第三話10『アイドル!?』
「えっ!?嘘ッ!?」
女の子は目を見開いた。
そんなに驚く事なのだろうか......。
「嘘じゃねぇ」
刃は素っ気なく返した。
「だ、だって、ありえないよ...」
えっ、なんで!?
なんで、ありえないんだ!?
蓮宮も俺と同じ考えらしく
「えっ?なんで!?」
と聞き返した。
「だって、、、あなた達、学園のアイドルでしょ?」
「「「はぁッ!?」」」
綺麗にハモった俺たちの声を聞いて女の子は身体をまたビクリと震わせた。
「アイドル!?何のこった!?」
「僕たちがアイドル!?」
刃はもちろん、珍しく蓮宮まで狼狽えていた。
だが、俺は冷静だった。
超絶美少女の蓮宮や認めたくないがイケメンの刃は確かにアイドルと呼ぶには適切な人材だと思う。
しかし、俺はアイドルと呼ばれるような容姿はしてない!
あの時女の子は『あなた達』と言った。恐らく『あなた達』は蓮宮と刃を示していると俺は考えた。
だから俺は冷静だった。
もっとも、この思考が蓮宮や刃に伝わっていれば、すぐさま『楽斗は間違いなくアイドルだろ』と言われていただろうが。
「で、依頼ってなんだ?」
「え、えっと......」
強引に話を戻した俺に女の子はちょっと戸惑いながらも言った。
「た、助けてください・・・」
◇
どうやら女の子は城木滝静流という名前らしい。学年は1年生でクラスは3組。
俺は帰宅部だったので後輩との交流が少なかった。
そのため、一目見ただけで生涯忘れないだろうと思わせるほどの容姿を持った彼女の事を知らなかったのだ。
「んで、依頼の内容はなんだ?」
刃が尋ね、俺と蓮宮も静流に注目した。
てか、今更だが創部すらしてないのに依頼が来るってどういうことよ......。
今更だが…。
静流は何かを喋ろうとしたが、よほど怖い思いをしたのか、声が出せなかった。
「あ、、、あ」
そんな静流を見て蓮宮は静流の側に寄り静流の手を握った。
美少女二人......否ッ!!大天使二人が手を握り合う光景を見て俺は何故か涙が止まらなかった。
美しい。
今死んでも悔いはない。
「楽斗、何で泣いてるんだ?」
刃にドン引かれた。
「大丈夫だよ。安心して」
蓮宮は震える静流の手を握りながら静流に向かって優しく言った。
すると徐々に静流の身体から震えが無くなっていき、静流は落ち着きを取り戻した。
震えが落ち着くと勇気が出たのか静流は依頼を告げた。
「実は私、いつも誰かに後をつけられているんです」
「...ストーカーか......」
ストーカーとは、特定の個人に異常なほど関心を持ってつけ回す人のことである。
「アイツらは撒いても撒いても執拗な迄に追いかけてくるから厄介だよな…」
刃は過去に何かあったのか、青い顔になりながら言った。
うん?あれ?
俺も地味にストーカー被害に遭ってない?俺は、大野とAGLクラブの面々を思い浮かべた。
やっぱり、あれ、ストーカーだよね......。
少し鳥肌がたった。
蓮宮も見に覚えがあるようで苦笑いをしていた。
部員3人中3人がストーカー被害に遭っていた。もしかしたらストーカーって全然珍しくないのかもしれない。3人はそう思った。
「なんであるんだろうな。ストーカーって」
「「楽斗が可愛いからだよ」」
当然のように蓮宮と刃が言った。
静流も空気を読んでなのか「か、可愛いですよ」と言ってくれた。
ごめん。全然嬉しくない。




