雲南省の少数民族等にも接触して独立を促している。
チベット・チワン・海南島のインフラの復興は周辺国との連携の下で日本が中心になって行っている。
日本政府が政治的に支援している漢族の勢力はないが交易は禁止していないので商社が三角貿易の形で色々仲介して利益を上げている。
隣の半島国が何とか持っているのもこのシナ大陸の内戦による軍需のおかげだ。
シナでは軍事一色になっていて内戦で疲弊しているとはいえ今だに巨大な工業力を内戦のために費やしている。
シナの発電は原子力発電所はすべて潰されたので未だに石炭火力発電が主流である。
公害は垂れ流し状態で隣国としては困っているのだが統一政府がある訳でもなく、シナ各地の勢力は旧共産党政府に責任を押し付けるだけで自ら対処しようとはしない。
石炭以外のエネルギー資源はシナ大陸の油田とロシアからパイプラインによるガスの輸入と海外から沿岸部へタンカーによるオイルの輸入だ。
内陸部の資源に乏しい地域の軍閥はエネルギーを握っている軍閥の下について隙を伺っている感じだ。
現在は世界中の企業がシナの内戦需要で何とか息をついている形だ。
アメリカもロシアもフランスも企業は兵器を次々に造っては売っている。
日本企業は東南アジアの自社工場で兵器を造って売っている。
製品はあまり日本からは輸出していないが重要部品の多くは日本製だ。
元々東南アジアには多くの日本企業が進出していたので設備投資はほとんどしていない。
自動車工場で軍用車両を造ったりしているので設備はそのまま使えるし、従業員もそのままだ。
自衛隊も現地調達の方が便利なので消耗品は現地調達できるように日本政府が企業に協力を要請している。
兵器の整備や修理も現地で出来る様に現地企業と合弁で整備工場を造成中だ。
メンテナンスだけなら東南アジアで部品も全て揃うし、日本から部品を供給すれば大抵の修理は可能になる。
アメリカ軍から譲渡された兵器も大量にある為、アメリカ企業の進出も盛んだ。
自衛隊の食料調達も現地で行えるように日本企業はイスラム教徒の多いインドネシアにハラール認証を受けた肉を使った培養肉用のバイオプラントを建設中で1年後には稼働予定だ。
イスラム教徒も混ざって作戦行動することもあるので揉めることの無いようにこうしたようだ。
世界中の華僑以外の人々がシナが以前の様に統一されることを望んでいない。
そして少なくとも自国が乗り切るまでは今の状況が続けば良いと思っている。
だから援助の主体は新旧の華僑でそれぞれ贔屓の軍閥にシナを統一させようと各国を引き込もうと画策している。
対して各国は内戦需要が続くよう特定の軍閥に偏らない様に輸出しており、主要国で特定の勢力に加担する国は皆無だ。
華僑の一部から「シナを食い物にするな」と声が出ているがでは交易を止めても良いのかと問うと自分の贔屓の勢力との交易は止めてもらっては困るのだ。
これは華僑の数だけ贔屓の勢力がある状態では交易は止めれない今の状況が続く。
彼らが中華統一の大義を掲げる限り内戦は終わらず、世界中に食い物にされる状況が続くのだ。
でも彼らは自ら望んでその状況に居るのだからこちらに文句を言うのは筋違いだ。
食い物にされていると言うが交易自体は公正なもので問題ない。
問題なのは交易で得た物資の殆どを内戦で消費している側にある。
交易を止めたら飢える民が増加して問題に成るだろうし、それらが難民になったら周辺国も困るので交易自体は止める訳にはいかない。
内戦を行っている者達が打破するしかこの状況を良くする方法はない。
日本政府はシナ大陸の内戦がいずれ終結することを前提に周囲の国との連携を強めているが一部の華僑がこれに「封じ込め政策だ!」と言って猛反発している。
日本政府は「シナに住む漢族が中華の統一を掲げてその膨張主義を進める限り、周辺国が警戒して連携を強めるのは当たり前ではないか」と言って一蹴している。
シナでは歴史的に戦乱の度に難民を出して周辺に散らばり居座って先住民を追い出しては領域を広げることを繰り返してきた。
でもこれ以上、それを認める訳には行けない。
人口が希薄だった頃は追い出されても住む場所はあったがもうそんな場所はどこにもないのだ。
中華人民共和国は世界中でインフラ整備に自国民を労働者として連れて行って居座らせたり、移民として送り込んだりしていた。
そして現在、漢族は世界中で地域に馴染まずにコロニーを造っていてアフリカでは違法移民として排斥が始まっている。
日本は日本周辺から東シナ海・南シナ海・インド洋までの海域の治安を安定させることが安寧に繋がると判断しているので要請に応じて南シナ海に自衛隊を派遣している。
日本はアジア各国と連携して日本から中近東までの航路の安全が確保できれば良しとしている。
シナの南側は日本が中心になってシナに対する防衛体制を固めていて何とか形になりそうだ。
シナの北側のシベリアは人口は希薄ではあるが寒冷で住みにくい環境のため漢族が押し寄せることは無かったが技術の発展と温暖化により以前よりは住み易くなったため、大量の商人が密入国するようになり問題に成っていた、中華人民共和国は領土の拡大とその地下資源を狙っていた。
ロシアと接する旧満州国北部は併せて1億人以上人口を抱えていて対するロシア側は人口希薄地帯で広大な領域に3000万人弱の人口であり、この地域の安定はロシアにとって最重要ではあるがシナ側に安定勢力となりうる群れは存在せず、現在は北の辺境であるために混乱から免れているだけで統制している軍閥の動き次第でどうなるかわからない状況にある。
ウイグルは独立し、内モンゴルはモンゴルに併合されたため、懸念はこの旧満州国北部である。
満州族が衰退していなければ何とかなったかもしれないが最後の皇帝の愛新覚羅溥儀がひよって共産党に靡いた為に満州族が返り咲く機会は失われた。
この地域については日本政府は様子見の状態だ。
下手に動くと旧満州帝国を引き合いに出して国内で政治問題化する事が目に見えている。
半島は中華人民共和国の干渉が無くなり、アメリカ軍の撤収によりロシアも統一に干渉せず、日本は半島の行く末には関心が無い、周辺国による半島に対する干渉が無い統一の絶好のチャンスなのに何故か統一する気配が無い。
半島の南側政府は統一を叫んでいるが一向に動く気配が無いし、誰が統一の栄誉を受けるかで揉めていたはずの政治指導者達も誰も抜け駆けする様子も無い。
メディアは統一の意義とか悲願とかを連日流しているが誰も動く気配が無い。
北側政府はシナの内戦で物資が入らなくなっていて後ろ盾が無いため昔の様に戦争も起こせずに膠着状態だ。
半島は統一のチャンスではあるがこのまま統一してもどこからも援助を引き出せない状況だ。
どうもこれが南側政府の意に沿わないらしい。
分断の全責任を外国に押し付けてそれを根拠に統一の負担も外国に押し付ける予定だったらしい。
もちろん外国とは日本の事だ。
民族の悲願とやらの半島統一も自力ではなく他力頼りなのだ。
半島人は大国の後ろ盾無しで戦争をする気はなく、国を統一する気もない。
日本政府は匙を投げ、半島に関してはこのまま放置することにした。
ウイグルは日本から遠く内陸部にある為、支援の中心はトルコ等のイスラム諸国とロシアとヨーロッパ諸国だ。
独立後は外国からイスラム教徒が大量に入り込みそれはそれで問題に成っている。
日本は今の所は支援していない。
イスラム教徒の国なのでイスラム教徒に任せた方が無難かな?
日本では世界初の魔法による核テロが信仰的原理主義者だったこともあって宗教問題に関わりそうなことには及び腰だ。
アメリカ合衆国が軍隊を世界中から撤収させたのは国が分裂の危機にあって外国に派遣しておく余裕が無くなったからだ。
組織として人種・民族・信仰・社会階層等の出身に関係なく繋がりを持つのはアメリカ軍しかなく、国を纏める為に必要となり国内に戻した。
元々各州の権限が強く、独立すること自体は違法ではない。
雑多な民族が存在して、信仰・文化・慣習もバラバラなので法律を共通の掟として纏めている、日本とは成り立ちがまるで違う国だ。
それが今回の世界的な混乱により共通の信仰・文化・慣習等で纏まって集団を作り国内の各所で明確なコロニーを造り始めたことにより、国としての纏まりが急速に薄れることになった。
そして国として纏めるための求心力と成り得る組織がアメリカ軍しかないことで軍は国を纏めるための集団として急速に力をつけている。
企業は国の纏まりが急速に薄れたことに危機感を抱いていて軍との結びつきを強めている。
企業は国の干渉は嫌うが、無法状態を望んでいる訳では無い。
本国に法治が行き渡って統治されていないと国の信用力が落ち国外で利益を上げることも難しくなる。
今の所、アメリカ企業と言うだけで信用力が全然違うのだ。
日本企業だって日本の国としての信用力が落ちれば技術力が変わらなくても評価は下がる。
国内だけで商売するならそれでも良いがアメリカではその国内が急速に怪しくなっている。
そこでアメリカ政府は全軍で国内の治安維持や安定に当たらせることになった。
今の所はアメリカが国として急速に崩壊することは防げている。
アメリカは軍を礎に国家として人を纏めることが出来るかが今後の課題だ。
日本政府もシナに続いてアメリカまで崩壊したらと警戒感を強めて注視している。
国として崩壊しそうにないのは信仰や民族で概ね纏まっているところだ。
日本周辺でまず大丈夫なのは好き嫌いはともかくロシア連邦である。
ロシア連邦は多民族国家であるが人口1億4千万人の80%以上がロシア人であり公用語のロシア語がほぼ全域で通用するため群れとしては纏まっている。
シナと違って同族同士で殺し合う様相もないし、人口も日本とさほど変わらない。
日本と同じでシナの勢力を何とかすれば国としての崩壊はないと思われる。
他は東南アジア諸国も国と民族がほぼ同一の国はまず問題ない。
少数民族がいて少々不安定な国もあるが国民としての意識が芽生えていれば国を群れとして纏めることは可能だ。
台湾も不穏分子は大陸に放逐したのでまず問題ない。
オーストラリア、ニュージーランドは周りに脅威となる敵対勢力もなく人口も国として纏めるのに充分な数で人口の大半が欧州からの移民で群れとして纏まりも良く亡国の危機とか分裂するような問題はない。
問題に成りそうなのは国内に造られた漢族等のコロニーぐらいだ。
世界各地で問題に成っているのは新華僑と呼ばれるシナの最盛期に移民した者達とその子孫で彼らは国に対する帰属意識が弱く居住地域に馴染まない。
アフリカ大陸では労働者としてシナから連れてこられてそのまま居ついてしまった者達もたくさんいる。
彼らも国に対する帰属意識が弱く居住地域に馴染まない。
シナからの移民は地域に馴染まずコロニーを造る傾向があり、順法意識が低いため裏社会を作り犯罪に加担する者も多く、アフリカ大陸では完全な排斥対象である。
コロニーを造る事自体は問題がない、問題なのは勢力が強くなるにつれ法律を無視できると思っていることだ。
シナ人は法治に対して徳治を持ち出す、これは最高権力者が徳を持って統治する事を理想とするものだが、要は彼らの理想下では権力者は法の縛りもなく好き勝手にして良いのだ。
崩壊前の中華人民共和国は国際法を無視する傾向にあったが彼らは力を持ったら好き勝手してよいと思っているのでそのように振舞っていただけなのだ。
彼らは何千年もそのようにしてきて自らを変える気はない。
彼らは法治を否定していて一種の無法状態を理想としているので近代国家とは相いれない。
一般の日本人は法治を万能とは思っていないがシナ人の理想とするヤクザの親玉が好き勝手に決める様な状態よりは数段マシだと思っている。




