表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅びかけた貧困村から始まった教育革命が、やがて世界文明そのものを変えるまでの物語  作者: 慈架太子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

274/290

233話 旅行革命(前編)

異界歴八年。


人口五十億人以上。


食料充足率百三十パーセント。


教師数五十億人以上。


教導スキル保持者五十億人以上。


農業革命。


紡織産業革命。


医療革命。


酒造革命。


芸術革命。


食文化革命。


数々の変革を経た異界は、新たな時代へ突入していた。


それは戦争の時代ではない。


開拓の時代でもない。


交流の時代だった。


旅行革命。


その始まりである。


---


PEAO。


平和経済発展協力機構。


かつては食料支援。


教育支援。


医療支援。


技術交流を目的とした組織だった。


しかし加盟国が増え続けるにつれ、新しい課題が生まれていた。


「お互いを知らない。」


豊かな国もある。


海の国もある。


砂漠の国もある。


山岳国家もある。


しかし実際に訪れた者は少ない。


知識はある。


映像もある。


魔導具で記録された映像は世界中へ広がっている。


それでも実際に見てみたい。


実際に食べてみたい。


実際に会ってみたい。


そんな声が増えていた。


---


PEAO本部。


巨大会議場。


各国代表が集まっている。


サンナ・マリン王国。


セレンスキー王国。


海洋連盟。


アクアマリナ。


ネプトリア。


ドラゴン領。


悪魔領。


各地域代表が参加していた。


議題は一つ。


観光産業。


---


トミーが説明する。


巨大地図が映し出される。


「人は交易だけで動くわけじゃない。」


商人たちが頷く。


「食べたい。」


「見たい。」


「遊びたい。」


「学びたい。」


「それも立派な需要だ。」


会議場が静かになる。


そして理解する。


確かにその通りだった。


---


旅行産業育成計画。


可決。


全会一致だった。


---


最初に整備されたのは転移拠点だった。


異界中央都市。


アクアマリナ。


ネプトリア。


サンナ・マリン王国。


セレンスキー王国。


主要都市を巨大転移門で結ぶ。


教師たちが運営する。


治安維持部隊も配置される。


旅行者は安心して移動できる。


---


続いて宿泊施設。


宿屋。


温泉施設。


高級旅館。


長期滞在型住宅。


教育施設併設型ホテル。


様々な宿泊施設が建設される。


建築教師。


土木教師。


職人。


魔導具技師。


全員が協力する。


都市は急速に観光都市へ変貌していった。


---


最初に人気となったのは海洋都市アクアマリナだった。


海が美しい。


魚介が美味しい。


海獣ショーもある。


巨大水族館もある。


観光客は感動した。


「海ってこんなに広いのか。」


山岳地帯出身の子供たちは目を輝かせる。


海を見たことがなかった。


だから感動する。


---


海洋料理街。


海鮮餃子。


クラーケン焼き。


巨大魚ステーキ。


海鮮ラーメン。


魚介まん。


どこも大行列だった。


ルミナは笑う。


「観光客が去年の十倍ですね。」


商人たちは歓喜した。


漁師も潤う。


料理人も潤う。


宿屋も潤う。


観光は産業だった。


---


一方。


海底都市ネプトリア。


ここも爆発的人気を誇る。


海中都市。


巨大透明ドーム。


海中庭園。


魚群が泳ぐ街並み。


観光客は息を呑む。


「夢みたいだ。」


誰もが同じ感想を漏らす。


---


クラーケン餃子本店。


テンタクルまん本店。


巨大水槽劇場。


どこも満席だった。


芸術家たちも集まる。


画家。


音楽家。


吟遊詩人。


創作者。


皆が刺激を受ける。


旅行は文化を育てる。


それが証明されていた。


---


そして。


異界そのものも大人気だった。


かつて五十億人が移住した巨大世界。


農業革命の象徴。


教育革命の象徴。


人材国家の象徴。


世界中の人々が見学に訪れる。


---


広大な小麦畑。


巨大農場。


ゴーレムトラクター。


ゴーレム収穫機。


自動灌漑設備。


初めて見る者は圧倒された。


「何だこれは。」


「国家規模じゃない。」


「大陸規模だ。」


案内教師は微笑む。


「教育の成果です。」


その一言が全てだった。


---


農業体験ツアーも人気だった。


子供たちが畑を耕す。


種を蒔く。


収穫する。


パンを焼く。


餃子を作る。


旅行者たちは楽しそうに笑う。


学びながら遊ぶ。


それが異界流の観光だった。


---


さらに人気となったのは餃子街だった。


オーク餃子。


海鮮餃子。


ボア餃子。


クラーケン餃子。


テンタクル餃子。


観光客は食べ比べを始める。


そして必ず議論になる。


「どこが一番美味い?」


その議論は国境を越えた。


---


旅人たちは酒場で語り合う。


ドラゴン領出身。


海洋連盟出身。


セレンスキー王国出身。


サンナ・マリン王国出身。


出身地は違う。


しかし話題は同じ。


料理。


芸術。


観光。


文化。


平和だった。


---


かつて世界は恐怖で繋がっていた。


戦争。


略奪。


飢餓。


病。


貧困。


しかし今は違う。


人々は旅行で繋がる。


交流で繋がる。


文化で繋がる。


そして。


この旅行革命はさらに大きな変化を世界へもたらしていく。


それは異界人が外界へ旅立つことで始まるのだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ