第18話:仲良し?
山小屋に高校生たちを置いて、浦見は外に出た。
(……今更だが、木には色がついてるな)
前にいた街とは違って、森は緑や茶色など、様々な色であふれている。現実世界だと思ってしまうのも、無理はないと考えながら。男は木の枝を折って、目印をつけた。ひとまず自分が来た方向とは、逆の方を目指して進む。その後ろから、少女たちがついてきた。
「……なあ、ホリー。お前は何も、思い出せてねえのか」
沈黙に耐えられなくなって、彼は背後に向かって話しかける。金髪の少女は、黙って首を横に振った。
「……そうか。なんでお前だけ……」
「別に、ただの偶然でしょ」
坂井が代わりに口を開く。彼女は険しい顔をして言った。
「何も思い出せなくて1番不安なのは、ホリーちゃん自身なんだから。そういう気持ちは、汲みとってあげないといけないわよ。これだからおじさんは」
「……悪かったな」
浦見は後ろ頭をかきながら言葉を落とした。ホリーが地面に目を向けたまま、呟く。
「……大丈夫。気にして、ないよ」
明らかに無理をしていると分かる声に、男は気まずそうにする。とはいえ、それ以上の追求はできず。彼は深々と、ため息をついた。
「……ねえ、ホリーちゃん。甘い物は好き?」
代わりに坂井が身を屈めて、少女に話しかける。
「お姉さんと一緒に探そうか。ここ、森だし。食べられる木の実もあるかもよ」
「……おじさんも、いっしょ?」
「ええ、もちろん。嫌だなんて言わせないから」
目線を上に向けて問いかけるホリーに向かって、黒髪の少女は胸を張る。浦見は黙って目をそらした。今回は、彼の方が分が悪い。サバイバルの知識は薄いが、それでも協力するしかなかった。
「……じゃあ、探す」
ホリーが頷き、坂井は彼女を腕に抱える。そして男に対して告げた。
「そういうことだから、よろしくね」
「……へいへい」
浦見は彼女に逆らわず、周りを見渡す。緑の葉は、あちこちに生えていたが、果実が生っているような様子はなかった。
「この辺には、ねえな。もっと奥にいってみるか?」
「あんまり小屋から離れるべきじゃないでしょ。時計回りに動いてみたら?」
「それもそうか。……見つからなくても、文句は言うなよ」
「分かってるわよ。私だって、簡単に食べ物が手に入るとは思ってないし」
そんな会話を交わしながら、2人は右に曲がる。果実を探すというのはついでで、これは本当は、ホリーの気持ちを楽にするための散歩なのだということは。どちらも理解して、行動していた。
1/分が悪い
「形勢が悪い。不利だ」
この後書き内での説明は、コトバンクのデジタル大辞泉から引用したものです。




